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魔王な少女  作者:
13/14

魔王

俺が目覚めると、そこは光に包まれていた。

眩しい、としか思えない。

体は全体的に重くだるい。

何がおきたのかを理解するのに実に十秒を要した。

「昨日、真生とわかれてから、もう一度寝て、起きたら次の日の朝……か」

時間はまだ六時を過ぎたばかりで、俺の朝としてはちと早い。

だるいのは寝すぎだろう、頭がぼやーっとしてくらくらと痛い。

俺はカーテンを閉め、制服を着る。

とりあえず顔を洗っておこうと思い、階段を下りる、やばい視界がまだちょっとクラクラする。

おぼつかない足取りでなんとか、洗面所へと向かう。

洗面所への道のりの途中には居間があり、なんの気もなしに軽く覗き、驚愕する。

「八時十分……」

そうだった、俺の部屋の時計は壊れてたんだ。だから仕方なく携帯を使ってたってゆうのに、くそっどうりで美羽もばあちゃんもいないわけだ。

顔を洗わなくとも、十分過ぎるほどに目が覚めた俺は、非常食が入っている戸棚からカンパン(袋)を取り出し、急いで家を出る。

どんだけ、遅刻に定評があるんだ俺はーーーー!

まだ、四月で少し肌寒い日であったというのに、机に突っ伏した俺の背中は水でもかぶったかのようにびしょびしょだった。うへぇ、気持ち悪い。

横ではキチンした格好でサングラスから眼鏡へと装飾品を変更させ、カリカリと朝のまだHRが始まる前だというのに、勉強をしてらっしゃるヤーさん様がいらっしゃった。

もしかしたら、復讐、だなんていってまた体育館裏に呼び出されるかと結構ビクビクしていたのだが、その心配はなかったらしい、だって休みがあけたら一生懸命勉強に打ち込むガリ勉君になっていたんだから。

いやーよかったよかっ………………はっ?

いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやーーーー!!

なにが起きたんだよ!一昨日までは人よびだして、金せびろうとしてた方がなんで一日でこうも変わったんすか!?、もう別人クラスですよこれ。

俺はおそるおそる、ヤーさん様改め、がり勉君へと会話をこころみる。

「あの、もしもし?」

ヤーさん様改めガリ勉君は

「はい、なんですか」

めっちゃいい笑顔で返事してきやがった。

でもそれ、獲物を前にした獣にしか見えないっす。

「い、いや勉強教えてほしいなーなんて」

なにいってんだ俺は。

「いいですよ、どこですか」

承諾されるとは、とりあえずどこか聞かないとな。

「あの、ここの二次方程式とか」

「わかりません」

光速でわかりませんキターーーー。

「いやいや、これ一年のころの部分だから」

「いや、僕の数学の知識は分数までです」

それは、数学ではありません、算数です。

まあ、いままで悪事しか働いてないといっても過言ではない、人がいきなり勉強始めてもわからないか。

ま、まあこれでこのヤーさん様改め、がり勉君は非常に温厚ということがわかった。

では本題へと。

「あ、あのなんでそんなに変わったの?」

その問いにヤーさん様改め、がり勉君は少し遠い目をする、早くて二日前のことのくせに。

「僕は改心したんですよ、あの女性に出会って」

「女性?」

「至道真生さんです」

あいつかい!

「彼女は不良少年を更正させるために日々闘っているんです」

「……………」

「しかし、世の中には彼女のその海よりも深い慈悲に触れていながらも更正できない馬鹿が山ほどいます」

海よりも深い妄想癖ならしってるけどな。そして、それ以降の話は別に聞いちゃいないんだが。

「そんな馬鹿共によって彼女は不本意にも魔王という異名をつけられてしまったのです」

へぇー。カンパン結構うめぇな、今度いろんなの買ってみよう。

「だがしかし!、私は彼女を魔王だとは思っていません。むしろ天使だと思っています」

ふーん。あっ、投げたカンパンを手を使わずに食ってたらミスった。

俺はその落ちていくカンパンを救出しようと手を伸ばす。

瞬間。

「ひぃ!」

びくっと顔を腕でガードしながら後ずさる。

「ど、どうしたんだ?」

カンパンが床に落ちたことも忘れ、聞く。

「い、いや、真生さん、いや天使様に更正を促されたさいに受けた慈悲の数発の蹴りが体に染み付いていましてね。誰かが腕を振り上げただけでも、恐怖を感じるようになってしまったんですよ、いやはやお恥ずかしい」

魔王こえーーーーーー!!トラウマ作っちゃったよ!あんな怖かった人を暴力で屈しさせた上に心にも最悪のダイレクトアタックを決めていったよ!!魔王って呼ばれても仕方ねーよ!

「あ、ああそあなんだ、ごめん」

「いえいえ、あっそろそろHRが始まりますね」

そういって、ヤーさん様改め、がり勉君は背筋をピンと伸ばして前を向く。んっ?まだ足震えてるーー!!

ま、真生は?、どこだあいつ。

体育館裏であいつにあったとき、この学校の制服を着てたから、転校してきてるはずだ。

だがこのクラスじゃないかも知れない。しかし思えば転校、という一大イベント(?)があれば生徒が黙っているはずがないのだが。

「はーい、静かにしろー」

無気力な声で内田が入ってくる。

「なんとびっくり今日も転校生だー、しかも今回は本当に女の子」

となれば真生しかいないだろう。このクラスだったまだが。

「しかし、残念なことに初日から遅刻だ、だからまだ来ていない」

教室中でブーイングが起こる。

そのとき、廊下の辺りからタッタッタッと走る音が聞こえてくる。

「転校早々遅刻すみませーーん!」

開いたままのドアから真生が突入してくる。

その顔には、正確には口元には、なにやら赤いものを付着させながら。

「おい、至道、その口元の赤いのはなんだ?」

「えっ?あぁ!すいせん急いでて、ケチャップです」

真生は急いでポケットからハンカチをとりだしそのケチャップをふき取る。

しかし、俺にはケチャップには見えなかった。

ヤーさん様改め、がり勉君の話を聞いたせいだろう、あれがどうしても血にしか見えない。

それは他のクラスメイトも同じらしくざわめいていた。

どうやら、魔王の転校という噂はかなり広まって、騒がれていたが、ヤーさん様改め、がり勉君の話に夢中で気付かなかったらしい。

「じゃあ自己紹介よろしく」

「はい、えーと至道真生です。よろしくお願いします」

そのとき、確実にクラスが一つになった。

(至道魔王!?)

「自ら魔王を名乗りやがった」

「これは宣戦布告なのか!?」

「この学校はおしまいだ」

などと周りから聞こえてくる。

まおって名前をしっている俺でさえ魔王と聞き間違えたほどだ。

名前をしらない皆が魔王と聞こえても仕方がない。

恐怖っていうのはとことん、人を混乱させるものらしい。

横ではヤーさん様改め、がり勉君が泡を吹いて失神していた。

絶対天使じゃねーよ。あいつ。

「では、至道の席は櫻井の左隣がいいな」

内田は大丈夫らしい。まあ、名前は名簿で見ているし、悪名も聞いていないからか。

真生が俺の隣に座る。

「よろしくー」

その笑顔が今の俺には狂気の表情にしか見えなかった。

「え、ええよろしくお願いします」

ヤーさん様改め、がり勉君が転校してきた以上の恐怖が教室を包んだ。

「なんで、敬語?」

ただ一人、恐怖を生み出した本人は可愛らしく首をかしげていた。


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