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第2話 影血のエリザヴェータ

(*´ω`*)おぱようございます。

 紅血の魔王ヴォロスは闇属性の魔力を持ち、純白の聖女ノエルは光属性の魔力を持つ。

 その相反する属性の高密度の魔力がぶつかり合い発生した、対消滅爆発。

 その爆発は魔王城を中心にブルートヘイムを壊滅させる。

 逃げ遅れた国民やそれを襲う同盟の兵士達、全てが巻き込まれる。

 まだ残存していたヴォロスの眷属達は、主の消滅と同時に血の露となり吹き飛ばされ蒸発する。

 この地上から紅血魔王領ブルートヘイムが完全に消え去った。

 その壊滅の瞬間である。

 爆風が瓦礫を巻き上げ全てを薙ぎ倒していく中、爆心地へ向かい走る影が有った。

 正確には影だけが高速で移動している。

 崩壊する魔王城の瓦礫も影は潰せない。

 むしろ爆発の光が濃い影を作り出し、その中を影がひた走る。


「対消滅爆発―――だからこそ、助かった」


 移動する影がボソリと独りごちる。


(もしも聖女の光魔法の効果なら、私も消し飛ばされていた)


 影が走る。

 まるで移動する水溜りの様に、もしくは上空を何かが移動し、それに付随する陰影の様に。

 しかしそれは水溜りではなく、上空には何も無い。


「見つけたっ!」


 影がトプンと波打ち、ドレス姿の少女が飛び出して来た。

 背中から蝙蝠の翼をはためかせ、今度は空中を走る。


「御父様っ!」


 彼女の名はエリザヴェータ。

 紅血の魔王ヴォロスが人間の妻との間に儲けた半人半吸血鬼である。

 彼女は五十年程生きているが見た目は十代位である。

 ほぼ無限の魔力と多彩な変身能力を持つ父と違い、吸血鬼特有のスキルや変身能力は無い。

 代わりに陽の光の下でも弱体化しない身体と、影を操る異能を持つ。

 それでも光属性の聖女の攻撃を受ければ一撃で死んでしまう為、父ヴォロスからは非難を命じられていた。

 しかし国外には行かず、父と聖女の死闘を見守っていた。

 何か嫌な予感がしたからだ。

 人間共が彼等の魔王領を狙って攻めて来る事は何度も有ったが、今回は少し違った。

 彼女が中枢の人間達の裏切りに気付いた時には、もう手遅れになっていたのだ。

 エリザヴェータの敬愛する父が敗ける筈等無い。

 それは信じていたが、不安は消えなかった。

 その為父の命令に反してブルートヘイムに残っていた。

 その危惧は当たってしまった。


「ああっ!?なんと云うお姿にっ!」


 純白の聖女ノエルの聖剣の力により、ヴォロスの肉体は両断された。

 相反する属性の魔力同士のぶつかり合いによる対消滅爆発。

 それにより肉体は木っ端微塵になっていた。

 父譲りの深紅の瞳が、湯気の様に陽炎の様に揺らめく炎の様な塊を見据えていた。


「魂だけなんてっ!おのれ聖女っ!おのれ聖剣っ!おのれクルースニクっ!」


 不老不死の吸血鬼、不死身の魔王でも殺せない訳ではない。

 しかしその不死性は肉体の再生能力に留まらない。

 塵にされても灰にされても復活は出来る。

 血の一滴からであっても蛭とかに変身し、動物の血を吸って徐々に回復させていけば復活は出来る。

 だが今回は無理だ。

 今回は完全敗北だ。

 光属性の効果を底上げする聖剣にクルースニクのオーラを纏わせた一撃。

 肉片も血液も全て消し飛ばされた。

 燦々と降り注ぐ陽光が弱々しい吸血鬼の魂等直ぐに浄化してしまうだろう。

 このまま放置すれば、愛する父が死んでしまう。

 

「させないっ!」


 エリザヴェータはヴォロスの魂を抱き留め、地上へと落下する。

 そうして自身の影に沈み込む。

 トプンと云う水音を残し、父の魂を抱き締めた半吸血鬼の少女が姿を消す。

 その瞬間―――

 

 ドゴォォォォォォォォン!


 ⋯と云う、轟音を立てて巨大な瓦礫が影を押し潰す。

 そして場には静寂が広がる。

 ブルートヘイムの国民にも同盟軍にもまだ生存者は居るだろう。

 しかし、昼間でも活動可能だったヴォロスの眷属達の消滅の確認を以て、七ヶ国同盟は紅血の魔王の完全討伐を宣言した。

 ブルートヘイムの逃げ遅れた領民達は奴隷として連れ去られる。

 更に治安維持の名目で七ヶ国同盟からそれぞれ派兵が行われる。


「なんか吸血鬼の財宝とかねぇかな?」

「目ぼしいのはもう残って無ぇだろ」


 瓦礫を漁る兵士達。

 そもそも物欲の低い魔王ヴォロスは余り財宝らしい財宝を所持していなかったのだが、その数少ない財宝すらもすでに持ち去られている。


「お前達、止めろっ!」


 治安維持の見回りでなく火事場泥棒に精を出す他国の兵士達に怒号が飛ぶ。


「ちっ。騎士様か」

「行こうぜ」


 七ヶ国同盟とは云え一枚岩ではない。

 六芒魔王陣等と云う脅威が無ければ直ぐに戦争状態に突入するだろう。


「まったく、正義の執行者としての自覚が足りん」


 その女騎士は同盟国の兵士の質の低さを嘆く。

 彼女は魔王討伐作戦には参加出来なかったが、事後処理とは云え正義の行使に使命感を燃やしていた。


「何百年も変わらなかった魔王の一角を、我々が崩したんだ」


 人知れず高揚し、正義に燃える。


「きっと他の魔王も、我々七ヶ国同盟と、退魔滅殺七聖人が倒すっ!」


 ⋯⋯⋯トプン⋯⋯⋯


 水場等無いのに、水音を残して女騎士が消える。

 見回りに出ていた女騎士が一人消えても、他の七ヶ国同盟の兵士達は気にも留めなかった。

(*´ω`*)おぱです。

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