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序章
異世界なんか行くんじゃなかった。
考えてみればわかる。
1度しかないと言われていた人生をたいして考えずにダラダラ過ごしていたやつが、2度目の人生で頑張れるはずがない。
それに、チート能力があったところで、それをうまく使えるだけの頭がなければどうしようもないのだ。
むしろ不用意に目立ってしまえば危険は増す。
チート能力といえども万能ではない、弱点はあるのだ。
ああ、それをもっと早くに悟っておけば‥。
これは、異世界に転生したものの何もなしえなかった、高藤史郎という一人の男の後悔の物語である。