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第十五話 魔王四天王との戦い

俺たちは、初日と同じように敵との遭遇を減らしながら奥深くへと向かった。


1戦ごとの時間が伸びていたため、結果的に戦うより回り道した方が早くなっていた。


魔力も押さえることができるしね。そんなわけで順調に61階から64階はクリアしていった。


65階に降りると確かに大きな魔力を4つ感じた。


そのうちの一つは、昨日の魔族に違いない。


と言うことは、奴らが四天王で魔王も近くにいるということだ。


「ご、御主人さま」


リンが控えめに俺に声をかけてきた。少し震えていた。


「リン、どうした」


「恐らく魔王の魔力かと思われますが、70階に反応があります」


「本当か。ミーナは、ミーナの反応は?」


「ミーナの反応は……ありますが」


ありますが? どういうことだ。


「何かいつものミーナの状態ではないようです。気が全然別人になったりしています」


いつもの状態ではないと言うことは、洗脳されているということか。


殺されてないのは何よりだが、心配なのは変わらない。


「洗脳状態ということか。早く何とかしなくてはいけないな」


「洗脳したのが魔王なら、魔王を倒せば洗脳状態は解除できますよ」


カルさんが俺の後ろから教えてくれた。


「がはは。そうと分かれば四天王もちゃっちゃと倒さないといかんな~」


オルガもヤル気だ。よし、この先の四天王を倒して早く70階を目指そう。


俺たちが奥に進むとかなり開けた場所に出た。


そしてそこには4体のグレーターデーモンが宙に浮いていた。


間違いない、一番左の魔族が昨日ミーナを攫った奴だ。


そいつが俺たち4人の目の前までやってきた。


「マオって奴はいるか?」


その魔族が俺の名前をだしてきた。


「マオは俺だが、何か」


あやうく飛び掛かりそうになる俺をオルガが手を握って止めてくれた。


危ない、危ない、冷静になれ俺。


「昨日捕まえた女がなぁ、『マオくんが来たら、あんたたち何て瞬殺なんだからぁ』とか言っててな、どんな奴かと思ったのさ。まさか、こんな子供だとは思わなかったな。まあ、その女も今じゃ『アルビド様が一番ですぅ』とか尻振ってるがな」


ブツン。何かが切れる音が聞こえた気がした。


切れるってこういう事なのか。収納していた角と翼は自然とでていた。


「何だお前、魔族だったのか。魔族のくせに人間どもとパーティ組むとかおかしい…」


奴が言い切る前に俺は槍を抜いて攻撃していた。


槍は奴の姿に当たらなかった。移転魔法だ。


一瞬で他の3匹のところまで戻っている。


「おぉ、怖ぇ」


ムカツクうえに面倒くさい奴だな。早く倒して行きたいところなのだが。


「マオ、落ち着け。まずは奴らの強さを教えてくれ」


オルガの言葉に少し冷静さを取り戻した俺は魔眼で魔族のステータスを見た。


名前:イー・グレータ・デモン

種族:D魔族

スキル:洗脳Lv5、ファイアLv35、転移Lv1

称号:魔王の眷属

JOB:労魔人Lv45

状態:洗脳(中度)


名前:リャン・グレータ・デモン

種族:D魔族

スキル:洗脳Lv3、ウィンドLv34

称号:魔王の眷属

JOB:労魔人Lv43

状態:洗脳(中度)


名前:サン・グレータ・デモン

種族:D魔族

スキル:洗脳Lv2、ウィンドLv30

称号:魔王の眷属

JOB:労魔人Lv40

状態:洗脳(中度)


名前:スー・グレータ・デモン

種族:D魔族

スキル:洗脳Lv2、ファイアLv30

称号:魔王の眷属

JOB:労魔人Lv30

状態:洗脳(中度)


「リン、俺が一番右の敵を倒したら右から2番目の敵に矢を放て。オルガとカルさんはリンと一緒にその敵を相手してくれ」


「マオは、どうする?」


「俺は残った2匹を相手する。魔族のレベルは40くらいだから、何とかなると思う。一番左の奴が厄介だ」


「うん、御主人さまわかりました」


リンは素直でいい子だな。おかげで冷静さを取り戻したよ。


俺はそれこそ一瞬で間を詰める。


一番右の魔族は俺の動きについて来れない。ライトスマッシュで一閃だ。


断末魔を上げる前に消し去る。


それと同時にリンの矢が次に弱い魔族に当たる。ダメージはほとんどないみたいだった。


「お前の相手は私だ」


リンが恰好良く見える。


矢を当てられた魔族は、子供に馬鹿にされたと思い、リンの方へ向かっていった。


もちろんオルガはリンの前で準備している。


「お前たちは俺が相手してやろう」


残った2匹の魔族が俺を睨む。さきほどのライトスマッシュの威力に驚いたのだろう。


さすがにあれを食らえば自分たちも死ぬということを理解したようだ。


「リャン、協力してやらないといけないガキのようだな」


「そうだな、イー。いつも通り遊んでやろうぜ」


こいつら雑魚を早く倒してミーナを助けないといけない。


ミーナが生きているのがわかったのは良かったけど、色々心配だよ。


ミーナ可愛いのに洗脳とか俺は、絶対許さない。


ミーナのことを思い出したら何か怒りのパワーが溜まってきた。



○リン視点


私の御主人さまは神様です。間違いありません。


魔王の息子という名の神様です。それくらい私は御主人さまのことを思っています。


御主人さまは、人間のミーナという女にぞっこんです。


魔族なのに人間にぞっこんとかどういうことですか。


そもそもぞっこんって何ですか。


私が以前御主人さまにミーナのことをどう思っているのか聞いたら、ぞっこんラブとか仰ってました。


訳がわかりません。


ミーナも御主人さまが好きなようです。それは女性なら当たり前だと思うのです。


御主人さまは、最高なのですから。


そんな神様のような御主人さまとの旅の途中でミーナが攫われました。


御主人さま、一瞬ザマーと思った私を許してください。


御主人さまの怒り、悲しみを見たときに私は無力でした。


もっともっと御主人さまのために働かなければ奴隷になった意味がありません。


ついさっき、ミーナの反応らしきものを発見することが出来ました。


御主人さまも少し喜んでくれたみたいです。


後は、いま目の前にいる四天王とやらを倒して、さっさとミーナを救いに行くのです。



勢いよく私に向かってきた魔族は、オルガさんの盾に止められた。


「おいおい、女子供に容赦ねぇ奴だな」


オルガさんの言葉を無視して、魔族が両手をぶんぶん振り回した。


どうやら風魔法を発動していたらしい。


私とオルガさんの前で空気がぶつかり合う音が聞こえた。


カルさんの結界魔法だ。風の魔法を防いでくれた。


すかさずオルガさんが魔族に斬りつける。もちろん私もクイックショットで応戦だ。


しかし、オルガさんの剣は魔族の身体の前で止まり、私の魔法の矢もはじかれた。


どうやら風の魔法で防御しているみたいだ。


どうしよう。攻撃効かないよう。御主人さまはどう戦っているのでしょうか。


戦闘中にもかかわらず、御主人さまの様子を見るために魔族から視線を外してしまいました。


すると、オルガさんが知らぬ間に私の前に現れて魔族からの攻撃を防いでくれました。


「馬鹿野郎。よそ見してる場合じゃねぇぞ」


口は悪いけど、私のことを心配して声をかけてくれていることは伝わります。


「すみません。ありがとうございます」


魔族は攻撃をガードされるとすぐに空中に逃げて距離をとります。


「クソっ。空中にいるから攻撃しづらいわ、魔法で防御してるわで、やりにくい敵だな」


「大丈夫ですオルガさん。弱点分かりましたから。ちょっと耳を貸してください」


ごにょごにょと作戦をオルガさんに伝えます。


「なるほど私の技のみせどころだな」


私はこくりと頷きます。さすが御主人さまです。


御主人さまのおかげで何とか戦えそうです。

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