15
シている間中、ずっとユウの顔を見ていた。じゃなければあの日を思い出してしまいそうだったから。
ユウの顔が歪む。それを見て私はドキドキした。キュンともなった。
最後にイッてしまうときは、私も高鳴ってしまい、終わったあとはボーッとしていた。
「シャワー、使うか?」
その声に、
「うん」
と返事する。不思議と怖くなかった。
シャワーを浴びながら、私は感動していた。
これが一つになるってことなんだ。
少し恥ずかしかったけど、痛くもなく、無事女子から女へ脱皮した。
ユウはシャワーを浴びてくると、さっきの服に着替えて
「ゲーム、続きやろうぜ」
と言ってきた。
普通、終わったあとはイチャイチャしゃべるものじゃないの?
と私は残念に思いながら、ゲームを再開した。
「なんか、恥ずかしいから、な」
ユウのその言葉で私は理解した。
イチャイチャするのがはずかしかったんだね、ユウ。
――私はこの日のことは絶対わすれられないよ――
家に帰ったらドタドタと二階の自室に閉じ籠った。
見られたら、今までの自分じゃない自分を見られてしまう気がしたのだ。
やがて、階下から
「ご飯できたよー」
と声かけられるまでボーッと余韻にひたっていた。
階下に降りるといつもと変わらない日常があった。
私はホッとして座った。
ご飯を食べてから、またぬいぐるみを抱き締めて余韻にひたっていた。
翌日、いつものように迎えにきたユウに、照れ笑いをしながら、いつものように自転車に乗った。
いつもの風景、でも変わって見える。いつもよりキラキラ輝いて見える。
私は恋をしてるんだ!って思い切り叫びたくなる感じ。
早く誰かに話したい感じ。
じれじれしている私に気がついたユウは、
「あんまり人にしゃべるなよ」
と釘を刺してきた。
「はーい」
私は軽い返事をした。
でも、実際は女子で集まった際に自慢してしまった。
それをあまりよくないと思う人もいるのに……
◇
ある体育のある日、クラスメイトの財布が盗まれるという事態が発生した。
「あれ、コウチの新作だったのに!」
先生がいくらはいっていたのか聞く。額は三千円程度しかはいっていなかったのだが、コウチの新作だ。欲しいものがいてもおかしくない。
事態はクラス討議にまで及んだ。
結果、みんなの荷物をさらけ出して確認をしようということになった。
私は自分のカバンから、なにかでてくるのがわかった。
コウチの新作だ。
クラス中がどよめく。
私も動揺する。
先生が中身を確認する。
その女生徒のものだと判明する。
一気に私が犯人という流れになる。
「違うんです!私はやっていません!何かの間違いです!」
「チカにそんな度胸があるわけないわよ!」
洋子も反論する。
だが、無情にも、先生は私がやったと判断し、三週間の停学となった。
ユウは目撃者がいないか、懸命に確かめてくれているそうだ。
洋子が毎日ノートをみせてくれているので、なんとか勉強ぼっちにならないで済みそうだが、母は心配した。
ましてや、理由が理由だけに、うちの中でも討議することになった。
そして、誤解は解けた。
あとは学校のみんなの誤解を解くだけとなった。
三週間ぶりの学校は久しぶりすぎて。教室がまぶしかった。
私が戻ってきたのは停学期間を終えたからでもあり、真犯人を見つけたからでもあった。
真犯人はクラスの女の子だった。私がうらやましくなり、思わずやったとのこと。隣の教室の子が、最後にでていく彼女を見ていて、それで発覚したらしい。
私としては、そりゃ真犯人が見つかってうれしくもあったが、その女子をみるといたたまれない気がして、これ以上彼女を責めるのはやめにしよう、と言った。
そんな話を聞く人はいなかったが――