理由
<理由>
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「何やねん、受け取れや。」
「いらないって言ってるでしょっ。」
「遠慮すんなて。」
「遠慮じゃないですっ。」
詰め寄ってくる京典を、私は力いっぱい押し返す。
「必死やな、んははははっ。」
「何よっ。」
「クククク。ほんま、桃とおったら癒されるわ~。」
「え・・?」
そう言いながら、お茶を飲む京典を私はじっと見る。
「あの。」
「ん?」
「まだ聞いてません。」
「何?」
「どうして・・今まですぐに帰らされてたのか・・。」
「あ~。」
「・・どうしてですか?」
キッチンから出てきた京典は、ニヤリと笑う。
「聞きたい?」
「・・・はい。」
「そんな大した事ちゃうねんけど。」
「え・・?」
「桃は、実家やろ?」
「はい・・。」
「やから。」
「え?」
「それだけの事。」
「ど、どういう・・?」
「実家住まいの二十歳の娘を、易々と外泊させるわけにはいかんでしょーが。」
「は・・?」
「年上の責任。」
「はぁ・・。」
「桃が一人暮らしやったら、とっくにココ連れてきて、一緒に住んでるトコやねんで?」
「は?」
「何で、別々に住まなならん。」
「い、家は別々でしょ・・?」
「何で。」
「だ、だって・・っ。」
「ん?」
「・・・ふ・・ぅふでもないんだし・・。」
私はボソボソと聞こえないような声で言う。
「はぁ~?何~?」
「な、何でもない・・。」
「夫婦でもないんだし、つったか~?」
「き、聞こえてるんじゃないですか・・っ。」
「ククク。」
「・・逆に聞きたいんですけど・・。」
「ん?」
「どうして・・今日は泊まれって・・言ったの・・?」
「ん~?」
じっと京典を見る私を、彼はニヤニヤしながら見てくる。
「何ですか・・?」
「帰したくないから。」
「はい?」
「桃を、帰したくないから、泊まれっつたの。それだけ。」
「・・じゃぁ、今までは・・帰したかったって事ですか・・?」
「何でやねん。」
「だって・・。」
「あのなぁ、一から十まで話せなあかんのか?」
「え?」
「もっとこう、ニュアンスで理解しろ。」
「・・・できないもん・・。」
「パンダやから?」
「それは全く関係ないでしょっ!?」
「ぶははははっ。」
「パンダパンダって、いつまで言うの!?」
「いつまでも言う。」
「止めてください!」
「無理やねぇ。」
「何でっ!?」
「ククク。」
私は、京典の肩をバシっと叩いた。
「痛いなぁ、お前は。」
「バカッ。」
「ククク。」
私は、京典を思いっきり睨むと、プイっと横を向く。
(ふっ・・可愛いやつ・・)
京典の桃日を見る顔が、自然とニヤけてくる。
「オイ、パンダ。」
「パンダじゃないっ!!」
「水浴びしてこい。」
「み、水浴び!?」
「人間界は風呂やけど、パンダ界は水浴びっちゅうねやろ?」
「っ!?京さん、ほんっと最低!!!」
「ククク。」
「京さんが先に入ればっ!」
「ええよ、パンダの桃ちゃんからどうぞ。」
「バカッ!!!!」
「あ、一緒に入って、洗ってやるわ。桃ちゃん~おいで~?」
「ほんとムカツク!!!!!」
「んはははは。」
私は京典をキっと睨む。
「こわ~。」
「・・・お風呂は、京さん先に入って・・。」
「桃入れって。」
「ここ、京さんの家だし。」
「関係ないやん。」
「ダメ。」
「一緒にはい」
「絶対ヤダ!」
「かぶせてくんなや。」
「早く入って。」
「ったく、我侭なパン」
バシッ
「いった。」
またパンダと言おうとした京典の背中を、私は思いっきり叩く。
「それ以上パンダって言うなら、私帰るからね。」
「え?」
「本気だからね。」
「ククク、はいはい。」
「・・・・。」
「ほな、風呂入ってくるわ。」
「・・・・はい。」
「大人しく待ってろな?」
「・・うん。」
京典は立ち上がると、バスルームへと向かった。




