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夢を見た
夢を見た
夢だと思いたい
悲しくて泣いていた
夢の幼き俺
何が悲しいか解らず
ただ涙してる
長々と続く坂道
ただひたすら無言で登る
坂の終わりに何がなど
頭の隅にも浮かばず
登る行為のみを促す
ビルが迷路の壁のように建ち並ぶ
何故か見上げても空さえも見えず
霞の中にビルが伸びているのみ
迷路を右に左に迷う事なく進む
覚えこまされた動きのように
迷いなく、思考もなく
何を求め、何の為に
雛鳥が親を求め彷徨うかのように
本能の赴くまま
幼き俺、それを傍観する大人の俺
暖かく優しく恐れのない場所
終わりなどない夢
辿り着く未来もないかもしれない
それでも夢は続く