表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/50

第三十四話 対アークザリア精鋭-1-

翌朝、今度は朝食後にアークザリアの兵士が案内に来た。


場所は都市を出てしばらく南に行ったところにある平原だ。


平原に着くと何やら立派な椅子が置いてある。


国王が座るための椅子だろう。あんな大きな椅子を運び出さないといけないとは、兵士の人達も苦労しているのだな。


俺たち5人が先に待っていると、しばらくして馬車が近づいてきた。


国王率いるアークザリア精鋭兵チームだ。確かに離れていてもその強さを感じるな。


ドワーフが一人こちらを見て声をかけてきた。


「なんだ、懐かしい顔だと思えばオルガじゃないか。お前勇者のパーティに入っていたのか。何だ、それなら俺が勇者パーティの方がいいな。今日はよろしくな、はっはっはっ」


ガンと言われるドワーフは一人喚いて離れていった。


まあ、確かに強そうだが、今のオルガも強いからな。


アークザリア国王が大きな椅子に座ったので俺たちは国王の前に集まった。


「話は聞いていると思うが今日は死合いをしてもらう。1対1で4名が戦い勝った者は勇者のパーティメンバーとして魔王討伐に向かう。双方よろしいかな」


俺たちはコクリと頷く。


「死合いと言っても治癒Ⅳが使える僧侶が死んでしまったら大変なことになる。僧侶の死合いだけは結界の強さで勝負することとする」


国王の言うことももっともだ。


僧侶がいなければ蘇生できないし、そもそも僧侶は戦闘職ではないのだから。


「ラン・タージュと言います。よろしくお願いします」


「カル・スメラです。こちらこそよろしくお願いします」


カルさんが相手の僧侶と握手する。ランさんは人間の女性で雰囲気的に性格の良さそうな気がする。


つまり良い人だ。カルさんも基本良い人なんだけどね。


平原に2つのボールが少し離して置かれている。このボールを守るように結界を張るのだ。


その結界に対して最初の1分間は武器で殴り、次の1分間は魔法で攻撃する。


それでも結界が破れない場合は、武器と魔法で結界を壊し早くボールを手に入れた方が勝者だ。


慎重にカルさんが結界を張っていく。


まず武器で結界を破壊する役は、相手がガンでこちらはオルガだ。


武器はアークザリアで使われる一般的なハンマーで行われることとした。


まあ、良い武器使ったら性能で決まってしまうからね。


「それでは始めっ」


国王の声かけでガンもオルガも結界をガンガン叩き始めた。しかし、どちらの結界も硬い。


さすがお互い僧侶レベル99だけのことはある。


普通の武器でこの結界を壊そうとするのなら、俺でも1分では無理だ。


「そこまでぇ。次は魔法攻撃開始」


結局1分では、どちらも結界を壊すことは出来なかった。


2人はさっと離れて魔法に当たらないよう避難した。


「あら、あんたもエルフなのね。私はロメリア・クルト。よろしくね」


「リン・イザル。12歳です」


リンが紹介したときに相手の眉がピクリと動いた。


12歳に反応したようだが、年を気にするタイプなのだろうか。


次はこの2人が魔法を結界に向かって撃つ。


リンはいつものように魔法の矢を幾つも発現させ、1点集中で結界を攻撃する。


対する相手は何やら長い呪文を唱えていた。メテオ(隕石)の呪文だ。


ちょうど結界を覆うぐらいの隕石を呼び出して結界にぶつけさせた。


凄い衝撃が辺りを襲った。しかし、結界周りの土が抉れていたが結界は無傷だった。


「おぉ」


さすがに国王も今の魔法を受け無傷の結界には驚いた様子だった。


再びロメリアが呪文を唱え始めると、その時リンが攻撃していた結界が破壊された。


「えっ何」


ロメリアも驚いたようだ。まさか12歳の魔法で結界が破れるなんて思ってもいなかったのだろう。


「やるわね。これは、対戦するのが楽しみになってきたわ」


負けたのは自分の魔法ではなく結界なのだから、ロメリアはそう思ったのかそれほど気にしていないようだった。


リンも結界がこんなに早く壊れるとは思ってなくてビックリしていた。


俺はリンを手招きした。すっ飛んでくるリンを受け止めて俺はリンを褒めてやった。


「リン、お前はやはり凄いな。この調子で頑張れ」


「うん」


リンも少し自信を取り戻したのかもしれない。


「勝者カル・スメラ」


国王の宣言にカルさんもホっとした。


「カルさんの結界凄かったです。あの魔法でも全く傷がつかないなんて、今度私にも結界のコツ教えてください」


「私に教えることがあるのなら喜んで教えますよ」


相手のランさん、勝負に負けたけど凄く良い人だ。


結界のコツを掴んだらカルさんと交代してもらってもいいくらいだ。


そんな事を考えていたらミーナに耳を引っ張られた。


「マオくん、今変なこと考えていなかった?」


えぇ、ミーナ読心術もあるのか。俺は全然そんなことないよと首を振った。


ランさんとカルさんは国王の隣に立ち、それぞれ結界を張った。


今後の勝負の巻き添えをくらわないようにするためだ。


もちろん、死合いのないメンバーも国王の近くに集まり結界の中で待機していた。


「次はハママ・トーマスが出ろ。勇者パーティは誰が出る?」


国王に言われてイケメンな男がすっと出てきた。


あれは俺が相手してやるか、イケメンのくせにつよそうだからな。


「あ、ハママさんだ。マオくん、あまりいじめないでね」


ミーナ何それ、俺が勝つこと信じてくれているのは分かるけど、あれ、イケメン大好きですか?


「マオ・アークンです。よろしくお願いします」


「よろしく」


相手のハママはすっと握手してきた。この動きさえイケメンだ。よく見れば隙がない。


結構強敵なのかもしれない。


俺たちは、国王から離れ、先ほど結界対決した辺りまで移動した。


少し地面が抉れているところがあるが問題ない。


「それでは、勝負開始っ」


国王の声で勝負が始まった。今日の俺は昨日オルガにもらった滅魔槍を装備している。


早速使う機会があって嬉しい。相手はフェンシングの剣みたいな細い剣を使っていた。


「あなたに恨みなどありませんが、勝負ですので本気でいかせてもらいます」


イケメンが宣言してきたと同時に鋭い突きが襲ってきた。


避けきれず何度か攻撃を受けてしまうが、それほど深い傷ではない。


こちらも攻撃を受けているだけではない。槍で攻撃をしかける。


さすがに火炎突きは何かヤバイ気がしたので使っていないが、こちらの攻撃を相手は躱し続けていた。


イケメンは線が細いだけあって身軽だな。


徐々に槍のスピードを上げていくが、なかなか上手く躱す。そして相手も剣のスピードを上げていく。


なるほど、お互いまだ全然本気じゃないね。相手もこちらが本気でないのに気付いているようだった。


「マオさん、強いですね。さすが勇者パーティのメンバーだ。少し本気ださせていただきます」


イケメンが言うと何と爽やかなセリフになるんだろう。しかし攻撃は凶暴になってきた。


槍で剣を捌くのだが、なぜかくらってしまう。


浅い傷だが、血は出るので傍目にはひどくやられている状態に見えるかもしれない。


「おたくの槍使いヤバイんじゃないの。ギブアップした方がいいんじゃない」


ガンが何か言っているのが聞こえた。あらら、やはり凄く不利に見えるのかな。


ミーナに格好悪いとこ見せてるな。しかし、イケメンの剣筋が見づらい。独特な動きをしている。


上手く避けているつもりなんだが、最後に当てられている。


もう少し動きを大きくしないといけないな。俺は槍の動きと力加減のギアを上げた。


相手は細身だから重たい攻撃を受けると弾け飛んでいく。イケメンも例外ではない。


上手く力を逃がしてはいるが、俺の攻撃を受けると少しずつ体勢を崩す。


体勢が崩れれば有効な攻撃は出来ない。今度は俺が力任せで攻める番だ。


「ひっえ~凄い力だ。若いのに凄いねぇ。これは本気モードでないと殺されるね」


イケメンにはまだ余裕があるみたいだった。


「阿修羅突き」


イケメンの放った突き。それは8本の腕から繰り出される突きだった。


いや、人間だから2本しか腕はないし、武器を持っているのは片手だけなんだけど。


それでも8本の腕が同時に剣を持って襲ってきた。どういう事だとか考える前に避けなければならない。


しかし8本の腕はあらゆるところから攻撃してきたため、逃げる場所がなかった。


それでも必死に距離を離す。


……ブスリと1本の剣が俺の腹あたりを貫いている。あ、これ結構重症パターンのやつだ。


イケメンが剣を抜くとそこから血が噴水のように溢れ出る。


「マオくんっ」


ミーナの叫び声が聞こえる。しまったなあ、手加減とかしなきゃ良かった。


ミーナに余計な心配かけたな。


「その傷では、まともに動けないだろう。ギブアップするならこれ以上攻撃は加えないよ」


さすがイケメンだけでなく優しい。コイツも良い人なんだろう。だが、ギブアップなどするわけがない。


「すまんな。俺も本気出させてもらうわ。ギブアップしたくなったら言ってくれ」


イケメンは俺の殺気を感じとったのか、構えをとった。


だが、無駄だ。俺は本気のスピードで捻りながら槍を突く。


螺旋槍と名付けようか、この槍が触れた部位は例外なく弾け飛ぶ。


俺の放った槍は、イケメンの利き手である右手を腕ごと弾け飛ばした。


一瞬何が起こったか気付かなかったイケメンであったが、すぐに現状に気付いた。


「おぉぉ」


痛みに耐えながらイケメンは左手で剣を拾い直した。構えがぶれていない。


恐らくこのイケメンは両手同じくらいに剣を扱えるのだろう。


イケメンが再び技を使う前に2発目の螺旋槍を放つ。今度は左腕が弾け飛ぶ。


さすがのイケメンも両腕持ってかれたらどうしようもない。


「凄いな、ギブアップだ」


そう言って地面に倒れ込んだ。倒れ方までイケメンなのは勘弁して欲しい。


「勝者マオ・アークン」


国王の勝利宣言とともにランさんとカルさんが駆け寄ってきた。すぐに治癒Ⅳで治療してくれる。


あっという間に俺のケガは全快だ。


イケメンの両腕も元通り。イケメンも意識を取り戻して握手を求めてきた。


なんだコイツ爽やかだ、こういうメンバーは良い奴なんだろうけど俺には合わない。


ミーナのところに戻るとハグされた。


「もう、浅い傷でも血だらけになったら心配なんだからね」


ミーナに怒られてしまった。まあ、でもミーナも気付いていたんだから問題ないな。


「さて、アークザリアの精兵が連敗してしまったが弱かったんだから仕方ない。次は俺の出番かな」


ガンが待ちくたびれたのか自分が出番だと言ってきた。もちろん、こちらのメンバーはオルガだ。


「マオ、ちょっくら行ってくるわ」


オルガが俺に挨拶して準備する。今日のオルガは気合い入ってるわ。これは強いぞ。


ハラハラしているミーナに大丈夫だよと声をかける。


「頑張れオルガーっ」


声を出して応援する。オルガはこちらを振り向かず片手を上げた。


「それでは、勝負開始っ」


ガンとオルガの戦いが始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ