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それでも
庭を桜の花びらが舞っていた
視界をピンクに染め
春の訪れを喜ぶ
そこにたたずむ君は
物悲しく笑う
何を憂い
そんな顔をする
俺にはどうすることも出来ないのか
今まで優しく包んでくれた
君の笑顔が
俺の心を大空へといざなう
取り戻したいのに
その術を知らない
そんな俺は無力でしかない
人生のスタートをきったところではないか
まだ、やり残したことが
まだ、見つけてないことが
あるではないか
何故、君は諦めたのか
何故、そんな悟った顔をする
何故、笑える
何故、助けてと
手を伸ばさない
俺にはやはり
何も出来ないのかもしれない
君の側にいてやることぐらいしか
それでもいいのかもしれない
君が微笑んでくれる限りは
君の微笑を思い出せる間は
君の微笑がもう戻って来ないのを
知っていても
君の微笑みも
差し出された手をとるのも
俺でなくとも