表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/8

第10話 退魔滅殺七聖人

(*´ω`*)おぱようございます!

 セイン教の本拠地であるセイン教総本山の有る国、神聖光国セインティリア。

 其処に居る教皇が一応はこの国の主となる。

 しかしあくまで神こそが人類の指導者であるとし、神の声を聴ける巫女の言葉を指針にして国家運営をしている。

 セインティリアにも王族は居るがやはりこの国でも形骸化している。

 王侯貴族よりも教皇、枢機卿、大神官等の方が発言力も資金力も持っている。

 セイン教は布教が進んだ地に有る土着の宗教を駆逐していった歴史が有る。

 多神教や他の神の存在を認めず、神と云えばセイン教の唯一神を指す為、偶像や壁画や教会、神殿等を打ち壊し焼き払った。

 神殿と云えばセイン教の神殿を指すからだ。

 故に敬虔な教徒も異教徒も、敬愛と畏怖を込めてセイン教の唯一神を『神』と、セイン教の神殿を『神殿』と呼ぶ。

 それ以外の神は悪魔であり、それ以外の神殿は悪魔の居城なのだ。

 それは戦争に依って勝敗が決まった結果に過ぎないが、また事実でもあった。

 例えば紅血魔王領ブルートヘイムでは人間達が吸血鬼に管理されているディストピアであった。

 彼等は血を税として納め、吸血鬼の庇護下で平和に暮らしていた。

 未確認、非公式ではあるが他の魔王が治める領域にも人間の奴隷が居り、劣悪な環境ではなくそれなりの環境で管理されている。

 正に家畜である。

 そしてそれを非道な行いであると断じて戦争を起こした。

 七ヶ国同盟軍が今現在、紅血魔王領ブルートヘイムへ侵攻中である。

 魔王と聖女のぶつかり合いで魔力の磁場が乱れ、映像は疎か音声も拾えない激戦区と化していた。


『何度も言うぞっ!何故俺様が今作戦から外されているっ!それに―――』


 セインティリアの中枢である大神殿内に有る大聖堂。

 その大聖堂の一室、大神官クラスでなければ立ち入り出来ない区域に苛ついた怒声が響く。


『何故俺様の序列が上がらんっ!俺様も戦果を上げたぞっ!?何故あんな小娘が俺様より上でっ!何故あんな小娘が最強と呼ばれているのだっ!』


 真っ赤な髪を逆立てた偉丈夫が吠えている。

 その姿は背後の調度品や壁が透けて見え、微かにブレている。

 最新の通信魔道具が遠距離に居る人物を、立体映像として浮かび上がらせているのだ。

 音まで伝達出来るのだが、まるで其処に居るかの様な存在感。

 使用者の魔力次第で精度が変わると云われるが、強大な魔力を持つ者が扱うと却って映像や音声が乱れると云う欠点も有った。


「落ち着け、赤熱の」

『落ち着けるか、クソがっ!』


 室内に居る老人が落ち着いた声音で語る。


『⋯⋯⋯⋯ノエルは強い⋯⋯⋯』

『ああっ!?』


 ボソボソとしたノイズ混じりの声音が室内に響く。

 この場には三人の人物が居た。

 一人はこの場に実際に居る老人。

 あと二人の男女は姿がブレており、遠隔地から参加しているのが解る。


『てめぇ等は何も感じねぇのか?あ?青藍、灰燼』


 真っ赤な髪の男が燃える様な赤い瞳で仲間二人に語り掛けて来る。


「そうさの⋯」

『⋯別に⋯どうでも⋯』

『ちっ!日和見共がっ!』


 老人が伸びた白い顎髭を撫で付ける。

 フードを目深に被った女性がボソボソと応える。

 彼等は聖人。

 退魔滅殺七聖人のうちの三人だ。

 もう三人は現在、紅血の魔王討伐に向かっている。

 残る一人は別の仕事をしており今回の戦争にも会議にも不参加である。

 魔王討伐等と云う一大イベント、本当ならば全員で向かいたいところだが、七ヶ国同盟が為された理由の一つに、大国からの防衛と云う点も有る。

 この地域を囲む山脈を越えた先には竜族が住む。

 海の先には魔法より錬金術の進んだ国がある。

 その二国以外にも独自の国教を持ちセイン教への改宗を拒む国も仮想敵国となっている。

 竜族の治める国ではやはり人間は奴隷であり竜族の為に奉仕している。

 竜族に神が居るとしたら、彼等の祖先、エンシェントドラゴン達を指すだろう。

 機械化の進んだ海の向こうの国ではそもそも神の存在を否定している。

 七ヶ国同盟の結束を強める為にセイン教の唯一神を信仰している事で、余計な敵をも増やしていた。

 勿論その大国達と事を構えるつもりも無い。

 他の魔王領に攻め入るつもりも無い。

 紅血魔王領ブルートヘイムは人間の住む領域に在ったので、それを奪還するのが大義名分となっていた。

 肥沃な大地は魅力的だし、魔王の統治下で幸福に暮らす人間等目障り以外の何者でもないからだ。

 他の魔王領は人間が住むには過酷過ぎるし、そもそも攻め込むにも無理がある。

 例え魔王を打倒しても余り旨味が無いのだ。


『この様な大事、最初で最後かも知れんのにっ!』

『⋯行けなくて⋯良かった⋯』

「主等の任務も重要じゃろう?聖人の本分を忘れるでないぞ?」

『蛮族の異教徒共等もう鏖殺済みだわ』

『⋯こっちも⋯モンスターは⋯消したよ⋯』


 赤熱、灰燼、そしてこの場に居ない紫電の三人は特に戦闘能力が高く、高火力の範囲攻撃持ちである。

 翻って純白の聖女は対アンデッド特攻な為、対人戦闘には不向きである。

 防御や支援に秀でた黄昏、翠嵐は純白の援護に着いていた。

 適材適所だと理解は出来るが、それで納得出来る話ではない。

 対魔王として組織された七聖人。

 魔王を倒さず何が聖人か。


『魔王を倒さず何が聖人かっ!』

「またそれか」

『⋯何回も⋯それ、さっきも聴いた⋯』

 

 青藍の聖人と灰燼の聖女がやや呆れた声音で応える。


『そもそも、最強の聖人はお前だろう?悔しくはないのか、青藍の』


 挑発する様に赤熱の聖人が問い掛ける。

 火力勝負なら敗ける気は無いが、煮ても焼いても食えぬ老獪なこの老人こそ、七聖人最強であると彼は考える。

 赤熱の聖人は血気盛んな若者ではあったが、他者を過小評価する事はなく、自分の物差しで的確に判断していた。

 純白の聖女は確かに強いが、何処か甘さがある。

 他の聖人聖女も強いは強いがまだ未熟な部分が有る。

 その点、この老人には隙が無い。


「儂ゃもう爺じゃよ?老骨に鞭を打っても大した働きは出来んよ。それに若人に手柄は譲らにゃいかんしの。故に儂に不満は無いぞい。むしろずっと此処に居たいものよ。ひょっひょっひょ」


 青藍の聖人。

 七聖人最年長。

 純白の聖女ノエルの代わりにセインティリアの防衛に着いている。

 本来セインティリアにはノエルが常駐しているのだ。

 大神殿の周りには清められた聖水で満たされた堀がある。

 青藍の聖人の水魔法ならばそれを活用して物理も魔法も絶対防御の結界を構築出来る。

 更に美しき水の都としての側面も持つセインティリアには豊富な綺麗な水源が有る。

 水を司る青藍の聖人の為の地形と云っても過言では無い。

 この大神殿にて守りに徹するならば、青藍の聖人は無敵であろう。


『この狸爺が⋯』


 赤熱の聖人が忌々しげに吐き捨てる。

 今は好々爺の様な振る舞いをしているが、若い頃は武闘派で鳴らした男だ。

 一歩も二歩も引いて援護や支援に徹しているが弱い訳が無い。

 そして火属性を極めた赤熱の聖人とは相性が最悪だ。

 負けはしないが勝てるイメージも湧かない。

 教皇辺りに頼まれてそうだが、度々強硬策を唱える赤熱の聖人のブレーキ役としてのポジションに収まっている。

 実際今、急に聖人会議に呼ばれたのもそれだろう。

 純白の聖女を中心に据えた魔王討伐作戦には以前から不満を訴えていた。

 どさくさに紛れて乱入する事も考えた。

 当て付けの様に用意された異教徒討伐の任務も速攻終わらせた。

 まだまだ余力は有る。

 魔王と戦える。

 それを見透かされたのだろう。

 突然呼び出され、のらりくらりと話を躱され、毒気を抜かれている最中だった。


『いい加減にしろっ!俺様は―――』

『⋯魔王ヴォロス、討伐⋯』

「!?」


 積極的に発言していなかった灰燼の聖女がボソリと呟く。


『なん、だと?』

「ほぉ、やりおるの。純白の」


 赤熱と青藍の二人は灰燼の言葉を疑わない。

 広範囲の感知魔法を持つ灰燼の聖女が嘘を言う理由が無い。


「これでノエル殿が名実共に序列一位になったの。残念だったのぉ。今どんな気持ちじゃい?」

『―――――――――――!』


 赤熱の聖人が何言か絶叫した様だが、通信魔道具が拾い切れずに音割れしてしまう。

 そして⋯


『ドゴッ!ゴンガンッ!』


 何かが倒れる音を残して赤熱の聖人の姿が掻き消える。

 恐らく通信魔道具を蹴倒したのだろう。


「やれやれ」

『⋯じゃ⋯』


 溜め息を吐き出す青藍の聖人。

 挨拶もそこそこに通信を切る灰燼の聖女。

 こうして緊急聖人会議は唐突に終わりを告げる。

 しかし青藍の聖人の目論見は達成された。

 時間稼ぎをされなければ、赤熱の聖人は紅血の魔王と純白の聖女の死闘に間に合えた。

 さすれば魔王ヴォロスを完全滅殺出来たろう。

 しかし、教皇を始めとした各国首脳はそれを許さなかった。

 赤熱の聖人が本気で戦えば、戦争の目的である肥沃な大地や、健康で従順な奴隷も消し炭にされてしまう。

 灰燼と紫電も同じくである。

 単騎で魔王ともやり合える聖人聖女。

 彼等の力は規格外過ぎ、最早戦略兵器としての運用に移行していた。

 そしてその事は、赤熱の聖人も理解していた。

 だが鍛えた力を振るえぬ事実は彼の闘争心を不完全燃焼させ、火種を燻ぶらせる事となる。


「我々は魔王滅殺の為に組織された筈だっ!俺様は馬鹿共の道具ではないっ!」


 体からは発熱に依る湯気が立ち昇り始める。

 体温が急激に上がり脳が煮える。

 しかし火や熱への強耐性を持つ彼の肉体はむしろ活性化する。


(いかん、暴発してしまう)


 頭の何処か冷静な部分が危険信号を出す。

 異教徒かモンスターを焼き殺して発散しなければ、セインティリアに殴り込んでしまいそうである。

 頭に血が昇った状態であの老人と戦うのは自滅行為だ。


「聖人様⋯」


 そんな時、神聖騎士の一人が顔を出す。

 彼女は荒ぶる赤熱の聖人を心配していた。

 先程の戦闘で危ないところを助けられて以降、任務とは違う感情を赤熱の聖人に抱き始めていた。


「ど、どうなされました?」

「フーッ!フーッ!」


 彼から湯気が立ち昇っている。

 慌てて駆け寄り治癒魔法を行おうとするが⋯


「ああっ!?何をっ!?」


 彼に腕を取られ、祭壇に向かい組み伏せられる。

 鎧は熱でひしゃげられ剥ぎ取られる。


「ああっ!お許しをっ!」


 下着までずり下ろされる。


「神の御前でこんなっ!⋯お、お許しを、どうか―――」


 通信魔道具はこの付近で一番大きな神殿の聖堂に有った。

 つまり此処は聖堂である。

 神の御前である。


「おおおっ!」

「ああっ!熱いっ!」


 熱された鉄棒を突き込まれた様な激痛。


「ああああっ!お許し下さいっ!お願いですっ!ああっ!」


 赤熱の聖人は燃える様な怒りを、哀れな部下を犯す事で発散した。

(*´ω`*)おぱでーす!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ