Data.5
「キュー。キュッキュキュー」
「んー、とっとと進むぞ」
目の前には大樹がそびえ立っている。横も縦も長く、上は何処まで続いているか分からない。現在の場所、シンフォニア中心の大樹の根っこあたり。このフィールドに迷ってから5、6時間経っているが、一つ気になることが出てきた。
「ここのエリアのモンスター、なんで襲ってこないんだ?」
そう。さっきからいろんなモンスターに遭っているのだがまったくと言っていいほど襲われない。むしろ、敵意すら出さず俺に近づいてきては頭をこすりつけてきたりじゃれついてきたり、そんなのばっかりだ。ここに存在しているモンスターは普通のモンスターではない、と?
≪部類≫聖獣/九仙雀 ≪レベル≫??? ≪状態異常≫無し
≪部類≫聖獣/摩天熊 ≪レベル≫??? ≪状態異常≫無し
≪部類≫聖獣/天虎 ≪レベル≫??? ≪状態異常≫無し
このステータスは、俺が遭ったモンスターの一例だ。名前からしてすでに強そうなんだが。しかし、何よりこいつらの部類が聖獣になっている。種族名が右で部類名が左だ。そう考えるとタマモは多少異なるのか?
こいつらが襲ってこない理由。多分、新しく得たパッジヴの効果だろう。
≪聖獣に認められし者≫ 聖獣をパートナーとし、≪信頼の譲渡≫を受けた者に贈られる。聖獣部類のモンスターからの友好度が全部100%となる。
≪聖獣との繋がり≫ ≪聖獣に認められし者≫を持った者に贈られる。永続的に全聖獣から自動的に経験値を譲り受けることができる。
ここの時点でおかしい。≪聖獣との繋がり≫の効果、規格外過ぎないか? これじゃ戦わなくてもステータス上がるじゃねえか。すでに上がってるけど。
それ以外にも気になったのが≪信頼の譲渡≫だ。
≪信頼の譲渡≫ 1/10000000の確率で発動する。パートナーとなったモンスターのレベルを半分譲り受ける。譲り受けられるレベル量は友好度依存で決まる(通常の譲渡量は10~50)。
はいおかしいね。どうやら俺はタマモのレベルを300も譲り受けたらしい。確かこのゲームのカンストレベルは1000。そのうちの約1/3を貰ったということか。そういえばタマモのレベルは見れるようになったか?契約したモンスターのステータスは完全に掌握できるようになるんだったか。
≪部類≫聖獣/妖狐族/九尾 ≪レベル≫692 ≪状態異常≫無し
HP:41000 SP:39477/54000 SP:12641/20000
Skill:≪自動回復≫≪幻術≫≪妖術≫≪変化≫≪体術≫≪魔法≫
≪契約術式≫≪同化≫≪身体強化≫≪威圧≫
Title:≪九尾の妖狐≫≪清い聖獣妃≫≪見極める者≫≪譲渡者≫≪共有者≫
Partner:ツクヨ(陰陽師)Lv.300
「………」
ステータスを覗いて思わず唖然。開いた口が塞がらない。自動回復スキル?妖術に幻術に、さらに魔法、と?どこまで規格外な奴だ。レベル欄が692って…。確かに≪共有者≫の称号があるとはいえ。
…俺はとんでもなく規格外なヤツをパートナーにしたらしいな。そんな規格外は俺の頭の上から俺の顔を覗きながら「キュ?」と首をかしげてる。うん可愛い。
ポーンとまた頭の中に電子音が響く。
レベルが772に上がりました。
そう、これが≪聖獣との繋がり≫の効果だ。たった数時間ですでにこの通り、俺のステータスはもうタマモよりも規格外なものになっている。
それと、武器を二つ手に入れた。一つは太刀系統最上級業物。霊獄刀「黄泉桜」、もう一つも同じく太刀系統最上級業物。怨妃妖「狐貂」。前者はこの大樹に刺さっていたのを抜き取り、後者はどこからかタマモが取り出したものだ。
しかもこの二刀、両方レジェンドアイテムなのだ。
○霊獄刀「黄泉桜」 LANK:LEGEND ITEM 派類:霊刀(太刀) ※譲渡不可
全ステータス上昇効果 重量:1 特殊効果:SPD×3
○怨妃妖「狐貂」 LANK:LEGEND ITEM 派類:妖刀(太刀) ※譲渡不可
全ステータス上昇効果 重量:2 特殊効果:ATK×3
流石最上級業物。武器の効果も半端が無い。重量は文字通り武器自体の重さで、この重量とプレイヤーのATKの比率で移動速度が上昇・減少する。その重量が1と2。これ、戦士系の上位職の侍とか絶対欲しがるだろ。一つだけでも十分レアなのに二つでステータス上昇が二倍。それに加えて特殊効果にSPDとATKが三倍。ゲームバランスぶち壊しだな。
≪≪刀術≫→≪二刀流≫に変化しました≫
二刀を入手したことで刀術が上位互換スキルの二刀流に変化した。上位互換スキルは、元のスキル、つまり俺なら≪刀術≫スキルに加えて≪二刀流≫スキルが使用可能なのだ。怖いもの無しだな俺。
結局、両腰と背中、どちらに掛けておくか迷ったが二刀を背中に掛けた。実は、刀は体のどこに掛けるかで技の使用時に威力や速度が変わるのだ。
腰なら居合技が。背中に横掛けなら抜刀技が。縦掛けなら返し技が。人によっては普段はアイテム欄内にしまっておいて使うときに取り出して使う奴もいる。俺的には一点凝縮型の抜刀技がやりやすいから背中に横掛けだ。
こういった風に、刀に限らず他の武器も同じように設置場所で効果が変化するのだ。
刀を得てご機嫌な俺は、今度は符術を使って色々と実験している。実験というか、符術の応用がどこまであるかなど気になること多数。大樹の根元に腰掛けながら色々と試してみた。
その結果。
○飛脚の札 スキル不使用時のジャンプの高さが最大30mになる。効果時間は一時間。
○飛翔の札 ジャンプ後に空中待機時間を増加させる。効果時間は一時間。
○脚力の札 脚力を上昇させ、ステップの移動範囲を拡大させる。効果時間は一時間。
○空脚の札 空中で再度ステップ、ジャンプを使用可能にする。効果時間は一時間。
○落減の札 空中落下時の速度を減少させる。効果時間は一時間。
主に移動系の札を入手できた。これは自分に張り付けることによって効果を得られるらしい。で、さらに気になって聖獣から貰った針とタマモの毛を使って雪駄にこの札全部を縫い付けてみた。すると
○天歩の雪駄 ORIGINAL ITEM 移動速度上昇。MPを消費して空中歩行、飛行が可能。
空中歩行可能な装備が完成した。これが出来た瞬間は感動ものだ。どうやら符術はこのようにアイテムなどに縫いつけたりするとそのアイテムと同化するらしい。その際に縫い付けた札同士の効果を掛け合わせて別のものにする形だ。しかも縫い付けた札のレベル、枚数に応じて効力や効果のレベルが変わる。
今回のこの天歩の雪駄はいままで存在していなかった分装備のランクがオリジナルアイテムになっている。なかなかおいしい結果だ。
いつの間にか日は沈んであたりは暗くなっていた。あらかじめ集めておいた木の枝でタマモに頼んで火をつけてもらう。青白い火が出てきたがまさか鬼火を出してくるとは。
この世界でも時間経過はする。幸いこのエリアには夜行性のヤツは居るにしても聖獣のため襲ってこない。大樹に背中を預けて腕を組み上がら寝に入る。明日からはこのエリアの探索を初めていこうと思う。ここを拠点にしてまずは最初に来た湖をスタート地点にし、右方向に進んでいく。多分、何かしらはあると思う。
よほど疲れがたまっていたのか眠気は案外すぐ襲ってきた。訪れる睡魔に身を任せて俺は深い眠りに就いた。
デスゲーム一日目。俺は謎のエリアで最強チートになってしまった。
≪Name≫ツクヨ ≪Job≫陰陽師 Lv.772
HP:59880 MP:70190 SP:102200
ATK:8922 DFE:6720
MAT:7120 MDF:7100
SPD:9249 TKN:8333(+200)
HIT:6010 LUK:7090
MFP:8820 RVL:5911
Skill:≪符術≫≪二刀流≫≪ステップ≫≪隠密≫≪威圧≫≪体術≫ ≪?????≫
Title:≪唯一を歩む者≫≪適合者≫≪器用者≫≪聖獣に認められし者≫
≪聖獣の繋がり≫≪駆け上る者≫≪九尾の主≫≪強運≫≪共有者≫
Equipment:『三流陰陽師の羽織袴』『三流陰陽師の袴』『天歩の雪駄』
Weapon:『霊獄刀「黄泉桜」』『怨妃妖「狐貂」』『ただの札×115』
Partner:タマモ(聖獣/妖狐族/九尾)Lv.692
ちょっと説明
≪共有者≫ プレイヤーとパートナー、共に経験値を共有して同じ数値の経験値を入手することができる。
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