監禁
<監禁>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ん・・。」
京典は、頭痛と共に目を覚ました。目には、自分の部屋とは違う景色が写る。
(いった・・何や頭痛い・・)
そう思いながら、体を起こそうとした。
「・・・え?」
体が動かない。動かないというよりは、動けない。
「何や・・?」
そう思い、腕に力をこめる。
「・・たっ。」
手首に若干の痛みが走った。
「何やね」
手首を見ようとした時、自分の両腕がバンザイの状態なのに気づく。
「は・・?」
その腕を、視線が辿っていくと、手首に黒い皮製の物が巻かれている。
「何やこれ・・っ。」
その皮製の物は、鎖と繋がっており、鎖はベッドの柵へと繋がっていた。
「はぁっ!?」
慌てて首を上げ、自分の体を見ると、ボトムは履いているものの、上半身は裸で、しかも両手足首が黒い皮製の物で縛られている。
「な、何で・・っ。」
グググっと体を動かしてみるものの、ビクともしない。
「どないなってんねんっ。」
夢かと思うような状態に、京典の頭は混乱する。
ガチャ・・
「あら?目が覚めたの?」
「はっ?」
その時、ドアが開き、女が入って来る。
「お、お前・・っ。」
「おはよう、京典さん。」
そう言って、ニッコリ笑う女は、総務の中原葵だった。
「どういう事なんだっ?」
「よく寝てましたよ?フフフ。」
「はぁっ!?」
中原は、笑みを浮かべたまま京典に近づいてくる。
「お腹すいたでしょ?朝ごはん、食べましょ?」
「そんな事より、コレ外せよ。」
京典は低い声で言う。
「ダメよ。」
「は?」
「外したら京典さん、また浮気するでしょ?」
「はぁ?何言ってんだ?てか、お前何なんだよ。」
「このベッドで、愛し合ってたでしょ?私達。」
「は・・ぁ?」
ねっとりとした中原の視線に、京典は不気味さを感じる。
「とりあえず・・何でこんな事になってんだよ。」
「京典さん。」
「名前で呼ぶな。」
「どうして?」
「オレは、好きでもないヤツに、名前で呼ばれたくねーんだよ。」
「テレちゃって。」
「は?」
「私の事、好きでしょぉ?」
「何言うて」
「好きでしょ?」
そう言いながら、中原は、京典の胸元に指をツーっと這わす。
「やめろっ。」
「どうして?私、何度もこの胸に抱かれたのよ?」
「昔の事だよな?」
「今もよ?」
「お前何言ってんだ?」
「京典さん。」
「呼ぶなつってんだろ。」
「許さないわよ。」
「は?」
「私以外と付き合うなんて。」
「は・・?」
それまで微笑んでいた中原の顔が、急に豹変する。
「ちょ・・っ。」
中原が、京典の体に馬乗りになる。
「何やってんだ・・っ。」
「気持ちいい事しましょ?」
「は・・っ?」
「してあげる。」
「やめ・・っ。」
京典は必死で体を動かすも、縛られている手足が動かず、どうしようもない。
「フフフ。」
中原は、京典の下半身をススーっと触る。
「触んなっ。」
「愛してるわ、京典さん・・。」
「やめろっ。」
中原が、京典のボトムのチャックに手をかける。
「やめろ言うてんねんっ!」
声を荒げる京典を見ながら、中原はニッコリと微笑んだ。