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春風
幼い鼓動を胸に隠したまま
3月の風に吹かれて
色褪せることない
思い出たちが愛しく重く降り注ぐ
輝いていた過去に縋っても
今という自分は変わらない
僕ら出逢った季節は
遅く早く過ぎていった
きっと今なら空へと
羽ばたけるだろう
夢を失ったあの日も
春の匂いに染められて
例え離れていてもずっと
一緒さ
錆び付いたナイフは
あの人に預けた
でも自分の傷は自分で癒した
支えられた
笑ったりした
遠い思い出ほどいとおしい
僕ら出逢ったあの日から
少しは変われたかな
ちゃちな夢でもぶら下げた
無邪気なあの笑顔より
今は少し大人にも
なれた気がするけれど
きっと何一つ変わっていなくて
でも少し違うだろう
寂しく散らす桜の木の下で
いつかまたもう一度出会いたい
僕ら恋した季節も
愛を知ったあの日も
見つけられた未来の
難しさも
ずっと手を繋ぎ歩いていた
隣を見て笑っていた
旅立ちの日だ 友よ
ありがとう




