~キメラ魔獣との戦い?~
このペースを少しでも維持していきたい。
副神アクアの力に覚醒したルナと、ノアによってそうかからないうちに、魔獣はほぼ全滅した。
そして、最後の一匹の魔獣。その魔獣の体に、ノアの剣が魔物を斬った。
バシュッ
そんな音をたてて、魔獣は、血色の花を咲かせ、命を散らした。
ノアは、両手に持っていた剣を手から放した。地面に刺さろうとしたとき、剣は一瞬、青く光り、炎のようなものをあげると塵になり、そこに吹く風にのってどこかへと、行ってしまった。
たったったっ と走っている音がだんだんとノアに近づいていてく。
そっちに、ノアが視線をやると、ルナが走ってきていた。ノアは、一瞬 誰? と地味に本気で思ってしまった。
ーどうやら、神の力。つまりは、副神アクアの力に目覚めたようですね。魔力も覚醒前と覚醒後では、比べものにもなりませんね。ー
神々しい、女性の声がした。ガイアである。
久々に登場したな、ガイアさん。と内心、少し笑っていたノアもいたりした。
ノアも、神々の力に覚醒したおかげで、前まで、全く感じていなかった魔力も普通に感じられるようになった。
ーちなみに、副神アクアの能力は、水属性の魔法限定だが、威力は、通常の1.5倍。そして、使用する魔力は、本来の0.75倍ですむのだ。
まぁ、ノアに宿る炎神イグニは、消費魔力0,25倍で威力は、10倍以上だから、その辺が主神と副神の違いだな。ー
最後の言葉は、ノア自身ちょっと恐くなったので、スルーしといた。
そして、副神アクアの力に覚醒したルナは、蓋が開いた壺から出るように、魔力が溢れでていたようだ。
しかも、まだまだ余裕!という表情をしている。
さっきの戦闘で、本能的な「死」という恐怖を感じたのか、それとも、仲間を呼びに行ったのかは、わからないが、それなりの数の魔獣が森へと逃げてしまった。
また、いつ襲われるかわからない状況にはしたくないと思ったノアは、走ってきて、近くにいたルナに声をかける。
「森に逃げた魔獣も殺るが、一緒に来るか?」
ルナは、その言葉を聞いて、少し俯きながら考えて、答えを出した。
返ってきてた返信は、NOだった。
初めて、あれだけの魔獣の数を相手にしたのだ。人ではないとはいえ、それでも獣に近く、血や臓物など飛散するだろう。
精神的に堪えたのだろうと考え、さっきの返事に頷くと、森に入り込んだ。
「頑張ってね~!」
そんな、ルナの声が聞こえてきた。ノアは、、、
ー俺だってあんな数の魔物を相手にしたのだって、初めてで地味にけっこう、精神的にきてるんだからな!
頑張ってね~とか言うなら一緒に来てくれよぉぉー
とかいう、悲痛な叫びを、ノアの中にいるガイアは、聞いた気がするが・・・気のせいだろうとスルゥーしといた。
ーーー30分か40分後ーーー
「これを狩れば、最後の一匹だ!っとよいしょ!」
そこには、ノアの魔獣を作業用BGMを頭の中に、流しながら、魔獣を殺っていくノアの姿があった。
「'探索魔法'」
そういうと、ノアの頭の中にラスト1匹の魔物との距離や方角が頭の中に入ってきた。
「・・・なんだ?これは魔獣?マルテと似てるな。幾つもの魔獣の反応がする。明らかにさっきまでとは、別格の魔獣だな。とりあえず、行ってみるか。」
その混合魔獣がいる場所へと移動するノア。
その魔獣は、森の中にある、洞窟にいるようだった。
「'錬成'」
ノアがそう言うと、地面からニョキニョキと2つの鉄のロングソードが出てくる。 それを、しっかりと手に握りしめると洞窟
の中へと、ゆっくり入っていく。
カツカツっと洞窟の中で、ノアの足音が響きわたる。
そして、5分ほど歩くと洞窟の奥へと到着した。そこには、なにもいなかった。歩いてる時も、なにも遭遇していない。
「'探査魔法'」
再び、魔法を発動すると、ノアの目の前に混合魔獣はいるということだった。
ヒュッ
風をきる音がした。その音の発生源は、、、
「上か!」
ノアは上を見ると、4メートルほどはある、巨大な影がノアに向かって、猛スピードで落ちてくる。
ノアは、反射神経をフル活用して全力で後ろにステップを踏んで後退した。
だがしかし、気付くのが遅かったのか、それとも、その巨大な影のスピードが速かったのかは、わからないが完全に避けることはできなかった。
ノアの左腕から血が滴り、ピチャッピチャッと静かな洞窟内に響く。ノアの左腕を見ると、黒いコートの左腕が、爪で切り裂かれているようだった。そこから、ノアの赤い肉が見える。
天井から猛スピードで落ちてきた巨大な影の全貌が見えた。
その魔獣の体はライオンを主にして、ライオンの顔の左ヤギの顔、反対側に虎の顔があった。
更に背中からは、コウモリのような翼。尻尾は蛇になって、それ自体に意志があるのか、ノアの方を見ている。
この魔獣の名は混成魔獣。あらゆる魔獣を混ぜて、生まれた「キメラ」だった。
魔獣を混ぜているから、幾つもの魔獣を混ぜた薬を注入したマルテと反応が似ていた。
ノアは、戦闘態勢に入る。だが左手は、傷が深くあまり思うように動かない。おそらく、回復魔法をかけようとした瞬間には、キメラ魔獣がとんできて、ノアの首から上は体とさようならをするだろう。
だからノアは、仕方なく左手をブランと力を入れず、ぶらさげている感じにした。それでも、右手でしっかりと構える。
お互いの出方を様子見しているのだろう。しばらくの間か、それとも10秒より少ないか、それは分からないが先に動いたのはキメラ魔獣だ。
ノアに向かって、一直線でとんでくる。ノアは防御をした場合、片手でしか力を入れることは出来ない。そうした場合、力ではキメラ魔獣に負けてしまう。そしたら、一瞬であの世行きだ。
だからノアは、紙一重で左に回避することを選んだ。ぎりぎりで傷1つ負うことなく、回避できた。武神スサノオから、授けてもらったものは、彼の記憶や動体視力などなど。記憶とは、いうなれば技術でもある。いくつもの戦場を越えた経験や技術で、最近まで戦いとは、程遠かった生活に身を置いていても紙一重の回避を実現することができた。
紙一重に回避をしたあと、カウンターを入れるべく右手に力を込めて、攻撃をする。
「'三禍月!'」
ノアのロングソードの縦振りの剣による攻撃は、同時に縦方向の3つの剣閃となって、キメラ魔獣に襲いかかる。
攻撃モーションへと入っていたキメラ魔獣は、避けることは出来ずに3つの縦方向の傷を受けて、一気に距離をとった。
キメラ魔獣のヤギの顔の目が一瞬光ると、キメラ魔獣の負った傷がみるみる塞がり、やがてなにもなかった状態へと戻った。
ーなっ!?傷が塞がってるだと!!あのヤギの魔獣の能力か。おそらく、それがヤギ魔獣の力なのか・・・ー
ノアは、キメラ魔獣から目を外すことなく、キメラ魔獣を分析していた。
次に攻撃を仕掛けたのはノアだった。今度も剣による普通の攻撃をしかけた。キメラ魔獣は、特に避ける素振りを見せずに4つの足で立っているだけだった。そのまま、ノアは、キメラ魔獣に剣で斬ろうとした。
ガキンッと鉄同士がぶつかりあうような音をたてて、ノアは、弾かれたことによって、後ろに大きく傾くようにしてバランスを崩した。
キメラ魔獣は、体毛を鉄なみの固さへと硬化していた。
尻尾の蛇がノアに噛みつこうとするが、
「'上級障壁魔法'!」
何とか間に合った障壁で噛みつこうとする蛇を退けられた。
一気に距離をとるノア。
「ま、こんなもかな・・・いやーやっぱり戦闘にはまだあんまり慣れてねぇな~」
ノアが余裕そうに、そんなことを呟く。キメラ魔獣は、何故か首を傾げる。
ー本当ですね。敵と戦うためにも、ノアさん自身の技術を上げて欲しかったんですけど・・・やっぱり回数を重ねるしかないですね。でも、今回は予想以上にやってくれました。ー
そんなガイアの言葉がノアの頭の中に響く。
・・・このキメラ魔獣との戦いにおいて神々の力を3割以下に抑えて、ノア自身の能力もちょっとは、上げていこうとガイアが提案してきたのでその提案をノアは、受け入れて神々の力を抑えていたのだが・・・日が落ち始めて、とっとと寝たいと思ったノアは、神々の力を極限まで高めた。
その瞬間、ノアから魔力やら圧力やらがキメラ魔獣を一瞬ビクッと震わせた。
「ほら、今までの返しだ。受け取れ。」
そう言って、ノアは右手を上に掲げて、その魔法の名を口にする。
「フレイム・ヴァッサス」
その魔法を発動すると、ノアの頭上に炎の球が出てきた。ルナのアクア・ヴァッサスの炎版である。
しかし、その炎の大きさやエネルギー量は、ルナのやつとは比較にならないほど凄まじい。
30本の炎の槍がノアの周りに形成される。もちろん、その矛先は、キメラ魔獣へと向く。そのキメラ魔獣の瞳には、涙が浮かんでいる、、、ように見える。
「頑張って耐えてみな。」
そうノアが言った瞬間、炎の槍が10本ずつ高速で放たれていく。キメラ魔獣は、あの速さでは避けることは無理だと判断し、体毛を極限まで硬化した。
キメラ魔獣に、衝撃がくる。そして、硬化など無意味だと言わんばかりに、傷がついていく。
そして、炎の槍も尽きそうになる。
なんとか耐えた!と歓喜しそうなキメラだったが、次の瞬間、ノアの周りに炎の槍が形成されていく。
もう、涙目のキメラ魔獣である。
その後、悪魔による、怒涛の槍攻撃が終わると、そこには、キメラ魔獣の姿はなく、血が地面に広がっていた。
最強の一般人?の戦争13
~キメラ魔獣との戦い?~ 完
書くのって難しい!
次回をお楽しみに~