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ワァーーーーッ!!!


湧き上がる歓声の中、汗を滲ませながら、ステージを後にする。


ハァハァハァ……。


信也たちが裏に下がって息を整えていると、ふと目の前に落ち着いた髪色の女性が現れた。


「はい、みんなお疲れ様。この後の出番は他のグループの演奏が終わってからだから、各自自由にしてて大丈夫よ。」


彼女の名前は安瀬愛羅。信也の従姉であり、彼女自身バンドでメジャーデビューしたものの上手くいかず、今は信也たちのマネージャーをしてくれている。


「え〜っ!まだ帰っちゃ駄目なの〜?」


これはミイの言葉。


「ミイちゃん、そんなこと言っちゃ駄目だよ。」


「じゃあ、帰りたくないの〜?疲れてない…とか?もしかしてメイちゃん手抜いてたの〜?」


いけないんだ〜!というミイの煽り。


それはメイに売り言葉に買い言葉的な返答をさせた。


「そ、そんなことないもん!!めっちゃ疲れてるし!すんごく帰りたい!!もう超特急で!!」


こんな2人のやり取りはいつものこと。


しかしながら、ここはステージの裏ということもあり、信也たちの後にそこに上がる人たちもいるわけで、次に上がるアイドルグループ(信也は名前すら知らない)の彼女たちは頬のあたりをヒクヒクとさせていた。


それを見たカナは2人の背中を押すようにして、この場から離脱させていく。


「ほらほら2人ともこんなところでそんなこと言ってないの。ほら、お昼…は流石に外で食べてくるわけにはいかないでしょうけど、お夕飯はいいみたいだから、みんなでどこかに食べに行きましょ?2人はなに食べたい?」


「肉っ!!」


「あっ、私はお魚が…。」


というような感じで…。


さてと、と信也も続いて、控え室へと下がろうとすると、グループの女性の1人に声を掛けられた。


「し、SHINYAさん!!す、凄く良かったです!!」


「?ああ…どうも。」


「わ、私たちも負けないように頑張りますので、見ていてくださいっ!!」


なにやら必死な様子で祈るように、そう手なんてものを握ってくる彼女。彼女はその手をいつまでも離さず、出番だというスタッフさんの呼び掛けにも応じず、メンバー全員がその場に留まるなんてことをしてきた。そんな彼女たちに対し、信也はと言えば…。


「???」


…まあ、こんな反応が妥当だろう。


…えっと…とりあえずここにいろ…ということか?


まあ、今日は暖かいし、タオルである程度汗は拭いたから、このままここにいても風邪なんかは引きそうにないけど…。


じ〜〜〜っ(アイドルグループのマネージャーすら含めた期待の視線)。


「…はぁ…わかった。」


「い、いいんですかっ!!」


「いいよ、わかったからさっさと行って来い!」


パシンッ!


「ひゃ、ひゃいっ!!い、行ってきます!!」


信也に背中を叩かれ、送り出させるリーダー。


そんな彼女を「流石リーダー!」「粘り勝ちやね!」「リーダー握手してください!!」などとメンバーは称賛し、リーダーの「や、やだ!しばらく手は洗わないから!」なんて言葉が、絶好調な彼女たちのパフォーマンスとは対照的に、信也になんとも言えない倦怠感をプレゼントしてくれた。



…そして、それを見ていた次のアイドルたちもまた…。


じ〜〜〜〜〜〜(期待の視線)。



ここまで言えば、その後どうなったかはわかるだろう。


概ねアイドルたちのステージが終わり、『れみね〜ど』がやってくるまでそれは続いた。



「こうして、復興記念ライブ及び式典は終わりとさせていただきます。」


こうして夕方頃、恙無く、今回のライブも終わった。


信也たちが安心して帰ろうとしたところで、大臣をしているレンの叔父さんに会い、そして…


「最近、信也くんの周りを公安がうろついているみたいだけど…君なにかした?」


…と聞かれた。


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