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雲
どんよりと
覆いつくす雨雲
時間の感覚を
失いそうな午後
雨のカーテンを
風が吹き抜ければ
傘の役割を裏切り
衣服に雨の足跡を
残していく
冷たさより
肌に張り付く
不快感が
より一層
足取りを重くする
道行く人たちは
一時、雨を避け
建物の中に
吸い込まれていく
俺もその流れに
身を委ね流されていく
魚のようだ
雨が上がれば
人は建物から
吐き出されるように
道に溢れてくる
濁流のように
空を覆いつくしていた
重い雲も小さく砕け
川をさかのぼる
魚のように
風の波に
流されていく