徒労
頭の上でなり続けるアラームも俺の覚醒材料にはならなかった。
それをアラームも察したのか結局は目覚ましとしてはあるまじき、聴覚ではなく痛覚へと訴えかけて俺を深い眠りから起こしてくださりやがった。
どういうことかというと、俺の電話兼目覚ましである携帯電話が長時間のバイブによって俺の額へと落下してきたと、そういうわけだ。
額をさすりながら携帯のフリップを開き、時計をみやる。
そこには
九時三十七分。
俺の目がおかしくなければ確かにそこにはそう描かれていた。あっ、三十八になった。
「………っ!?」
たっぷり五秒ほどほうけてから慌てて起き上がる。
いやいや、もう遅刻とかいうレベルじゃねーぞこれ!
またサボるという手もあるが、前回内田のやつ、サボりって気付いてたらしいしな(確実に妹のせい)、幸い説教は免れたが今日まで休めば、たとえ本当に事情があってもあいつは信じないだろう。
仕方ない、遅刻だがいかないよりましだ。急いで、着替えを済ませ、自室から一直線最短ルートで玄関へと走る。
しかし、そこでここまでの遅刻なら急ぐ理由もないかと思い、走る、という動作を歩く、へと変更する。
戸を閉め、さあいくかという瞬間
「あっおはよ」
目の前に真生がいた。
ジャージ姿で長い黒髪は一本に結っていた。いかにもな運動スタイルだった。
みれば犬(カルテット(奈央さん命名))の散歩をしていたらしい。
「あ、おはよ、ってお前学校は!?」
すると真生はキョトンとして
「今日日曜だけど」
サラリと言う。
俺は急いで携帯を開き、日時を見る。
九時四十四分 (日) 四月十七日
と映し出されていた。
そういえば昨日は補習授業だったか、まったく土曜も授業なんて意味のわからんことはやめてほしいね。
「…………なんだよ、はあ」
安堵と疲れを混ぜたため息をつく。
「ああ、じゃあおやすみ、俺疲れたから寝るわ」
真生に一言いって、帰宅する
「うん、騎士様目指して頑張ってねー」
気だったのだがすぐさま反転し聞き返す。
「…なんだって?」
「だから、騎士様目指して頑張ってと」
あの設定まだ続いてたんだ、えーと、だけど昨日の話とちょっとちがう気が。
「鳴は私を迎えにこれなかったことを悔やんでくれていたんだね、それで今度は俺が一生真生を守るって、その言葉すっごい感動したよ」
目をキラキラキラキラさせながら、俺の記憶にない俺が言ったらしい言葉を再現する。
「いってねーよ、俺がいつんなこといった!」
「夢で」
「なにそれこわい」
もうメルヘンじゃなくね、ただのやばい妄想ちゃんじゃね。この人。
てかそれ以前に、蹴りでコンクリ粉砕できる人を守る必要性を感じないのですが。むしろ守ってほしいんですけど。
はあ、さらに疲れた、最近ため息が癖になってきてる気がする、はあ。
「あっそうそう、今日は奈央さんに家にくるのは遠慮するよう言っといてくれないか、昨日からばあちゃんがきててさ」
「えっ、うんわかったー」
元気に返事する。
さて、でゆっくり寝るとするか。
布団の温もりに心を軽く浮つかせながら玄関をくぐる
題名ないよーーー泣
くるしまぎれなのはわかってますすいません