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Over Died Online   作者: 夢見屋
Story1 シンフォニア編
7/9

Data.6

お待たせしました。第六話目です。

それではどうぞ。

「っ、≪閃牙一突≫!」

「グフゥ!」


 また一人、また一人、次から次へと殴り飛ばす。地面にはすでに何十人も突っ伏している。にも関わらず周囲には終わりが見えないほど敵が並んでいる。


「次!来るんならとっとと来やがれ!」


 手に持っている刀の先を相手側に向けながら叫ぶ。苦々しそうな表情でまたゾロゾロと突っ込んでくる。それをいなし、かわし、峰打ちや鞘で打ちつけ気絶させる。背中にしがみついたタマモは心配そうな鳴き声を上げながらギュッと俺の服を掴んでいる。


「貴様!早く九尾様を解放しろ!」

「だぁかぁらぁ!俺はタマモのパートナーなの!」

「そんなことは知ったことか!」


 そんな俺を囲んでいる奴らは全員が全員、まるで親の敵であるかのように睨みつけてくる。そして、その体には二つの狐耳と一本の尻尾が生えていた。


「九尾様は我々妖狐族の姫なる者だ!貴様ごとき人間が共に居ていい存在ではない!」

「あんたらの価値観は知ったことじゃねえよ!」


 めんどくせぇ・・・!なんだよコイツ等!

 

 

 現在地、エリア内最北端。妖狐族の里。こちら側に来てから一週間が経った頃だ。そんでもって狙われている理由だが・・・・単に、俺がタマモとパートナー契約していることが気に食わないらしい。ここにたどり着いたときにいきなり斬りかかってきてやれ九尾様を返せだのしつこいったらなんの。

 しかもいつの間にか里の老若男女戦えるヤツは容赦なく襲いかかってきやがる。その上、なんの因果かイベントフラグまで立ちやがった。


≪特殊イベント「妖狐の襲撃」 

条件:妖狐族を屈服、または友好度を100%にして信頼を得ること。

 入手:妖狐族の里の通行許可。シンフォニアの通行方法。

 進行度:35/100 屈服数:59/500 友好度:13/100%       ≫


 本来であれば逃げ出したいが入手物に帰る方法が存在しているのが幸いか、とりあえず受けてみた。現時点での進行度は遅い。特に友好度が低い。ほとんど得られていない。それはどうしようもないが…そうなると屈服数で稼ぐしかないか。


「ッラァ!」

「ふん!」


 槍を突き出す相手の攻撃を回避し、空中で一回転。そのまま左手の鞘で頭部を打ち付ける。

左から振り上げられる刀を空中歩行で退避し、今度は右手の太刀で峰打ちする。


「ほらっ次!」


「「「「リャアァァァ!!!」」」」


「ふっとっはっ」

「「「「!!!????」」」」

「はあっ!!」


 上から下へ、振りかぶりながら突っ込んできた四人の刀を集中力を研ぎ澄まし、素手で掴み取る。流石のことで驚愕したのか、それとも俺の握力が高かったのか、刀はピタリとも動かず四人の動きが完全に止まる。そのまま両腕を振り回し、四人をぶつけて相手側に投げ飛ばす。

 そのまま相手側の何十人かを巻き込んで倒れていく。


「者共、下がれ!」


 途端に大声を張り上げたのはこの中のリーダーと思わしき一人。見た目は結構歳喰っているのか白髪と顔の皺が目立つ爺さんだった。


「どうやら一筋縄ではいかないようだな」

「そりゃ、俺も意地があるからな。で、アンタはなんで止めた?」

「貴様が強者なのは見て分かった。ワシと一騎打ちをしろ」

「一騎打ち?」

「そうだ。勝てば認めてやろう」

「ふぅーん。いいぜ、じゃあそうしよう」


≪条件変更。条件:狐老に一騎打ちで勝利すること。 

進行度:0/1 以下、狐老ステータス ≫


≪部類≫聖獣/妖狐族/狐老 ≪レベル≫750 ≪状態異常≫狂乱


HP:100000 MP:45000 SP:62300


※イベントステータスのため、通常ステータスより上限突破状態です。


 どうやら、コイツは相当デキるらしい。流石はボス的存在。HPが十万とは。得物は、薙刀らしい。


「それでは、始めようか」

「ああ。きやがれ」


 一度納刀し、両柄に手を掛ける。相手は腰を低くし、薙刀を下段構えにする。沈黙が流れ、先に打ち破ったのは相手側。


「ハァッ!」


 たった四歩で間合いを詰めてきた。そのまま懐を一突きに突っ込んできた薙刀の先端に向かって、背中に掛けた刀を抜き取る。


「≪十字閃華≫!」

「≪突一点≫!」


 十字の抜刀技と一点凝縮の突技。二つをぶつけ合った瞬間、ガキィン!と火花が散る。そのまま打ち払って相手の頭上を飛び越しながら回転し、着地と同時に再度刀を振る。

 右で薙刀を振り払い、左で打ちつけ、そのまま回し蹴りを決める。


「グゥッ」

「ッハアア!」


 ドゴン、とそのまま吹き飛ばす。それなりに吹き飛んだと思ったが、流石の耐性かたった二メートルほどで踏み止まった。薙刀を再度構え直し、すぐさま振りかぶる。


「トリャア!」


 振り下ろされた薙刀をギリギリで回避する。そこからは相手側の五十連撃。右、左、上、右、右、下、上、上、左、右、上、突き。攻撃速度が速すぎる。が、それでも目視で回避できるあたりまだ俺のステータスよりは下らしい。

 その後も続く連撃を寸前でかわし続ける。流石に疲れてきたのか狐老の表情は強張って息遣いが荒くなってきた。HPはまだ八割残っているが、状態異常に【疲労(弱)】が増えている。少しずつ体力が減り始めている。


「そろそろ決めるぞ」


 もう面倒くさい。とっとと決着をつける。

 狐老を後方に大きく吹き飛ばし、俺自身も大きく後退する。両腕をダランとして力を抜く。起き上がった狐老に向けて体を小さく揺らし、足に力を入れる。


 ノロノロと構えをとる狐老に対し、容赦なく、小さく呟く。


「≪極―――――――」


 瞬間。


 スタン、と。


 踏み込んだ足で相手の目の前まで飛びこむ。

 そして―――――


「―――――――絶≫」


 ズタン!


「グッッ――――ハ」


 狐老はその場に倒れこむ。そして、頭の中にアナウンスが響く。



≪イベント完了 会得:妖狐族の里の通行許可。シンフォニアの通行方法≫ 


 メニューのイベント欄が点滅してイベント名の左横に≪完了≫と表示された。これでここの脱出方法が分かる。倒れている狐老を起こし、周囲の奴に預ける。すぐに目を覚まし、自分で立ち上がろうとするが流石に先ほどのダメージが残っているのか、動きは鈍かった。


「大丈夫か?」

「心配せずともよい。すまんかったな、いきなり襲って」


 戦ってるときとは打って変わってやけに友好的だな。まあ、多分そこはイベントによる友好度補正のせいだろうが。このゲームのNPCがやけに人間的に動くもんで今更ながらやっぱりそこは機械だなと感じる。


「まあ、俺もやりすぎだとは思ったが。まあ、とりあえずホレ」


 懐から札を一枚取り出して張り付ける。すると消耗してたHPが全快、状態異常も消えている。実はここ一週間でスキルレベルを必死に上げた。これは符の中でも最上位の札で最初は作るのに相当苦労した。


 即時回復の札/極上 HP、MP、SPと状態異常を即時回復する。


「む、すまぬな。こんなものまで出してくるとは、お主は何者なんだ」

「さあ。一介の陰陽師だとでも言っておこうか?」


 ちょっと格好つけながら行ってみた。若干訝しげな表情だったがとりあえず納得してくれたらしくそれ以上はなにも言ってこなくなった。さて、俺は聞きたいことがあるんだが。


「なあ、こっち側からあっち側に行く方法知ってるか?」

「あっち側、とは表側のことか?ならば答えは是ではあるぞ」

「教えてくれねえか?」

「うむ、構わぬぞ。こっちだ」


 キビを返した狐老のあとについていくと、里の中の中心に小さな祠があった。


「ここは?」

「向こう側に行くための祠だ。通行手段での。向こう側からは湖を介してこちら側にくるのだが、その際は何処に飛ばされるのか分からん。ただ、一度この祠を使えば次からはここに飛ばされるのだ」

「なるほどなー。便利なもんだ」


 つまりはワープポイント的なやつか。とりあえずは理解したが。


「ところで、この里に武器屋、というか雑貨屋はあるか?」

「雑貨屋か?それならばすぐそこにあるぞ。というかこの里は向こう側の街にあるものとほとんど変わらん。ないのはギルドぐらいだ」

「マジか。ってことは掲示板も共有性ってことか?」

「ああ。向こう側の情報もこちら側にやってくる。ただ、こちら側にいる限り書き込みはできないがな」


 なるほど。正規エリアじゃない分、プレイヤー共有で使われるギルドは使用できないってことか。掲示板も見ることはできても書き込みは無理。ってことは向こうに戻ってもシンフォニアの情報は書けないかもしれないな。


「ん。わかった。そんじゃあ俺は雑貨屋に行ってくるわ」

「うん?お主、向こうには戻らないのか?」

「いんや?戻るつもりはあるが、まあ、しばらくはこの里に居させてもらおうかと思ってね」

「そうか。まあ、心配はいらぬな。お主は歓迎されておるよ」

「そうなのか?さっきまではあんなに殺伐としてたのに」


 割と本気で殺しにかかってきてたよな。殺気とか尋常じゃないくらい飛ばしてきてたし、絶対友好的な感じじゃなかったぞ。


「お主が九尾様に認められていることはその太刀を見ればわかる」

 

 そう言って飛ばした目線の先には狐貂があった。


「この刀が証明ってことか?」

「ああ。『怨妖妃「狐貂」』は九尾様が愛刀とされている。もともと、九尾様は≪人化≫を持っておられる。今はまだ完全に回復しておらぬから無理だが本来であればその刀は人化した際の九尾様の得物なのだ」


 まじか。そんなけったいなもん俺にくれたのかよ。ちなみにタマモはというと俺の頭の上で誇らしげに「キュッキュー!!」と俺の頭をポスポス叩いてる。

 しかし、ということはだ。俺がもしイベント起こす前にこの刀をしっかりこいつらに見せておけば俺は襲われることなくイベントクリア出来たってことか?


 ・・・・・。とんでもなく無駄な戦闘だったなコンチクショウ。


 ま、過ぎたことを考えても仕方あるまいし、しばらくはゆっくりさせてもらおうか。そのまま180度体を回転させて雑貨屋に向かう。


「いらっしゃいませー」


 江戸時代の家屋的な建物の中は奥にカウンターと、その手前にズラリと商品が並んでる。やっぱり基本としてポーションや転移石なんかが目立つ。それ以外にも矢や空瓶、何に使うか分からないような意味不明な物体まで色々と置いてある。

 カウンターには営業スマイルしている撫子美人がいた。茶髪を短く肩までに切りそろえてエプロンを着ている。やっぱり頭には狐耳が二つあるが。


「なにかお探しですか?」

「えっと、札は売ってるか?」

「札、ですか。表には出て、ないですね。えっとー、ちょっと待って下さい。在庫探してきます」


 そのままパタパタと店裏に走って行った。探しているのはただの札。符術を使う場合は札が無いと始まらない。陰陽師は初期で200枚持っていたがこれからずっと使っていくんだからいくら持っていても問題ない。


「お待たせしました。えっと、何枚でしょうか」

「2000枚、あるか?」

「はい。2000枚なら一枚10Eなので二万Eになります」

「んー。ほい」


 ウインドウから二万Eを取り出して渡す。ちなみに所持金は二十万ほど溜まっっている。二万なんて軽い方だ。


「はい・・・確かに二万Eですね。ではこちらをどうぞ」


 二万Eがウィンドウ内から差し引かれる。アイテム欄の一枠に緑色の光が点滅するとそこに札が収納された。そのままタップして実体化。紐に通して腰に掛ける。後で攻撃用の札も作っておこう。ちなみに現在の符術レベルは8だ。スキルのレベル上限は確か10。作っては実験の繰り返しで気付けば上がっていた。

 

 ここで符術の説明をしてみよう。


 スキル≪符術≫。≪付与術≫の道具使用型だと思えばいい。札などのアイテムを介して使用することが難点ではあるが≪付与術≫とは違い攻撃札も作成することができる。燃費の悪さを除けば≪付与術≫よりは高性能なスキルだ。

 

 ≪符術≫スキルの系統は全部で四つ。攻撃系、治癒系、強化・負荷系、結界・防御系だ。

 

 攻撃系は文字通り札に物理、または属性攻撃を付与させて敵にダメージを与える。≪符術≫の攻撃系で扱える属性は火・水・風・地・雷の五つ。下位符術ならば札一枚、一属性の攻撃しかできないが上位符術になれば火と水、風と雷など二組、三組と多属性混合の攻撃が可能になる。

 

 治癒系は体力・魔力・スキルポイント・状態異常を回復する札だ。こちらも下位のものならば体力のみ、魔力のみだが上位になれば全部を完全回復する札が作成できる。それがさきほどの即時回復の札だ。

 

 強化・負荷系。≪付与術≫と同じで対象物を強化、または弱体化させる効力を持つ系統。対象物は生物とは限らず、落石などの落下物、雪崩などの災害、ほかにも相手の魔法なども負荷系統の術式であれば弱体化、減速化させることができる。

 

 そして、≪符術≫の最大点である結界・防御系だ。札一枚、スキルレベルとプレイヤーのレベルが上がるにつれて防御力が肥大化し、場合によっては一回限りで確実に攻撃を防ぐことのできる札が出来上がることもある防御符。基本的には四枚を直線でつなぐように四隅に貼り付け、合図とともにその効力を発揮する結界符。≪符術≫だけができるいかにも日本の古典的なスキル効果だ。

 特に結界の利点は以下だ。

 ・発動するのに任意のタイミングで、タイムラグなしに発動できる。

 ・持続効果が非常に長く、使用者本人はすり抜けができる。

 ・四角形はあくまで基本で、結界の形は様々に変えることができる。

 ・使用後の硬直時間がなく、連続的に発動することができるetcetc.....


 ≪符術≫が周りから不遇スキル扱いされるのは、基本陰陽師または巫女とセットでないと入手できないスキルだからだ。付与術師もレベルを上げれば覚えられるが、このスキルは上位職に転職してからでないと覚えられないらしい。

 つまり、陰陽師か巫女になるというデメリットに目を瞑れば悪い条件ではないのだ。


 以上が≪符術≫の説明だ。ここからは応用について話してみる。


 まず、俺が作った装備。そう、雪駄だ。数枚の札を縫いこんで出来上がった空を歩くことができる雪駄。≪符術≫のデメリット、札を使う必要がある、という点を逆に利用してできたのがこのアイテムだ。つまり、≪符術≫は≪付与術≫のようにアイテムなしでは発動できない分、その札を別の装備品やアイテムに縫いこんでしまえば半永久的にその効力を得ることができるのだ。

 

 はじめて気づいたのは巨木を登ろうとしたときで、その時は「これ、手に強化施せば手づかみで登れるんじゃないか?」と思ったのがきっかけだ。両手に吸着力強化の札と腕力強化の札を張り付けて登り始めるとどうしたものか。某アメリカの蜘蛛のヒーローのようにスルスルと登れたのだ。調子に乗って一番上まで登ろうとしたらエラーコードがでてきて結局落下したが。

 

 結果、手に張り付けた札は対象物からMPやSPを与え続ければ効力は持続的に発動する、と判明してアイテムと同化させればアイテムの耐久値がなくならない限り札も消えることがなくなり、効力を得られ続けるということ。

           

 この理論は応用範囲が意外と広い。岩場で足場を強化すれば、どんなに脆くても崩れ落ちることはないし、水面を強化すれば歩くことも可能だ。


 しかも、強化・負荷に限らず、攻撃札も付与できるのだ。例えば、刀の刀身に「火」を付与すれば火を纏った刀が出来上がるし、「風」と「水」を合わせれば「氷」の刀身となる。このように攻撃札なら属性付与することも可能なのだ。


 回復札は面白いことに道具、アイテムに使用すると耐久値を回復したり、条件がよければ状態異常耐性や属性攻撃耐性、物理攻撃耐性が同時に付与される場合がある。これが分かると非常にありがたかった。もしかすれば≪符術≫だけでも攻略できるかもしれないとか思ったりもした。

 まあ、このゲームがそんな簡単な設定でクリアさせてくれるとも思っていないんだが。


 以上、≪符術≫の基本的な説明と応用についてだ。


「それじゃ、宿でも探しますか」


そのまま俺は道具屋を後にした。

戦闘描写、どうでしたか?ヘッタクソでしょ?


符術の説明も今回載せてみました。説明もなんだか小難しいような遠回しのような感じになってしまいました。ゴメンナサイです。


次回でシンフォニア脱出と、ヒロインの巫女さんキャラ登場です。


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