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愛しさと衝動
夕焼けを見て
一日の疲れも忘れ
懐かしい気分に浸る
薄暗い店
カウンターの片隅で
ジャズの調べ
客とバーテンの
密かな話し声
心地よさに浸る
濃紺に染まる夜空に
何十億をも超える距離を
僅かな光を運び
俺の視界に届く
やっと辿り着いた宿木
ほんのりと暖かさが残る
ついさっきまで
自分の帰りを
待っていただろう
恋人に
口元がほころぶ
ベットに布団の
ふくらみを見つけ
一人ではないことに
安堵する
布団に滑り込む自分に
無意識に
すがり付いてくる
恋人の肌の温もりに
愛しさと強い衝動に
困惑する