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恋の歌  作者: ちびひめ
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シている間中、ずっとユウの顔を見ていた。じゃなければあの日を思い出してしまいそうだったから。

ユウの顔が歪む。それを見て私はドキドキした。キュンともなった。


最後にイッてしまうときは、私も高鳴ってしまい、終わったあとはボーッとしていた。


「シャワー、使うか?」

その声に、

「うん」

と返事する。不思議と怖くなかった。


シャワーを浴びながら、私は感動していた。

これが一つになるってことなんだ。


少し恥ずかしかったけど、痛くもなく、無事女子から女へ脱皮した。


ユウはシャワーを浴びてくると、さっきの服に着替えて

「ゲーム、続きやろうぜ」

と言ってきた。


普通、終わったあとはイチャイチャしゃべるものじゃないの?

と私は残念に思いながら、ゲームを再開した。

「なんか、恥ずかしいから、な」

ユウのその言葉で私は理解した。

イチャイチャするのがはずかしかったんだね、ユウ。


――私はこの日のことは絶対わすれられないよ――


家に帰ったらドタドタと二階の自室に閉じ籠った。

見られたら、今までの自分じゃない自分を見られてしまう気がしたのだ。

やがて、階下から

「ご飯できたよー」

と声かけられるまでボーッと余韻にひたっていた。

階下に降りるといつもと変わらない日常があった。

私はホッとして座った。


ご飯を食べてから、またぬいぐるみを抱き締めて余韻にひたっていた。



翌日、いつものように迎えにきたユウに、照れ笑いをしながら、いつものように自転車に乗った。

いつもの風景、でも変わって見える。いつもよりキラキラ輝いて見える。


私は恋をしてるんだ!って思い切り叫びたくなる感じ。


早く誰かに話したい感じ。


じれじれしている私に気がついたユウは、

「あんまり人にしゃべるなよ」

と釘を刺してきた。

「はーい」

私は軽い返事をした。


でも、実際は女子で集まった際に自慢してしまった。


それをあまりよくないと思う人もいるのに……





ある体育のある日、クラスメイトの財布が盗まれるという事態が発生した。

「あれ、コウチの新作だったのに!」

先生がいくらはいっていたのか聞く。額は三千円程度しかはいっていなかったのだが、コウチの新作だ。欲しいものがいてもおかしくない。

事態はクラス討議にまで及んだ。


結果、みんなの荷物をさらけ出して確認をしようということになった。


私は自分のカバンから、なにかでてくるのがわかった。

コウチの新作だ。


クラス中がどよめく。


私も動揺する。


先生が中身を確認する。

その女生徒のものだと判明する。


一気に私が犯人という流れになる。

「違うんです!私はやっていません!何かの間違いです!」

「チカにそんな度胸があるわけないわよ!」

洋子も反論する。


だが、無情にも、先生は私がやったと判断し、三週間の停学となった。


ユウは目撃者がいないか、懸命に確かめてくれているそうだ。


洋子が毎日ノートをみせてくれているので、なんとか勉強ぼっちにならないで済みそうだが、母は心配した。

ましてや、理由が理由だけに、うちの中でも討議することになった。


そして、誤解は解けた。

あとは学校のみんなの誤解を解くだけとなった。


三週間ぶりの学校は久しぶりすぎて。教室がまぶしかった。


私が戻ってきたのは停学期間を終えたからでもあり、真犯人を見つけたからでもあった。


真犯人はクラスの女の子だった。私がうらやましくなり、思わずやったとのこと。隣の教室の子が、最後にでていく彼女を見ていて、それで発覚したらしい。


私としては、そりゃ真犯人が見つかってうれしくもあったが、その女子をみるといたたまれない気がして、これ以上彼女を責めるのはやめにしよう、と言った。


そんな話を聞く人はいなかったが――

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