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その5 ポーカーinオレンチ

すこし短く区切るようにしました。


おれの部屋はけっして狭くはないのだが、4人も入るとすこしきつい。

 あの後全員集合して、話し合いの結果おれの家で遊ぶことになった。きょーびの大学生らしからぬとは思うけど。

「さ、いつものと行きましょうかね?」

茜も気合は入ってるし。うちに来ると大抵はトランプをすることになってる。これはうちに遊び道具が少ないのに起因する。

「ちょっと待て、持ってくるから。」

どこにあったっけなー・・・と、あったあった。

「なにがいい?」

「おれはポーカーがいい。」

「なにか賭けるの?」

「いいね!やっぱりなにかリスクがないとポーカーはつまんないわよね!?」

「金賭けると?」

「のった。」

「あたしもそれでいいよ?」

えー、金を賭けてのポーカーは賭博法違反だが、まあ、大目に見てください。

「よし、単位は?」

「100円!」

「ルールはオーソドックスでいいな?」

「異議なか。」

「親はタツがやってよ。」

「まかせとけ。」

というわけで、ポーカー大会のハジマリー。はい、拍手。

といってもおれはポーカーはあまり得意なほうではない。どうもビビッてしまって、勝てる役なのに降りてしまう。フラッシュなのに降りて馬鹿にされたこともある。・・・フルハウスとかあったら怖いじゃん。

さらには、ダメージが小さくて済むように少しずつしか賭けないようにしてしまうので、さらに弱い。賭け事ってのはなんでも、ちまちま賭けてはいけないのだという。少しでも勝てそうならどんと賭けなくては負けてしまうらしい。確かにちまちま賭けると負けにくくはなるが、同時に勝ちにくくもなる。わかってはいるのだがどうしても・・・・ね?まあ、茜もおれとどっこいどっこいだからボロ負けってわけもない。

5回目ぐらいのゲーム。

「あたしは・・・だめだ、降りるわ。」

茜はさっそくあきらめる。・・・うーむ、おれも降りよう。

「おれもだ。」

慶二がなにやらたくさん賭けてるんだもんなー。ありゃフルハウスか?

「茜もタツミもダメだよそんな弱気じゃ?どーんと行かなきゃ。どーんと。」

「んなごつ(まったくだ)。美里も降りてよかよ?」

「あははは。そんな手には乗らないよ?」

美里が不敵に笑う。

「なんのことか?」

「慶二こそ降りたほうがいいんじゃないの?」

「いいや。勝負しよか。」

「そうこなくちゃね。」

まず慶二が手札をオープンする。

クローバー8、ダイヤ8,ダイヤ7、ダイヤK、ダイヤA

「フラッシュ一歩手前だったったい。」

「え?ワンペア?」

おれはツーペアだった。勝てたじゃんか!?茜も驚いている。

「ふふふ、ポーカーフェイスってヤツたい。ハッタリも大事かよ?達見が弱かごたんはポーカーフェイスが出来とらんからたい。」

「お、おう。」

「ちなみに観察力もないよね。」

「・・・はい。」

なんか美里と慶二に説教されてる。

「慶二が何枚カードを交換したか、二人とも見てた?」

「み、見てない。」

「おれも見てない。何枚だったんだよ?」

「5枚。最悪な手札だったったい。なんもあらんかった。」

「そう。慶二は5枚捨てたんだよ?いい手札じゃないって言ってるようなものでしょ?」

美里もオープンする。スリーカードだ。

「な、なるほど。」

「捨てるカードで分かるもんなのねー。関心。」

「よおし、次!!」


 気合十分で臨んだが、そんな簡単に強くなるわけもなく、おれと茜はいいカモらしかった。

気づけばもう7時。えらい集中してやってたもんだ。

「じゃあ、あたし達は帰るね。」

「二人の同居ば邪魔して悪かった。」

あー、こいつはどうしてこう茶化すのが好きなのか・・・。

「ど、同居!?」

美里は真に受けてるし。

「二人で同じ家にいたら同居だよねー。」

「んなごつ(そうだな)。」

そして慶二も参加。

「は、早くかえれー!!」

動揺しまくる美里。

「はいはい。じゃな。また明日。」

「おう。」

「じゃあねぇー。」

2人が帰った後も美里は固まっている。

「ど、どおきょ・・・。」

「なにぼーっとしてんだ。」

「い、いや、なんでもない!」

かわいいなぁ、このお!・・・なんて。

「あ、おなかすいた。」

「7時か・・・今夜はなにが食べたい?」

「あ、あたしが作るよ?」

「今夜はなにが食べたい?」

「あたしが作るって!居候だもん!」

「な・に・が・た・べ・た・い!?」

「・・・チャーハン。」

「よし任しとけ。」

二度と台所には立たせないと心に誓ったのだ。

「あ、美里?」

「なに?」

「2000円ぐらい貸してください。」

「そんなに賭けちゃったの?」

「・・・はい。」


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