優しさ
よし、二文字縛りとか考えた奴は馬鹿(自分)だからこの縛りやめよう
昼食時。
俺は残り僅かの乾パンをもって、光の席へと赴く。
「あれ?なんで僕のとこに来たの?」
「なっ!」
えっ、軽くショックなんだけど、友達だと思ってたのに。
結構マジに落ち込んだ俺を見て、光は軽く笑って
「いや、僕のとこに来てほしくないってわけじゃなくて、真生ちゃんのとこにいってあげなくていいのかなって」
「?、なんで俺があいつのとこにいかなきゃいけないんだ」
意味がわからない。
チラリと真生の方を見れば。
一人ぼっちだった。
普通、転校生って最初の数日はもてはやされるものだと思っていたのだが。
「彼女可愛いしみんな興味はすごくあるみたいだけどね。魔王とやらの噂のせいで怖くてだれも近づかない、というか近づけないんだ」
「…………だからってなんで俺なんだ」
「幼馴染なんでしょ」
言ったことはなかったはずだが。
「一時間目の時、先生が他のクラスより早いからって、授業を転校生への質問時間にしたじゃない。そのとき鳴は寝てたから知らないと思うけど、このクラスで格好いいと思う人はって質問があって、彼女即答で鳴って言ってね」
はっ!?あいつ俺が寝てる間になんてことを。
「そ、それで?」
光はおかしそうに、クスクスと笑う。最近気付いたがこいつはこうやって笑うのが癖らしい。
「クラスは騒然となってね、理由はって聞かれて、昔から一緒にいて、守ってくれるからってさ」
……なんか非常に恥ずかしいんだが。
「そうか、でもそんなことしてたなら、あいつが別に凶暴な奴じゃない………ってのはあまり否定できないが、悪い奴じゃないってことはわかるだろ」
俺のもっともな疑問に光は少し困ったような表情をして
「それが…最後に最近の趣味はって質問があってそれに『趣味とはちょっと違うかもだけど不良の人達を更正してくれた瞬間って気持ちいいよね♪』っていって」
ヤーさん様改め、がり勉君以外にも被害者はいるのか。
「い、いや、でも、別にそれだけなら特に問題は、いや問題はあるんだけど、そのむしろいい人って映ると思うんだが」
光は苦笑い。
「いや、彼女がそう言った瞬間、後ろの方から盛大にガタッて音が聞こえてね、みんなが振り返った先には、ブルブルと恐怖におびえた彼がいたんだよ」
彼、ってまさか。
「そう、彼だよ」
まさか、あの彼か!?
光は神妙な面持ちでうなずく。
「荒川瑠衣君」
………誰だ?
やべぇクラスメイトの名前も忘れるとかそろそろやばいかもな俺。
「いや、君の隣にいるでしょ」
わるいが俺の横にはその噂の魔王様とヤーさん様改め、がり勉君しかいないから、なにその綺麗な名前。
「そのヤーさん様改め、がり勉君の本名だよ」
!?!?
かつてない衝撃が俺を襲った。
「初めてきいたぞそれ!」
「最初先生言ってたから」
なんと、もう俺の中ではヤーさん様改め、がり勉君で確定だったのに。まあ言いやすいからこれで通そう。
「ん、でヤーさん様改め、がり勉君がビクッと震えて?」
「君の中ではもうそんな呼称なんだね荒川君がかわいそうだよ。えーとまあいいや、彼がビクッと震えて、そこにいるみんなは思い出したんだよ。彼は彼女が言う更正とは彼のような状態を言うのだと」
なるほど、つまり、あいつはやはり魔王なのだと、その名に恥じない感性の持ち主だと、そう認識したわけか。
「そういうこと」
………かわいそうな気がしないでもないが、それは全部自分で撒いた種だろう、仕方ないさ。
「…そうかい」
光としてはもう何も言う気はないようだった。
………
数秒考え、なるべくめんどくさそうに、席を立つ。
「仕方ねぇな、あいつ弁当ないみたいだし、俺の乾パンでも分けてやるか」
そういって真生の席へと一直線に歩く。後ろからフフフという暗い笑い声が届く。
なぜか泡を吹いて、気絶しているヤーさん様改め、がり勉君をスルーして真生へと乾パンの袋を投げてやる。
真生は上手くキャッチして首をかしげる。
「?」
「今乾パンの上手さについて、布教しててな。お前も食え、そんではまれ」
真生は少し、ポカンとして、とろけるような笑みを零し乾パンを食し始める。
俺は隣の自分の席について、真生から反対に顔を向け、失神した気持ち悪いヤーさん様改め、がり勉君を見て、結局うつ伏せる。
はあ、さっさと今日終わんねーかな。
なぜか顔が熱かった。
二文字縛りやめても題名決まらない
今後いいなと思うのあったら昔のも変えてきます