家宅捜索
<家宅捜索>
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「ねぇ、ほんとに大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫。」
「和斗も、顔知られてんじゃないの?」
「メガネ一つで、顔は変わるもんやで?」
「そうかなぁ~・・?」
和斗と白石は、中原のマンションまでやってきた。
二人は、京典の居所を、中原が握っていると考えた。しかし、白石は顔が知られているし、和斗もバレる可能性がある。というわけで、和斗は一端家に帰り、普通のスーツに着替えてきた。メガネをかけ、髪形もいつもよりダサめに整えた。
「ねぇ、これって・・犯罪にならないの?」
「バレへんかったらええねん。」
「・・和斗って、結構度胸あるよね・・。」
「んはははは。」
和斗は、偽の警察手帳を持ってきていた。会社の小道具の箱に入っていたのだという。
「こんなの、何で持って帰るの?」
「ん~?小道具の箱を、オレの部屋に持って帰ってきてん。」
「だから、どうして?」
「キレイに直そうかと思て。」
「ふーん・・。」
和斗は、手先が器用で、よく壊れた小道具などを家に持ち帰り、直したりしていた。
「京典は電子とか機械系強いけど、和斗は日曜大工系だね。」
「何やソレ。」
「ふふふ。」
白石の言葉に、和斗は怪訝そうな顔をする。
「ここか?」
「うん。」
中原の部屋の前までやってきた。
「よし。」
「頼むわよ、和斗・・。」
白石はそう言うと、ドアから死角になる所に身を潜める。
ピンポーン・・
和斗はインターホンを鳴らした。しばし待つも、何の反応もない。
ピンポーン ピンポーン・・
執拗に鳴らしてみる。
「・・はい?」
何十回か鳴らしていると、やっと返事があった。
「あ、すみません。警察の者なんですが。」
「え・・?」
「ちょっと、よろしいですか?」
和斗は、インターホンに向かって、落ち着いてそう言う。
「何の・・御用ですか・・?」
「ここではちょっと。お話しを聞いていただきたいのですが。」
「・・・今、手が離せなくって・・。」
「この辺一体、私ども回って、話聞かせてもらっているんですよ。」
「はぁ・・。」
「ほんの数分なので。お願いします。」
「・・・・。」
「もしもし?」
「・・・分かりました・・。」
和斗は、白石の方をチラリと見る。白石が小さく頷いた。
カチャ・・
「あ、すみませんねぇ。」
少し間があって、ドアが開かれた。
(ドアロック・・)
開けられたドアの隙間から、中原葵だと思われる女性が顔をみせる。しかし、ドアロックがしてある事に気づく。
「・・何でしょう?」
「あ、最近このマンションで空き巣被害の報告が多くありまして。それで、皆さんにお話しを聞かせていただいてるんですよ。」
「は、はぁ・・。」
「えーと、私こういうものです。」
和斗は、ドアの隙間から偽の警察手帳を見せる。
「はい・・。」
「分かっていただけましたか?」
「はい・・。」
「あっと、お名前よろしいですか?」
「・・中原です・・。」
「中原さん、ね。お勤めですか?」
「え・・あ、はい・・。」
「今日はお休みで?」
「はい・・・。」
「空き巣は昼間が多いですから。女性一人だと、そのまま暴行に至るケースもありますしね。気をつけてもらいたんですよ。」
「は、はい・・。」
「あの。」
「はい?」
「この男に、見覚えありませんか?」
「は・・?」
和斗は、ポケットから何やら似顔絵写真を出す。
(あんなのまで用意してたの!?)
様子を伺っていた白石は、和斗の演技っぷりに感心する。
「いえ・・知りません・・。」
「もっとじっくり見て欲しいんですが。大事な事ですので。あの、ロックはずして、ちゃんと見てもらえませんかね?」
「え・・。」
「どうかしましたか?」
「・・・。」
「中原さん・・でしたよね?」
「はい・・。」
「見ていただくわけにはいきませんかね?」
「・・・分かりました・・。」
ドアが一端閉められたと思うと、今度はロックが外されて開いた。
「拝見します・・。」
「お願いします。」
和斗は、中原に似顔絵写真を手渡した。
ガタン!
「え?」
その時、白石がドアを勢いよく開ける。
「な・・っ。」
「京典、いるんでしょ?」
呆然とする中原の前に、白石が立ちはだかった。




