プロローグ
【プロローグ】
1人ずつ、大切な人の事を思い出してみよう。もうどれくらいの時間ここから出られていないのか、ぼんやりとした光が灯り続けるこの牢獄では分からなくなってしまったけれど、自分を形作る人達のことは、忘れたくない。
「カナヲ」
喉からでた声は、しゃがれていてか細い。自分の声なのか疑うようだった。カナヲ。自分の姉であり、憎むべき存在に奪われてしまった。―――私が弱かったせいで。必ず、取り戻す…と誓ったが、この場所から出ることすら叶わずにいる現状には思わずため息がでる。無事でいるのは繋がっているから「分かる」。だけれど、酷い事をされていないだろうか。あの優しい彼女が、無理だとは思うが、少しでも笑ってくれていたら良い。
「スイートベリィ」
ここへ一緒に来た筈のスイートベリィは、いったいどこへ行ってしまったのだろう。私を逃がす為に彼女自身が彼女の刀身を警備兵である神式兵へ投てきした所までは確認したが、その後徐々に距離が離れてしまい、ついには繋がり以外を感じ取れなくなってしまった。もしかしたら、私と同じく身動きが取れなくなっているのかもしれない。
「…」
ここにきて、心配だと胸にうかんだのはこの二人だけだった。あとは、また静寂がこの牢獄を支配する。二人しか思い浮かぶ人がいないのを、悲しめばいいのか、二人もいると喜べばいいのか。
今日も彼女は、誰もいない冷たい牢獄の中、全身に絡め付いた鉄の錠と、全身に貼られた対魔族用の術式符が破壊出来ないかを試みる。もう、何百回も、それを繰り返しているにも関わらず。
初投稿で、初小説です。かわいい女の子が、容赦なしに物理的にボコボコにされるのが、見たいから自分で書きはじめました。
ただそれだけです。お見苦しい点もあるかと思いますが、何卒よろしくお願いいたします。(20/7/23)