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泊まっていかへん?

<泊まっていかへん?>


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ん・・?」


マンションのロビーにあるソファに、誰か座っている事に気づく。自分には関係な

いと思い、そのまま通り過ぎようとした。


「・・・っ、京さん!」

「へ?」


名前を呼ばれ振り向くと、そこには心配そうな顔をした桃日が立っていた。


「も、桃・・っ!」

「良かったぁ・・良かったぁ・・。」

「あ・・。」


京典の姿を見た私は、そのまま抱きついた。


「・・ふぇ・・っく・・。」

「桃・・。」

「・・・っく・・しんぱ・・したんだから・・っ。」

「ん・・ごめんな・・。」


泣き出してしまった私は、うまく喋れない。そんな私を、京典は優しく抱き返して

くれた。


「朝・・マネージャーから、京さんが出勤してないって聞いて・・携帯に電話して

 も繋がらないし・・何かあったんじゃないかって・・心配で心配で・・。」

「ん・・。」


京典の部屋に入った私は、不安だった気持ちを吐き出す。


「ごめんな・・心配かけて。」

「ううん・・京さんが無事で良かった・・。」


じっと京典を見つめると、柔らかい笑顔が返ってくる。その笑顔に、私は胸がきゅんとなる。


「・・・京さん・・。」

「ん?」

「・・・何かあったの・・?」

「え・・。」

「マネージャーは寝坊したんだって言ってたんだけど・・私、そんな風には・・。」

「寝坊やよ。」

「・・うそ・・。」

「ほんま。」


疑う私に、京典は笑いながら言う。


「だって・・京さんが寝坊だなんて・・。」

「オレかて、寝坊ぐらいするがな。」

「でも、昨日は一緒にご飯食べて・・。」

「桃送った後な、もう一回店戻ってん。」

「え?」

「で、マスターと飲みながら話こんで、そのままマスターの家に移動して、また飲んで。」

「・・・。」

「で、気ぃついたら昼過ぎやったと。」

「・・・ほんとに?」

「ほんま。で、課長に今日は出勤してくんな、て言われた。」

「え・・っ!?」

「んははは。」

「笑い事じゃないですよっ!?」

「そうやな、ククク。」

「だ、大丈夫なんですか・・?」

「ん。」


笑う京典を、私は不安げに見る。


「そんな顔すんなて。」

「こんな顔にもなりますぅ・・。」

「ククク。大丈夫やから。」

「・・・はぃ・・。」


京典は、私の頭をポンポンと軽く撫でる。


「あ、せや。」

「え?」

「桃にえーもんやる。」

「何ですか・・?」


京典は立ち上がると、上着のポケットをゴソゴソしている。


「手、出して。」

「?」


言われるまま手を出すと、ポンとチョコレートの箱を渡される。


「え?」

「嫌いか?チョコ。」

「す、好きだけど・・。」

「ほな食べ。」

「は、はぁ・・。」


京典はそのままキッチンへ行き、冷蔵庫から飲み物を取り出している。


「あのぉ・・。」

「ん?」

「私・・帰りますね・・?」

「は?」


お茶を飲もうとしていた京典は、目を大きくしながら、私の傍にやってきた。


「何で。」

「え?」

「何で帰るん?」

「何でって・・その・・京さんの姿・・見れたし・・。」

「帰るん?」

「え・・。」


京典にじっと見つめられ、私はどう答えていいのか分からない。


「桃。」

「はい・・?」

「・・・泊まっていかへん?」

「・・・へ?」

「桃に、おってほしいねん。」

「え・・・。」

「一人寝は寂しいわぁ。」

「・・・私は枕代わりですか・・?」

「ククク、そんなんちゃうやろ~?」

「・・・初めて・・。」

「ん?」

「泊まれって・・言ってくれたの・・。」

「あ~、そうやな。」


京典は軽く笑う。


「どうして・・ですか?」

「え?」

「どうして・・今まで、言ってくれなかったんですか・・?」

「泊まりたかったんか?」

「そ、そういうのじゃなくて・・。」

「ん?」

「・・私・・ちょっと不安でした・・。」

「何が?」

「その・・エ、エッチしたら・・すぐ帰されちゃうし・・。」

「へ?」

「・・結局・・それだけなのかぁ・・とか・・。」


チラリと京典を見ると、ポカンとした顔をしている。


「京さん・・?」

「・・・・桃、お前・・。」

「はい・・?」

「ククク。」

「な、何ですか?」

「お前に、”勘違いで賞”やるわ。」

「は・・っ?」


京典は可笑しそうに笑っている。


「な、何ですか?勘違いで賞って・・。」

「伊住桃日ちゃん、あなたは大変な勘違いをしていました。それをここに表します。」

「い、いらないっ。」


賞状を渡すような動作をされ、私はムクれる。

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