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第二十七話 ヘルメド迷宮四天王-1-

翌日は、俺が先頭、オルガ、ミーナ、ラーシャさん、カルさん、リンの順で進んだ。


10匹、20匹出てきてもサクサク倒して進んで行ったおかげで夕方には迷宮の入り口に着いた。


俺は、思いついたことをミーナに聞いてみた。


「ミーナ。転移スキルって見知らぬ迷宮内でも使える?」


「う~ん、イメージ出来れば可能だと思うけど、どこまでイメージできるかはわからないわね」


聞けばミーナの転移スキルは、転移先がイメージ出来ればそこへ飛ぶことができるらしい。


すなわち、一度訪れた場所であればイメージはしやすい。


ただ、イメージは出来るがイメージが固まるかは別問題らしい。


例えばミーナの実家をイメージしても距離がある場合はぼやけたイメージになるそうだ。


レベルが上がれば、遠くまで転移することも可能なのだろう。


また、初めて来た場所ではイメージが難しいらしい。


それでも探知スキルのおかげで、ある程度の距離なら見知らぬ場所もイメージできるので転移可能だ。


「まあ、いきなり深い階層に行ってもラーシャさんにはキツイだろうから、レベル上げ(寄生でおK)しながら進むとするか」


とりあえず10階層ぐらいまで転移した。魔物のレベルは階層と同じだ。


ラーシャさんがサクサク魔物を狩っていく。ラーシャさんのレベルってもう30超えているからな。


「あれ? ここの魔物って弱くないですか?」


いやいや、あんたが強くなっているんだよ。街にいたときはレベル8だったからね。


「ラーシャさん、自分のステータスを見てください」


ラーシャさんは、俺の言葉を聞いて自分のステータスを確認してみた。


「え、私レベル32になっている。こんなに早くレベルが上がるなんて、やはり勇者のパーティは凄いですね」


まあ、普通のパーティは、毎日魔物を百匹以上狩るなんてことはしないだろうし、迷宮に着くまでに600匹は狩っているな。


次は思い切って40階層まで進んでみる。


さすがにレベル40の魔物となるとラーシャさんでは対応できない。


が、俺たちなら余裕である。


サクサク狩っていくとラーシャさんのレベルも上がっていく。調子に乗って60階層まで降りてみる。


ヘルメド迷宮は、カーマ迷宮よりも大きい。1フロアが巨大なのだ。


まあ、俺の自宅があるアークザリア迷宮とほぼ同じぐらいの大きさだ。


普通こんな広い迷宮だと歩いていても中々魔物には遭遇しない。


探知スキルがあれば避けて進むことさえ可能なのだが、ここは魔物遭遇率が高い。


さすがに10匹の群れとかはないが、2匹ぐらいの魔物にちょくちょく出会う。


オルガやリンにも良い練習台になる。


60階のボスを倒して今日は、ここでキャンプすることにした。


俺たちは、ミーナの美味しい料理を食べてぐっすり寝た。


そして次の日は、一気にヘルメド迷宮最深部と言われる80階層に降りた。


「マオくん、ここから10階以降のところに強い魔力を感じる」


ミーナが80階に着くなり言ってきた。


つまり、この迷宮は90階層以上の深さがあるということだ。


魔王のいる可能性が高くなった。


「その強い魔力は1つかい?」


「ううん、4つくらいあるわ。結構強そう。私達で大丈夫かな」


ミーナが不安になるとは珍しい。恐らく四天王がいるということだな。


しかも高レベルなのだろう。


「四天王かぁ。ということは魔王も居るな」


俺は確信を持った。四天王いるところに魔王在りなのだ。


「ひっ、魔王ですか」


魔王と聞いてラーシャさんが震え始めた。


そりゃ低レベルだった自分が迷宮の奥深くに潜り、しかも魔王がいるとか言われたら恐怖ものだろう。


落ち着かせるために魔淫スキルを……なんて出来るわけもない。


リンは俺の両腕を押さえているし、ミーナはブロック体勢に入っていた。


「ラーシャ姫、ミーナはカーマ迷宮の魔王を倒しています。勇者となって経験を積んだミーナなら大丈夫でしょう」


オルガが怯えているラーシャさんに声をかけた。


「え、ミーナさんは既に魔王を倒しているんですか。凄い…」


ミーナを見るラーシャさんの目が、怪しい。


「あ、でも、ほとんどマオくんがダメージ与えていたから私はトドメだけだったんだけどね」


「さすが、勇者の彼氏さんです。本当にお強いのですね」


ラーシャさんの視線が今度は俺に集中する。2人とも腕を掴まなくてもいいから。それ重いから。


80階層のボスはドラゴンだった。と言っても子供サイズだ。それでも攻撃力は馬鹿にできない。


一撃くらったら大変な痛手だ。


まあ、4人でかかったら雑魚でしたけどね。俺たちのレベルも70を超えてきた。


ミーナは60くらいだ。そしてラーシャさんは40くらい。


四天王のレベルがいくつかは知らないが、突っ込んでみることにした。


四天王のいる階層は95階層だった。


俺たちが着くと、相変わらず宙に浮かんで待っていた。


奴らは俺と似たような見た目で、角と羽を隠せば人間で通るような魔族だった。


すかさず魔眼を使用してみた。


名前:ファン・マジカル・デモン

種族:D魔族

スキル:ファイアLv80、身体強化Lv10

称号:魔王の眷属

JOB:労魔人Lv90

状態:凶暴


名前:ネネ・マジカル・デモン

種族:D魔族(女性タイプ)

スキル:クイックショットLv80、魔力感知Lv80

称号:魔王の眷属

JOB:弓魔師Lv99

状態:凶暴


名前:ノポリ・マジカル・デモン

種族:D魔族(女性タイプ)

スキル:身体強化Lv50、ファストソードLv90、自動回復Lv75、ブリザドLv88

称号:魔王の眷属

JOB:労魔人Lv99

状態:凶暴


名前:タスティ・マジカル・デモン

種族:D魔族

スキル:ライトスマッシュLv80、ブリザドLv99

称号:魔王の眷属

JOB:魔槍師Lv99

状態:凶暴


あらら、思ったよりレベルが高い。こりゃ、魔王のレベルも高いな。


取り敢えず、こいつらを何とかしないとな。


「オルガ、カルさんとラーシャさんは、一番右の魔族を、リンは右から2匹目、俺は一番左の魔族を相手するから、ミーナは左から2匹目の魔族を頼む」


「「はいっ」」


「おう」


「リンの相手は弓魔師Lv99だ。格上だから注意してな」


「わかりました、御主人さま。注意しながら戦います」


リンには勝てないまでも粘っていて欲しい。


俺かミーナが出来るだけ早く倒してオルガやリンをフォローしたいからだ。


俺たちはそれぞれ分かれて敵の目前へと向かった。



〇 オルガ視点


明らかに強く感じるこのプレッシャー。


ここにいる4匹の魔族は、カーマ国のそれとは強さのレベルが全く違う。肌で感じてわかるのだ。


最近は、魔物を相当数狩ってきたため、自分でもレベルが上がっているのを実感しているが、目の前の敵は、それでも格上なのだ。


だが、マオが1匹任せたと言うことは、何とかなると見込んでいるのだろう。


私とカルは期待にこたえなくてはならない。


「雑魚が死ねばいいんだよ」


一番右の魔族はいきなり、ファイアを詠唱してきた。


それはファイアと呼べるものではなく、以前マオがカーマで見せた炎の魔法以上のものだ。


盾の後ろにラーシャさんとカルがくるようにファイアの魔法を防ぐ。


防ぎきれるものなのか。気を込めて盾で炎を寄せ付けないものの熱は感じる。


炎に少しでも触れたら体が溶けるような感じだ。


新しく盾を作っていなければこの攻撃で終わっていたな。


魔族は、魔法を防がられたのが驚きだったのか、動きが止まっていた。


すかさず魔族に近づき、真空斬で斬りつける。


魔族は宙に浮いていたが、真空斬で発生した風の刃が魔族に当たる。


風には雷属性が付与されている。


ただの風かと思っていたところにビリビリくれば魔族もビックリだろう。


バチッという音がして、魔族が降りてきた。


「貴様、楽には死ねんぞ」


魔族は、雑魚だと思っていた相手から攻撃をくらったのが悔しかったのだろう、私を睨みつけた。


そこへカルとラーシャ姫が近寄ってくる。


カルは私の後ろにきた。ラーシャ姫は敵を挟むような位置取りで魔族へ飛び掛かった。


が、レベル差もそうだが体力的にも劣るラーシャ姫の双剣は、魔族に腕で振り払われ、彼女の体ごと吹き飛ばされてしまった。


だが、一瞬でもラーシャ姫に意識を向けたのを見逃しはしなかった。


魔族に近づき斧で連続攻撃を仕掛ける。


魔族も攻撃を体で受けることはマズイと分かっているためか、攻撃を避けようとしていたが、攻撃のいくつかは魔族の体を捉えていた。


「クソっ。うっとおしい斧だな」


魔族にいくつか傷をつけることに成功したが、まともには当てることが出来ていないため、致命傷には至らない。


近接戦はマズイと思ったのか魔族は再び宙に浮いた。


ラーシャ姫は、敵が浮いていると有効な攻撃手段をもたないため、カルの近くに待機した。


真空斬で攻撃するが、魔族は軽く避けてしまう。


隙があれば、魔法攻撃が飛んでくる。


盾で防御できる威力なので良かったが、これでは膠着状態だ。


だが、時間を稼げばマオが敵を倒してこちらに参戦してくれるだろう。


そんな事を思っていたら周りが真っ暗になりました。


「な、なんだこれは…」


「オル、落ち着いて。今、暗闇の結界を張ったの」


後ろの方からカルの声が聞こえてきた。


暗闇の結界? 何のために? 俺には意味がわからなかったが、後にそれを知った。


「結界解除するね」


カルの声が聞こえたと同時に辺りが見え始めた。


見ると魔族が宙にいない。と言うか目の前で顔を押さえながらうずくまっていた。


無意識のうちに私は魔族に近づき、苦しんでいる魔族の首をはねた。


何が起きていたのかわからなかったが、魔族を倒すことが出来たのは良かった。


カルもラーシャ姫も私も無事だ。他の人たちはどうなっているのだろう。


周りを見た私は、それが杞憂であることを理解した。



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