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Over Died Online   作者: 夢見屋
Story1 シンフォニア編
5/9

Data.4

 

 周囲の景色を呆然と見つめながら、無意識に足を進める。現在の状況から、俺は脱力している。

 俺の職業は中途半端職の陰陽師。ここはどこかも分からない未知のエリア。モンスターのレベルは不明。装備は初期装備。何よりソロ。そして今、このゲームはデスゲームと化している。これじゃどう足掻いても助からない。今のところは何にも接触していないが接触したら最後、襲われて終わりだろう。このエリアを見る限り、少なくともレベル100以上のモンスターは居るはずだ。

 

 神秘的なまでの景色。無尽蔵に、しかしなおも美しく見える木々。そしてなにより、こんな東の端からでもはっきりと見える、中央にそびえ立つ大樹。フロアの天井をすべて覆い隠すほどデカイその木は一種の神々しさを醸し出している。とても初心者が訪れるようなありきたりな景色ではない。これならこのエリア内に神様の住んでる遺跡がありますとか言われても信じる。それほどまでに圧巻なのだ。


 しかし、いつまでもここにいるのもしょうがないため唯一の手掛かりにでもなりそうな大樹へと足を向ける。手を目の前にかざし、ステータス画面を開く。

 現在地、エリア名≪シンフォニア≫。マップは「NO MAP」、つまりマップは存在しないということ。どういうことだ?ここは正式なエリアじゃないってことか?

 正式なマップであるなら特別なイベントマップ以外は絶対に表示されるはず。少なくとも今、俺にはイベントが発生してない。受信イベント欄には一件も受けた記録が無い。ということは正式マップではないと…?


 マップ項目以外に目を向ければ、何故か称号が二つ増えている。≪唯一を歩む者≫と≪適合者≫。


≪唯一を歩む者≫  全プレイヤーの中で同職業のプレイヤーが一人もいない者に贈られる。ステータス値の上昇効果。


≪適合者≫     $%%#&”#$’&#?&’!<


 一つ目はなんとなくわかる。陰陽師の奴なんて他にいなかったしな。ステータス値の上昇効果。確か初期ステータスは特化したのが最大200まで、それ以外が最大100までで固定されていたはず。で、俺のは


 Name≪ツクヨ≫ Job≪陰陽師≫ Lv.1 


 HP:300 MP:500 SP:400


 ATK:205 DFE:210

 MAT:330 MDF:190

 SPD:300 TKN:180

 HIT:200 LUK:160

 MFP:300 RVL:110

 

見事に全部100越え。中には300越えまである。これは破格の設定だな。もしかして≪唯一を歩む者≫って陰陽師と巫女のための称号だったりするのか?いや、考えすぎか。


 で、次の≪適合者≫だが……説明の表記がバグってる。よくわからないが、まあ害はなさそうだから無視していいか。それ以外では特に変化なし。

 ステータス欄を閉じ、再度歩き出す。この世界にも一応朝昼晩と時間設定はされている。現在時刻は12:50。どうやら、開始時間は現実と同じタイミングで計測されるらしい。

 夜になると夜行性のモンスターが現れるのも少なくない。今のうちにどこか隠れ場所も探すべきだろう。

 さて、探索に行きますか。


―――――――――――――――


 風によって揺れる木々の音しか聞こえない中に、弱々しい泣き声が聞こえる。まるで助けを呼んでいるかのような、小動物の声。

 茂みの向こうになにかがいるのは分かる。そっと近付いて茂みから顔を覗かす。


「キュゥ…」

「…大丈夫か?」


 茂みの奥にいたのは一匹の狐。部類的には「エレメンタルフォックス」か?ゆっくりと抱き上げ、ステータスを確認する。


 ≪部類≫聖獣/妖狐族/九尾 ≪レベル≫??? ≪状態異常≫衰弱


 HP:100/41000 MP:20/54000 SP:0/20000


 ステータスを覗いて驚愕した。レベルが≪???≫ということは俺よりも何十倍も高いということだ。それはまあいいとしよう。しかし、部類が妖狐族で九尾?よく見れば尻尾が九本ユラユラと弱々しく揺れているのが見える。…全然気付かなかったぞ。


「どうするか…なにかいい方法、あるか…?」


 回復できるようなアイテムは特に持ってない。ポーションを買う前にここに飛ばされたからな。それ以外で使えそうなもの。太刀は無理だし、そうなると札だけがなにかに使えそうだが…。


「……あ」


 一つだけあった。

 札をありったけ取り出して頭に文字を浮かべながら札にSPを込める。すると、札に文字が表示される。「癒」と書かれた札を三十九枚作ったところで別の札を作る。

 SPが切れた。そして今作った「変換」と書かれた札を自分に使う。するとMP残量が100になり、SPがフル回復する。そこからまた四十枚作って今度こそSPがからっきしになった。


 回復の札/中 回復量500


 同時に頭の中にポーンとアナウンスが響く。


≪スキル≪符術≫を会得しました。≪符術≫のスキルレベルが3に上がりました≫


≪パッジヴ:≪器用者≫を入手しました≫


 作った札を狐に張り付ける。一枚だけなら少ないけどこの量なら破格の回復量だな。


 ≪部類≫聖獣/妖狐族/九尾 ≪レベル≫??? ≪状態異常≫衰弱


 HP:39600/41000 SP:20/54000 SP:0/20000


 合計79枚の総回復量39500。ほぼ全快した。まさか一回目の符術で中の回復札を作れるとは思わなかったがおかげで≪器用者≫の称号が手に入った。


≪器用者≫  初めて使用したスキルで中級クラスのものを作った者に贈られる。TKNに+200の補正値。スキルでなにかを作る場合、スキルレベルよりも上級のものができる確率が上がる。


「キュー」

「ん?お、元気になったか」

「キュッキュ」

「どうした?」


≪九尾の友好度が100%になりました。九尾をパートナーにしますか?≫


 これは…どういうことだ。友好度、たしかモンスターの友好度は100%になると召喚術師じゃなくても一体だけテイム可能になるんだっけ?まあ、これからのためにいても困らないしここではいさようならで立ち去るわけにもいかないしいいか。

 迷わず≪Yes≫を押してパートナー契約をする。


≪契約が成立しました。名前をつけてください≫


「名前か。どうするかな…」


 九尾、といやあ最初に浮かぶのは某紫バ〇アの式神ぐらいなんだよな。いや、それは別として。

 結局ここは無難な名前でいこうか。


「お前は、タマモだ」


≪名称をタマモで登録しました。スキル≪信頼の譲渡≫を発動しました≫


≪パッジヴ≪聖獣に認められし者≫≪聖獣の繋がり≫を入手しました≫


 名前を決めると同時に俺の頭の中にアナウンスが延々と流れ始める。


 レベルが2に上がりました。レベルが3に上がりました。レベルが4に上がりました。レベルが5に上がりました。レベルが6に上がりました。レベルが7に上がりました。レベルが8に上がりました。レベルが…


 ……。

 十分後。レベルは300で止まった。続くように入手スキルが頭に流れ込んでくる。


 スキル≪刀術≫≪ステップ≫≪隠密≫≪威圧≫≪体術≫≪?????≫を会得しました。≪付与術≫のスキルレベルが3に上がりました。


 パッジヴ≪駆け上る者≫≪九尾の主≫≪強運≫を入手しました。


 …どうやら俺は開始早々チートになってしまったらしい。


――――――――――――――――


≪Name≫ツクヨ ≪Job≫陰陽師 Lv.300


HP:10300 MP:12000 SP:21000


ATK:1033 DFE:998

MAT:1300 MDF:1000

SPD:2000 TKN:1500(+200)

HIT:1500 LUK:1355

MFP:1700 RVL:1990

Skill:≪符術≫≪刀術≫≪ステップ≫≪隠密≫≪威圧≫≪体術≫≪?????≫

Title:≪唯一を歩む者≫≪適合者≫≪器用者≫≪聖獣に認められし者≫≪聖獣の繋がり≫

    ≪駆け上る者≫≪九尾の主≫≪強運≫


Equipment:『三流陰陽師の羽織袴』『三流陰陽師の袴』『雪駄』

Weapon:『普通の太刀』『ただの札×120』

Partner:タマモ(聖獣/妖狐族/九尾)Lv.???


主人公、戦わずして最強になる(笑)


主人公の会得スキルを修正。 2014/05/23

≪付与術(使用型)≫をなくしました。

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