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<最初で最後>


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「・・んん・・。」


私は、何となく目が醒めた。まだ真っ暗な部屋が映り、夜中だという事が分かる。


「・・・・アレ?」


寝る前には、隣にいた京典がいない。


「・・・トイレ・・?」


そう思い、少しの間ベッドの上で、じっとしていたが、戻ってくる気配はない。


(どこ行ったんだろ・・?)


ベッドから起き上がると、そのままリビングへと向かう。


「・・・・?」


暗い部屋を、月明かりを頼りに見渡す。


「ん・・?」


ベランダに繋がるガラス戸が開いており、そこから風が入っているため、カーテンが揺れている。


(外にいるのかな・・?)


私はパジャマの襟を掴み寄せると、そのまま揺れるカーテンの傍まで歩く。


(京さん・・・・)


ベランダには、カーディガンを羽織った京典が居た。花台に持たれ、グラスを持ったまま外を眺めている。


「・・・・・。」


その横顔が、何だか寂しそうで、私は胸がきゅぅっとなる。


「・・・おわっ。」


ふいに振り返った京典は、私の姿に驚いている。


「な、何や桃か・・。ビビったやんけ。」


そう言いながら、目をパチクリさせている。


「どした?」

「・・・京さんこそ・・。」


私はそう言いながら、ベランダに出る。


「あかん。」

「え・・?」

「寒いやろ、そんな格好。」

「あ・・。」

「部屋入って、寝ろ。」

「・・・ヤダ。」

「何でやねん。」

「京さんは?」

「オレは・・。」

「京さんがいなきゃ、寝ない。」

「・・・しゃぁないなぁ。」


軽く笑った京典は、リビングに置いてあった、自分の上着を持ってきた。


「これ、着てろ。」

「・・はい。」


私は、上着を着ると、京典の隣に並ぶ。


「それ・・お酒?」

「ん?」


グラスに入っている、飴色の液体を見ながら、聞いてみる。


「ウィスキー。」

「ふ~ん・・。美味しいの?」

「飲むか?」

「うん・・。」


グラスを手渡され、私は一口飲んでみる。


「うぇ・・。」

「ククク。」

「何これ・・全然美味しくない・・。」

「ジュースやないからな。」

「京さんは、美味しいの?」

「ん~・・美味いとは思わへんかな。」

「だったら、どうして飲むの?」

「寝付けへんかったから。」

「ふーん・・。」


そう言いながら、京典はまた一口飲む。


「・・・京さん。」

「ん?」

「・・・何かあったんですか・・?」

「え?」

「ほんとの事・・教えて下さい・・。」


私は、京典をじっと見る。


「ほんとの事?」

「・・・寝坊なんて・・うそでしょ?」

「その話かい。」


京典は軽く笑う。


「マネージャーは・・知ってるんでしょ?ほんとの事・・。」

「ほんまも何も、寝坊やし。」

「どうして、私だけ教えてくれないの・・?」

「やから、寝坊ですがな。」

「・・・うそつき・・。」

「そんなん言われてもなぁ。」

「教えてくれないの・・?」

「教えようがないやんけ。ほんまの事言うてんのやから。」


そう言いながら、京典は笑顔で私を見る。


「・・・私には言えないんですか・・?」

「言うてるよ?」

「・・・言いたくないんですね・・。」

「何でやねん。」


私は、くるりと体を反転させる。


「桃?」

「・・・いいです、今回は・・。」

「え?」

「騙されてあげます・・。」

「何やそれ、ククク。」

「でも・・。」

「ん?」

「最初で最後ですよ・・?もう、ウソつかないで下さい・・。」

「・・・桃。」


京典は、私を抱き寄せる。


「・・・お酒臭い・・。」

「え・・。」

「・・・ついでに、煙草臭い・・。」

「すんませんね。」

「・・・でも、京さんなら・・平気。」

「ん?」

「煙草の匂いも、お酒の匂いも嫌いだけど・・京さんだったら、平気です。」

「・・ありがと。」

「京さん。」

「ん?」

「大好き。」

「へ?」

「大好き。京さんが大好き。」

「・・・ふ。」


私は、京典にぎゅぅっと抱きつく。


「桃。」

「はい・・。」

「オレはな。」

「はい?」

「桃以外、おれへんねん。」

「え・・?」

「桃は何しても可愛いねんから、大好きとか言われたら、どうしたらええねん。」

「は・・?」

「酒臭くて煙草臭い京さんですけど、キスしてもいいですか?」

「・・・はぃ・・。」


私は、笑顔で返事をする。そして、京典の唇が降りてきた。


(桃は・・オレの心を掴んで離してくれそうにないなぁ・・ちゅうか、オレが離さへんか・・ククク)


桃日に口付けながら、京典はそう思ったのだった。

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