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とんだ夏の虫の知らせ

 八月十五日、一人暮らしの私の家に父親が来た。

 私は呼んだ憶えがないし、父からの連絡もなく突然のことである。

 お盆は帰省せず、ひとり気楽に過ごしていたのでビックリ仰天だ。予定外の訪問だから、もてなそうにもロクな飲食物ものがない。

「いまウチには何も無いから、何か買って来ようか?リクエストある?」

 実の親であっても別所帯になると子供の方は気を遣う。

「親が帰ってきたのに何も用意してないのか!」

 しかし、父の方は不満爆発といわんばかりの文句。

 さすがにムッときて、

「いきなり押しかけて来たんだから当たり前でしょっ!」

 怒鳴り返したところで目が覚めた。その途端に悟る。

 あ~、お盆だものねぇ。

 だからと言って迎え火も焚いてないのに、何故こっちへ来る?

 仏壇がある実家へ帰れ!お墓だって実家のそばだろうに。

 創作物しょうせつのような夢オチだけど、亡父に対する懐かしさでしんみりするよりも腹立たしくて落ち着かない。

 世間では『親の心子知らず』と言う。確かに親は子を気に掛けるんだろうけど、気は遣わない。他人なら当然の心配りが『水臭い』らしい。少なくとも、私の親はそうだった。

 あの世とこの世に別れてまで親子喧嘩はしたくないけれど。

 せめて一言物申させてくれ。

 親しき仲にも礼儀ありだろう、と。

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