過去の話
<過去の話>
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「京典~?」
部屋の中に入った和斗は、キョロキョロしながら京典の姿を探す。
「ぬぉっ!?」
ブラインドで区切られていた奥のベッドに、京典の姿を発見し、和斗は固まる。
「いた?きょうす」
後からやってきた白石も、その姿に固まる。
「・・・二人して黙ってんなや。」
そんな二人に、京典は上半身裸で縛られたままの格好でぼやく。
「何のプレイやねん・・?」
「アホかっ。」
「京典、あんたほんとに節操ないわね。」
「何の話やねんっ。」
口々に言う二人に、京典は反論する。
「そんな格好じゃ、何言ってもただのバカにしか見えないんだけど。」
「うるさいねんっ。」
「せっかくやから、このままにしとくか?」
「写メ撮る?」
「アホかっ!早よ外せっちゅうねん!」
ニヤニヤしている和斗と白石に、京典は怒鳴る。
「まったく、心配して助けにきてやったら、こんな変態プレイしてたとはなぁ。」
「してたんちゃうわっ!されてたんじゃ!ボケッ。」
京典の手足を自由にしてやった和斗は、笑いが止まらない。
「お前、笑うてんちゃぞ、コラ。」
「やって。クククク。」
「しばくぞ。」
「ごめんごめん。」
自分の手首を触りながら、京典は舌打ちをする。
「あの女は?」
「そこ。」
白石が指差した先に、中原が背中を向けて座り込んでいる。
「ワケのわからん事しよって・・。」
京典は立ち上がると、中原の元へと近づく。
「おい。」
「・・・。」
「黙ってへんと、何か言えや。」
「・・・。」
京典の言葉に、中原は何も答えない。
「こんな事しくさって。タダで済む思てんのか。」
「・・・。」
「拉致監禁で訴えるぞ、ボケ。」
京典の言葉に、中原は振り返ると、涙を浮かべて睨んでいる。
「何やねん。」
「どうして・・。」
「はぁ?」
「どうして、あなたのしてきた事は犯罪にならないの・・っ。」
「え?」
中原の言葉に、京典は眉をひそめる。
「何言うて」
「あなたが・・っ・・私の事、散々弄んで捨てた事は、どうして犯罪にならないのよっ。」
「え・・。」
中原の言葉に、京典は固まる。
「私は・・っ・・私はあなたの事、本当に愛してた・・っ!でも、あなたは・・私の事・・お金のいらない、ただの風俗嬢くらいにしか思ってなかったんじゃないのっ!?」
「・・・・。」
泣きながら言う中原に、京典はただ立ちすくむ。
「散々・・酷い事してきて・・っ・・今更何が本命よっ!そんな事、許されると思ってるの!?」
「それは・・。」
「腹が立って・・立ちすぎて・・。あなたの一番大事なモノ、傷つけてやろうと思ったの。」
「え?」
「あなたの彼女、レイプされそうになったでしょ。」
「は・・っ!?」
京典を睨んでいた中原の顔が、ニヤリと笑う。
「ま・・さか。」
「私が仕込んだのよ、あの男。でも、失敗に終わって残念だったけど。」
中原は、フンと笑う。
「ちょっと・・っ!桃日ちゃん襲わせたの、あんただったの!?どういうつも」
声を荒げた白石を、和斗が制止する。
「和斗っ?」
「黙っとき。」
「でも・・。」
「ええから。」
「・・・。」
白石は、和斗のいう通りにした。
「レイプされたら良かったのに。」
「・・何言うてんねん。」
「見ず知らずの男に犯されて、一生傷ついてれば良かったのに。」
京典は、拳をぎゅぅ・・と握り締める。
「お前・・。」
「何?」
「女で良かったな。」
「は?」
「その顔、二度と見せんな。」
「・・・命令される筋合いはないわ。」
京典は、自分の洋服を身につける。
「・・過去の事は、謝る・・。」
「・・・え?」
「悪かった・・。」
「・・・。」
「けど、その事と桃日は関係ないやろ。」
「・・・・。」
「次は、ないからな。」
「え・・?」
「もし、桃日に手出すような事があったら・・。」
そう言って、京典は中原をじっと睨む。
「・・・・。」
「ほな。」
そう言うと、京典は玄関へ向かおうとした。
「ネクタイピン・・。」
「え?」
中原が呟く。
「あれ・・ほんとに、あなたがココに忘れていった物なのよ。」
「やから?」
「・・私が、プレゼントしたの・・覚えてなんかないでしょうけど。」
「・・・。」
「捨てたでしょ・・。」
「え?」
「ゴミ箱に・・。」
「ぇ・・。」
「許せなかったのよ・・私の事も、プレゼントした物も・・あなたは捨てた。」
「・・・・。」
「だから・・ここに連れてきて・・あなたを、私のモノにしたかったの・・。」
「ここに来たから言うて、オレがお前のもんになるわけが」
「一瞬でも良かった・・っ。」
「え?」
「目が醒めるまでのあなたは・・私のモノだったから・・。」
「・・・・。」
京典は、中原の背中をじっと見る。
「京典、帰ろ。」
和斗は、京典の肩をポンと叩く。
「・・・。」
3人は、そのまま部屋を出た。




