~異色コンビの誕生~
原作:ピーたん
キャラ・ストーリー考案:ピーたん
オリジナル作品となっております。
一部グロ注意です。
苦手な方はお戻りください。
〈登場人物〉
【霊淵 憂】レイエン ユウ
年齢:20歳
“霊淵探偵事務所”の主で、探偵。
自傷癖がある為、自傷探偵と呼ばれている。
変わり者の探偵ではあるが、その推理力と観察力は他の探偵とは比べ物にならないほど高い。
隠している過去がある。
長身で細身。顔は美形だが、目の下のクマがすごいので怖く見られがち。
顔に白い絆創膏、首と手首に包帯を巻いている。黒髪赤目。
【慈 心望羽】ウツミ コノハ
年齢:18歳
“霊淵探偵事務所”で助手をしている女子高生。
学校から帰ってくる時に人の死体を目撃して、路地に倒れていた所を霊淵に助けられる。
みんなの頼れるお姉ちゃんタイプで、なにかと面倒を見ることが多い。空手をやっている。
身長はそこまで高くはないが、顔立ちは整っていて、ポニーテールが良く似合う。
黄色の髪に銀色の瞳で、いつも笑顔。
では、本編にいきましょうか。
目の前に広がる紅色。
鼻をつく強い鉄のような臭い。
一血溜まりと原形を留めていない肉片。
そう理解した瞬間、私の意識は暗闇に呑まれていった。
これは、とある女子高生のお世話の物語。
Episode1 『自傷探偵』
「ん……?」
目を覚ますと、私は見知らぬ部屋のベッドにいた。ベッドも部屋もとても綺麗に整えられており、家具はアンティークなものばかり。
恐らく家主の趣味なのだろう。
少し古い蓄音機から美しいピアノ音楽が流れている。確か…ショパンの…なんだったかなぁ。
ぼんやりと思い出しながら、部屋の中を少し歩き回ると、机の引き出しが一つ、不自然に開いているのが見えた。
開けたい…でも…。
いけないとは思いつつもやはり好奇心には勝てず、私は引き出しを開けてしまった。
中には、丁寧に磨き上げられたナイフと使い込まれたカッター、奇妙なデザインの懐中時計が入っていた。
懐中時計を見ると、4時で針が止まっている。
何故かは分からないけれど、何か見てはいけないものを見てしまったような気がして、私は静かに引き出しを閉めた。
と同時に、誰かが部屋に入って来た。
「あ、起きたんだ。僕は霊淵 憂。憂って呼んで。ここの事務所で探偵をしてる。何か困ったことがあったら依頼してきてもいいよ。といってももう困ってると思うけど。」
入ってきたのは長身で細身の綺麗な顔をした、目の下のクマがすごい男性で、その男性は私を見た途端にそう言った。
「私は慈 心望羽です。助けてくださったんですよね、ありがとうございました。」
ところで、どうやって私を助けてくれたのだろうか。そう思ったのが顔に出ていたようで、憂さんは先程までの出来事を説明してくれた。
遡ること数時間前。
依頼された事件を解決し、探偵事務所に戻る途中だった僕は、今日の新聞に出ていた連続殺人事件を調べようとしていた。
一バタッ
突然近くの路地から物音がした。
この音から察するに、人が倒れた音だろう。
まさか…連続殺人事件か…?
そう思った瞬間、足がもう動いていた。
路地に入るとすぐに、女の子が倒れているのが見えた。その前には血溜まりと肉片。
一なるほど。
事件の第一発見者か…。制服でいるということは、女子高生あたりだ。
だとしたらここにこのまま置いて帰る訳にはいかないし、警察に引き渡すと疑われるから……
仕方ないか…事務所に連れて帰ろう。
いくら細いと言われる僕でも、女の子を連れて帰ることぐらいなら出来る。
少し息は上がったが、なんとか事務所に連れて帰ることは出来た。
起きたら話を聞くとしようか…。
一そして現在に至る。
その時のことを思い出しながら私は黙って話を聞いていた。というよりは、声が出せなかった。気分が悪い。
思い出したくなくても思い出してしまう、鮮やかな紅色、鉄のような臭い。
落ち着かせようと静かに目を閉じて、再び開けると、憂さんの綺麗な顔が覗き込んでいた。
「気分悪いでしょ、まだ無理しなくていいからもう少し休んでて。」
やはり見透かされていた。ここはこのまま休ませて頂こう。
「あ…すみません…お言葉に甘えて…。」
私はベッドに横になり、そのまま睡魔に身を任せて意識を落とした。
一嫌な予感がして目が覚める。
憂さんはどこにいる…?少しだけ気分は良くなったが、まだ本調子ではない。
家の中を覚束無い足取りでフラフラさまよっていると、見覚えのある長身が見えた。
「あっ…憂さ」
憂さんに話しかけようとしたところで様子がおかしいことに気付く。
手首にカッターを当てている、そう頭で理解するよりも早く、私は憂さんに駆け寄ってカッターを取り上げた。
「何、してるんですか…!?」
「何、って自傷行為だけど…途中で止められちゃった」
さも当たり前のように憂さんは答えた。もしかして、あの引き出しに入っていたカッターはこの為に…。
「心望羽君が見た引き出しの中に入っていたカッターがこれだ。僕は自傷探偵だから。」
自傷探偵。自傷行為を繰り返す探偵。
私の…恩人。
この人は…いつか死んでしまうかもしれない。
そんなのは…駄目だ…!
まだ憂さんのことをよく知らない筈なのに、私はどういう訳か、そう思った。
「憂さん、私に探偵助手をやらせて下さい。」
無意識の内に口が動いていた。
「え…助手…?」
さらに私は続ける。
「助手じゃなくてもいいんです!憂さんの身の回りのお世話をするだけでもいいですし、家政婦みたいな感じでも構わないです!側に置いてくれるなら何でもいいんです!」
憂さんの自傷行為が止められるなら…!
「うーん…助手がいた事なんてないから分からないけど…まぁ、お願いしてもいいなら…」
やった…!これで自傷行為を止められるかもしれない…!助けられるかもしれない…!
「もちろんです!任せてください!これでも空手をやってましたから、憂さんは私がお守りします!」
「じゃあ、改めてよろしく、助手の慈 心望羽君。」
「はい!よろしくお願いします!憂さん!」
こうして新しい私の日常が始まった。
……訳なのだが。
「そういえばさっき身の回りのお世話をするって言ったと思うんだけど。」
「言いましたけど…?」
「助手も家政婦も両立してもらうことにしたから、頑張ってね。」
ん?
んん?
んんん?
「えっ!?いやちょ、待ってください!まだ本調子じゃないんですけど!」
「あ、そうだ。住み込みね。」
「話聞いてください…っていうか私まだ高校生なんですけど…」
「僕を何歳だと思ってるんだよ。僕はまだ20歳だから。」
「そういう問題じゃなくて…!」
「親?それなら心配ない。見たところ君は一人暮らしをしているから。」
「それも違くて…!」
「他に理由がある?」
この人鈍感すぎる。異常なレベルの鈍感。
いや、これはもう天然だ。
「男の人と女の子が同じ家に住むんですよ!?
何とも思わないんですか!?」
「あぁ、そんなことか。」
“そんなこと”
心が広すぎるんだ…きっと…。
「家賃とかって払った方がいいですか…?」
最も気になっている質問をする。
「家賃は払わなくていい。僕のことを“お世話”するという条件付きだけど。」
なるほど…。
私に拒否権はないんだなぁ…。
とにかく、自傷探偵とお世話JKの不思議な同棲生活が始まったのだった。
一ピーンポーン
インターホンがなった。
来客者だ。
……To be continued
お初にお目にかかります、ピーたんです。
今回の初作品はいかがでしたでしょうか?
普段は二次創作の小説をちまちま書いているので、一次創作作品は慣れないことばかりでした。
文才がないので非常に拙い文だったかと思いますが、ここまで見てくださってありがとうございました。
ここからは作品の内容についてです。
自分でも思ったことは、キャラが濃いなぁと(笑)
名前を考えるところ以外は1日でキャラを考えたので、内容よりキャラの方が頭に入ってくると思います。(名前は頑張って探しました)
私のお気に入りは憂くんです。
自傷探偵というだけあって、どこか冷たい感じがする憂くんですが、心望羽の体調を気遣う場面も見られます。根は優しいんですよ。
逆に心望羽は、最初幼い感じにしようとしていたんですけど、言動が大人っぽくなってしまったので諦めました。憂くんを守ろうとするところが可愛いなと思いながら書いていました。
次回はまたまた濃いキャラが出てきますよ!
お楽しみに!
最後まで読んでくださってありがとうございました。次回もよろしくお願いします!