光源 / Base Ball Bear
3人体制となって出した、初めてのフルアルバムとなります。
僕はこのバンドがデビューしたときから応援してきたのですが、ギターの方が脱退するというニュースを見たときは、本当に目の前が真っ暗になりました。
しかし、そんな彼らのアルバム「光源」はそんな苦しみさえも飲み込んでしまった作品となっていました。
今回のアルバムのテーマが「2週目の青春」なのだそうです。
「青春」というのは、このバンドがデビュー当時から言われ続けてきた世界観です。
最近はその「青春」から遠ざかっていく音楽やテーマに取り組んでいましたが、今回この「青春」に戻ってきたことで、デビュー当時との違いがくっきりと分かります。
そして、このバンドが改めて地続きで進んできたバンドなのだと実感させられました。
僕がこのバンドを応援していた理由の大きな一つとして、「メンバー以外の音をいれない」という鎖を作っていたことです。
しかし、ギターの脱退によってその鎖はほどかなくてはいけない。
そこで今まで使われることの無かったシンセやホーン、ピアノなどの音が入ってきましたが、本当に最低限で、このバンドのポテンシャルの高さが分かります。
作詞作曲を担当している小出祐介という男は、学生時代、周囲から完全に省かれている経験をしています。
その中で、バンドを組んでライブハウスで認められていく、という稀な経験をしていきます。
「光があるからこそ闇がある」
今回のアルバムのタイトルである「光源」というのはそういった経験があるからこそだと思います。
このアルバムに収録されている「リアリティーズ」という曲はその経験が、ひしひしと伝わってくる。
小出祐介という男の作家性も楽しんでいただけたらと思います。
学生だけではない青春の形、楽しんでみてはいかがでしょうか?