前書き
明かされる、ボルサリーノの過去…
遥か昔のことがつい昨日のように思えちまう。ネクタイをほどいて、ハンガーにかけ、ジャケットにブラシをかけた。不思議なものだ。かつて、銃を手放すことのなかったこの右腕に、万年筆が握られている。人の胸ぐらを掴んでいた左手には、紙を押さえる役割ができた。チャールズ・J・ボルサリーノ……。それが俺の名前だ。硝煙をたっぷり浴びてすっかり吸い込んだジャケットと、赤い染みを落とすために何度もクリーニングに出したスラックスを身につけ、俺は自室にいる。いつ死ぬかわからない仕事だが、我がファミリーがアメリカの長として、暗黒街に、裏社会に君臨した今、自分の歴史について振り替えるのも悪くないだろう。今だけは赤い血を見ることなく、落ち着いていられる。今夜は長くなりそうだが、ゆっくり自分に向き合える気がした。
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これは、一人の男が歩んだ道のりの記録……。いや、一人の男の生きた証である。
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