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レニーたちはそんな亜美を見た瞬間、慌てたように聞く。
「も、もしかして【SHINYA】さんと付き合ってたりとかするの?」
「なにそれ!亜美ズルい!!」
「ふ、ふぇっ!?」
レニー以外の2人の追及に狼狽える亜美。
すると、レニーが落ち着いた様子で…。
「で?どうなの?」
こんな風に聞いてくるものだから、亜美は少し気圧された。
「…そ、それは…あの…その…。」
そして、チラリと信也のことを見つめる。
「ど、どうなのかな、信也くん?」
期待を込めた様子でぎゅっと信也の服を掴む亜美。
もしかしたら、ワンチャンという気持ちがそこにはあった。
でもまあ、ワンチャンなんて思っているものはそうそう理想通りの結果となろうはずもない。
「はあ…何言ってるんだ、お前ら…。そんなわけないだろう。」
それにガックリと肩を落とす亜美に、ハイタッチでもせん勢いで喜び合うレニーたち。
それを亜美は憎々しげに見つめ、本気で彼女たちの友達をやめようかと考えた。
…しかしながら、信也の言葉には続きがあり…。
「…でもまあ…仲は良いけどな…俺結構亜美のこと好きだし…。」
「「「は?」」」
「……え?」
信也は亜美に感謝していた。もし亜美が信也に芸能人としての自覚を持てと言われなければ、周りに大きな迷惑を掛けていたかもしれないのだから。
それに彼女はどうやら責任感が強いらしく、自分の側で見守ってくれた。そのおかげで、彼女とよく会話をするようになり、最近では学園で自分に話しかけてくる生徒も増えて、学園生活も楽しいと思えるようになってきたのだ。
全て亜美のおかげ…いや、亜美と冬美のおかげである。
「えっ…て、なんだ…亜美は俺のこと嫌いなのかよ…。」
「い、いや、そ、そんなことない!!…けど…(むしろ好きだし)。」
そう答えた亜美の顔は真っ赤っかだ。
「そ…そうか…よかった。」
「……うん、私も…かな…。」
そんな亜美の照れた顔や表情に当てられたのか、信也の頬にも朱が差し始め…。
「「……てれり。」」
と、2人して、頬を染めた。
意思疎通に若干どころではない齟齬はあるものの、好意という感情は重なっていた2人。
しかし、それは傍から見ればイチャイチャしているようにしか取れず、レニーたちの視線は重なる。
「「「……ジトー。仲がよろしいのですね…。」」」
「まあな。」
そう即答する信也。
そして…。
「あ、あの…その……うん。」テレッテレッテレ。
ぎゅっと信也の腕にさらに紅くなった顔を隠すようにして抱き着く亜美に、レニーたちの視線はさらに鋭くなり…。
「「「……(なにあれ…ずるい)。」」」
亜美の無意識にも大胆な行動、そしてそんな行動にまったく嫌がった様子を見せない信也。
もしかしたら、信也の友人になれば、あんなことをしても許されるのではと思い立つレニーたち3人。
そんな思いから、思わずレニーたちがささっと立ち上がり、信也のもとへと向かおうとした瞬間…。
バーンッ!!
「空美ちゃんのお通りだ〜い!!…ヒック……ん?ありぇ…ヒック…しんやきゅんだ〜、おね〜さんだぞ〜!やっほー、らいぶぶり〜!」
予期せぬ侵入者が現れたのだ。
「げっ…。」




