表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/50

第二十九話 レベル99の魔王

「み、皆さん。マオさんが魔族になっているのですよ。驚かないのですか」


ラーシャさんが平然としているパーティメンバーに問いかける。そう言えば正体明かしていなかったな。


いや、明かしててもマズイけど。ミーナがなぜか申し訳なさそうに口を開いた。


「あのねラーシャさん。マオくんは良い魔族なんだよ。私を悪い人達から救ってくれたの」


「御主人さまは、奴隷の私も救ってくれました」


「マオは、カーマの国を魔物の襲撃から救ってくれたな」


「マオさんは、オルも助けてくれたんですよ」


ラーシャさんは、え? え? と理解がついていってないようだ。


「だからね。マオくんは、良い魔族なの」


ミーナが再びラーシャさんに説明する。


「良い魔族って。そんな魔族本当にいるのかしら?」


「目の前にいるでしょう。勇者である私のパーティに加わって、一緒に魔物退治してくれる魔族」


「た、確かにマオさんは、魔族も倒してますね」


「ラーシャ姫。私も最初は驚きましたが事実なのです。魔物は一般的に知性がないため、暴れるだけですが、魔族には人族と同じように知性があります。したがって、マオのように人間の味方になるような魔族もいるし、その逆もいるのです」


ラーシャさんもオルガの説明で何となく納得してくれたみたいだった。


俺は、角と羽を戻してラーシャさんに言った。


「それでも魔族は信用されていないから、俺が魔族だというのは親しい人達以外秘密にしているんだ。今回ラーシャさんにもバレちゃったけど、内緒でお願いします」


「お願いしますねラーシャさん」


ミーナも一緒にお願いしてくれたおかげかラーシャさんも秘密にしますと約束してくれた。


「ミーナさんのご両親は、彼氏が魔族ってご存知なのですか?」


「うん、両親には正直に話をしているよ。驚いて死にかけてたけどね」


おい、ミーナ冗談になってないよね。実際死んでたし。カルさんがいなければ一大事だったよ。


でも今回は、俺の不注意で色々まずかったなぁ。反省しないといけないな。


大した労力も使わず四天王を倒した俺たちは、少し落ち着いてから更に下層を目指すことにした。


つまりは99階。魔王がいる階だ。


まず、魔王の階層に転移したら攻撃に備えてカルさんがいつでも結界を張れるように準備しておくことにした。


まあ、前線では俺とオルガで身体をはってみんなを守るけどね。


オルガは90階層以降で採れる鉱石に興味津々のようだった。


今度は俺とミーナの武器防具も作ってもらいたいものだ。さて、オルガも一段落したところで転移した。


99階層は、だだっ広い大きな部屋だった。ずっと先に巨大な魔力を感じる。


俺たちは魔王のもとへと駆けた。10分ぐらいしてようやく魔王が見えた。大きさは、2mもない。


人型だ。いや、角と羽はあるけど、見た目がピエロ風だ。


名前:ピカヴ・マジカル・デモン

種族:D魔族

スキル:ファイアLv99、ブリザドLv99、サンダーLv99、増殖Lv99、魔眼Lv60、威圧Lv60

称号:ヘルメド魔王

JOB:魔王Lv99

状態:平静


魔眼で確認したが、レベル99の魔王だった。強そうだ。


恐らくこいつの増殖スキルのせいで、自然と魔物の数が増えているに違いない。


威圧もレベル60か。パーティメンバーは大丈夫だろうかと思い周りを見ると、ラーシャさんを除いてみんな大丈夫そうだった。


ラーシャさんは少し恐怖しているみたいだが、ぎりぎり耐えてる感じだ。戦闘には参加できないだろうな。


「この辺りで魔物や魔族を倒しているのは君達かい。何の理由があって、そんな事するんだ」


理由? そう言えば魔物の被害はそんなには出ていないな。


迷宮では、襲ってくるから倒すだけだし、四天王は、俺たちに殺気を放っていたから仕方ないだろう。


「わたしはねぇ、積極的に人間を襲ったりしていないよ。それなのに、人間は魔物魔族を襲う。わたしのような魔王には、勇者をぶつけてくるし、わたしが一体どんな迷惑をかけたと言うんだね」


魔王は、人間に対する愚痴を言うだけで、俺たちには全然攻撃をしてこなかった。


好戦的な魔王ではないのかも知れない。こういう相手はやりにくい。


「勇者のレベルもそこそこ高いし、パーティメンバーのレベルも……ん? お前魔族だよな。何で勇者のパーティに入っている?」


しまった、魔眼持ちには俺のフェイクは効かない。どう答えるべきか、それとも無視すべきか。


「俺とミーナは恋人同士だからな。ミーナを攻撃する奴はみんな敵だ」


言ってやった(主にパーティメンバーに)。それと同時に背中に痛みを感じた。


痛い、痛いから殴るのはやめてリン。俺じゃなきゃヤバイ威力で殴ってるからね。


「くく、勇者にたぶらかされたか。この魔族の恥さらしが」


別にたぶらかされたんじゃなくて、好きになっただけなんだがな。


俺、もとは人間だし、可愛い子いたら惚れるっしょ。


「まあ、お前はその勇者に倒されるためだけに生まれたきた奴だがな」


挑発仕返したら、魔王の表情がすぐに変わった。わかり易い奴だな。


一瞬宙が明るくなったかと思うと、落雷が俺たちを襲ってきた。


ズドーーーーンと凄い音が鳴る。カルさんの結界が俺たちを雷から守ってくれたのだ。


さすが、カルさんだ。すぐに俺たちは攻撃に移る。


オルガと俺が左右から魔王を挟むように。例によってミーナは正面から魔王に向かう。


リンは後ろから援護射撃だ。3人で一斉に斬りかかる。


これなら防ぐことは出来ないだろうと思っていたら、魔王が、フンっと気合いを入れ、なんと腕が6本に増えた。


それぞれ真剣白刃どりのように攻撃を止められた。


マズイ、そう感じるのと同時に氷の槍が地面から襲い掛かってきた。俺は炎魔法で氷槍を防いだ。


ミーナは上手くジャンプで避け、オルガは盾を空飛ぶ絨毯のように下にして防御していた。


あんなやり方でもレベル99の魔法を耐えれるのな。


オルガの作る盾は凄いなと感心した。俺たちは魔王に攻撃の余裕を与えたりしない。


コンビネーションを駆使してすかさず攻撃をくり出していく。この魔王は、どちらかと言えば魔法系だ。


体術とか武器を使って攻撃してくるタイプではない。つまり、俺の親父の劣化版だ。


たとえレベル99であろうと、コイツを倒せないのなら親父なんか絶対無理だ。


さらに無詠唱魔法とはいえ、際限なく武器で攻撃されていたら、集中力が持つわけではない。


どうしても弱めの魔法ぐらいしか連発できない。


俺とミーナは体捌きでかわせるし、オルガは盾で防ぐことができる。


リンは、カルさんやラーシャさんに向けられた魔法を矢で相殺している。


相殺しきれなくてもカルさんの結界が間に合うので、後ろは安心だ。


3対1ということもあり、手数でもこちらが上回り、魔王もだんだん防御ができなくなってきた。


そこにミーナのライトセイバーが魔王の腕を2本切り落とした。


魔王は、消滅する腕を見て危険を感じたのか、すぐに腕を引っこ抜いて、被害を最小限にした。


魔王は回復系のスキルを持っていないから、2本腕がない状態のままだ。


「なかなかやるな。だが、わたしもやられる訳にはいかないんだよ」


魔王が1本腕を上げ、パチンと指を鳴らすと、地面から数百匹のムカデの魔物が現れた。


オルガは危険察知していたのか、後方に下がり、リンたちの近くに移動していた。


魔物の群れは俺たちを2つのパーティに分けた。俺とミーナの前方パーティとリンたち後方パーティだ。


ムカデにレベルは1匹あたりレベル60。


まあまあ強いが、リンたちなら大丈夫だろう。


「ミーナ、前方のムカデの魔物は俺が相手するから、魔王を頼む」


「うん、わかったよマオくん」


ミーナに襲い掛かろうとしている魔物は一瞬で俺が斬り落とす。


ミーナには、魔王と1対1で勝負させたいからだ。ミーナの剣は、ライトセイバーを発動している状態。


つまり、聖なる光を剣に纏わせている状態だから、魔王も手で防いだりはできない。


避けなくてはいけないのだ。


ミーナが魔王を相手にしている間、俺はサクサク魔物を狩っていった。


魔王は、相手が1人になったせいか余裕も出始め、威力ある魔法攻撃も仕掛けてくるようになった。


もちろん、ミーナも避けなければいけない。


そんなミーナが、俺の倒したムカデに足をとられ、バランスを崩した。(ごめんよミーナ)


魔王はチャンスとばかりミーナとの間を詰めてきた。俺はすかさず魔王にライトスマッシュを放つ。


魔王は、何か殺気にでも気付いたのか、間を詰めるのをやめた。


俺の放ったライトスマッシュは、魔王の眼前を通り過ぎていく。


「危なかった。お前も厄介な技が使えるのだな」


魔王は俺の方をチラリと向きながらそう言った。そのチラリが命取りになるのだよ。


ミーナがそんな隙を見逃すはずがない。ミーナの剣が魔王に届く。


それは、すなわち魔王の敗北を意味する。


魔王の体に一太刀浴びせると、みるみるうちに魔王の体が光の粒子となっていく。


「しまった。わたしが一撃くらうとは、何たる不覚」


魔王は、消えゆく体を見ながら最後の言葉を残した。残りは、数十匹のムカデの魔物だ。


リンやオルガも相当数を狩っているようだ。残りの魔物は、2分ぐらいで討伐された。


「ふ~っ。これで魔王を倒したし、魔物が増殖することもなくなるね」


ミーナも魔王が犯人だったことに気付いたようだ。まあ、鑑定スキルで見えてただろうけど。


ラーシャさんもこれで一安心だろう。後は帰って報告すればいいだけだよね。


それにしても今回は、凄い数の魔物や魔族を倒したなぁ。魔眼スキルでみんなのステータスを確認することにした。


名前:マオ・アーク・デモン

種族:D魔族

スキル:魔眼Lv99、魔淫Lv80、ファイアLv99、ライトスマッシュLv94、限界突破

称号:不死身の男

JOB:魔槍師Lv99

状態:平静


名前:ミーナ・セルジロ

種族:人間(女性)

スキル:鑑定Lv99、ハヤブサ斬りLv99、ライトセイバーLv80、防御Lv99、治癒LvⅡ、検知Lv84、結界Lv80、身体強化Lv90

スキル:耐性Lv90、転移Lv88、自動回復Lv91、料理Lv85、真偽Lv77、限界突破

称号:魔王を屠る者

JOB:勇者Lv100

状態:平静


名前:リン・イザル

種族:エルフ族(女性)

スキル:属性アローLv95、クイックショットLv98、魔力感知Lⅴ92、防御Lv1

称号:マオの奴隷

JOB:弓魔師Lv99

状態:御主人さまラブ


名前:オルガ・ノートス

種族:ドワーフ(男性)

スキル:盾持ちLv94、高揚Lv90、真空斬Lv96、鍛冶Lv80、耐性Lv1

称号:カーマ騎士団長

JOB:騎士Lv99

状態:疲労


名前:カル・スメラ

種族:人間(女性)

スキル:治癒LvⅣ、身体強化Lv95、結界Lv95、魔力半減 

称号:癒しの巫女

JOB:僧侶Lv99

状態:平静


名前:ラーシャ・ヘルメド

種族:人間(女性)

スキル:二刀流Lv70、身体強化Lv72 

称号:剣の踊り子

JOB:双剣士Lv78

状態:平静


おぉ、みんな凄く強くなってるな。ラーシャさんなんか、出会ったときと比べたら雲泥の差だな。


地上にいる魔物には、ほぼ負けないだろう。


カルさんは、JOBレベルがマックスになって、新たに魔力半減スキルを覚えたんだな。


半分の魔力で魔法が使えるってことかな。ガンガン結界張っても大丈夫そうだ。


オルガも新たに耐性スキル覚えたな。鍛冶レベルも上がってるし、今度何か作ってもらわないとな。


リンの状態は相変わらずだな。まあ、可愛いけどな。


新たに覚えたスキルは、防御か。リンの弱点をカバーする良いスキルだ。


ミーナは、新たに覚えたスキルはないが、レベルが結構上がったな。


それに限界突破スキルのおかげで、JOBレベルがマックスの99超えてるな。末恐ろしいわ。


そして俺もレベルマックスになって、新スキル限界突破を覚えた。やった~。


これで、ミーナに置いてかれずレベルを上げることが出来る。嬉しいな。


しかし、問題が2つある。


一つは魔淫スキルだ。あれ? 何でこんなに上がってるの。


ミーナとイチャイチャしていたせいなのか、ミーナの耐性スキルも結構高い。


これ、ミーナ以外に魔淫スキル使ったらどうなってしまうんだろう。


こんなに上がっていたらリンにしてもヤバイことになりそうだ。


そして、もう一つの問題は、称号だ。


これは、魔眼スキルや鑑定スキルでは、セットしているものしか見えない。


つまり、セットできる称号候補は、他の人には見えない。


その点だけは、良いのだが、新たに俺の称号に「魔王」が加わった。


なんで? 俺は魔王倒していないけど、なぜこのタイミングで称号取れるのか。


間違っても、この称号だけはセットできない。


さすがに魔王セットしたら、ミーナの俺の見方も変わってくるだろう。


称号は今のままにしておこうと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ