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天使
夏だから暑いのは当たり前
子供は大人のように
バテるとか
ウザいとか
眉間に皺を寄せる事もなく
満面の笑顔で公園を駆け回る
俺もあんなだっただろうか
昔を懐かしむ年齢でもない
少しばかり疲れてるのか
お前に会った日も
真夏日と言われた日だった
高い青空
高く聳え立つ入道雲
バットとグローブを自転車のカゴに放り込み空き地に走る
風が暑さを振り切り心地良い
真剣勝負とばかり
友の放ったボールにバットを振る
そのボールが引き合わせた
俺とお前
割れたガラスがお前に降り注ぎ
揺れるカーテンから漏れる光に
包まれ絵画に描かれた天使の様
幼かった俺
その時のお前が息をする事にも疲れ
諦めたことを知らなかった
体ばかり大人になり
心はまだあの時に置いてきぼりで
幼いままだ
お前に何を言えばいいのか
お前に何をしてやればいいのか
お前と何を話せばいいのか
お前と何をすればいいのか
俺は自分自身を抱くことしかできないのか
お前を抱きしめたい
お前の涙を拭ってやりたい
お前を喜ばせる言葉を紡ぎたい
俺の想い、願い
俺の天使、幸せに微笑んでくれ