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適合者はこの俺!!!!  作者: こしあん大福
第1章 真紅の雨
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第79話 和磨と楼汰

今回、本当はSideStoryでいいかなと思っていたんですが思いの外いい内容になったのでこのまま本編にします。

アニメで言う総集編、前回までのあらすじ!みたいななんかだと思ってください。


これは、楼汰が日本を出てすぐの事.........。















和磨と玲子は、政府の面々に説明し終えていた。


かなり反発や勝手に行かせて事に憤る議員も居たが、玲子の


「では今からお止めになってはいかがでしょうか?.....今度は誰が行くかでお揉めになりますか?」


という和磨からしたらヒヤヒヤどころではない辛辣な一言で黙った。


何しろ立場は完全に自分たちの方が下なのだ。


よくもまあこう言えたものだ。


しかし、そのお陰でうるさく言う人は居なくなった。


陰で愚痴を言うくらいならば可愛いもんだろう。


和磨と玲子はそれぞれ部下や同僚たちと向こうの国に連絡を取るよう行動した。


だが向こうはなんと交渉を拒否。


なんでも「国の意志」だそうだ。


粗方ベーツの作戦なんだろう。


面倒な事になったと、頭を悩ませる時間が続いた。


そんな中、和磨は息抜きに外に出た。











【和磨視点】


岩動さんは行ってしまった。


自分はどうするべきだったのだろうか......。


あの時は、ついカっとなってしまった。


国の英雄になるかもしれない人が、一時の感情に流されるなんてと思っていた。


...自分はバカだった。


もし、自分にとって大事な、目に入れても痛くない彼女の菜那が誘拐されたら......。


自分はどうしていただろうか。


岩動さんは怒っただけだった。


確かに行動に焦りは出ていたし、何より感情が爆発していた。


でも、それでも自分たちの言葉に耳を貸してくれたし、あんな力を持ってなお会話に応じてくれた。


彼なりのルールがあるのかもしれないが、少なくとも彼は自分たちの事を害する意思はなかった。


だが、自分だったら。


菜那が誘拐されて、生死も問えないような状態だとしたら。


岩動さんのように冷静に出来るだろうか。


...玲子さんはそれも含めて止めてくれたに違いない。


危うくまた彼を都合の良い英雄にするところだった。


自分は、正直に言うと岩動さんを尊敬している。


誰にだってできる事じゃない。


最初は、羨ましいと思っていた。


自分は公安で働いているが、誰かを守れる力なんて喉から手どころか脚が出る程欲しいモノ。


それを特に努力もせず手に入れていて、本当に羨ましかった。


しかし、見聞を重ね調査をすると傷も絶えず勤務先を消し飛ばされた挙句に殺されかけるような戦いを送っていた。


玲子さんの調べでは正体をバラされることを極度に避けていたようだが、そりゃあそうなりますなとしか言えない状態だった。


敵にバレれば殺される危険性が有り、国民にバレれば面白半分で生活を邪魔される可能性がある。


だから彼はなるべく正体を明かさない方向で動いていたのだ。


だが、残念な事に正体は流出した。


それでも彼はこの世界の為に戦った。


まさしく英雄だった。


自分は努力もせずなんて言っていた過去の自分を恥じた。


確かに偶然手に入れた力であるのには変わりない。


だが、それを使って実際に行動を起こしみんなを守ろうとするその姿そのものが、自分がなりたかったヒーロー像だった。


そしてそれは自分にだってできる事だった。


力なんて関係なく、彼が純粋に良い人だったから成り立っただけだったんだ。


あの力を手に入れたら悪用しようなんて人間もいるだろう。


そんな中で、一切悪意を持たず人の為に戦える戦士。


本気で尊敬した。


だから自分が彼の監視役になれると聞いた時は狂喜乱舞したものだった。















彼は明らかに怪しい自分に対しても、ずっと普通に接してくれた。


いくらその前に玲子さんと一緒に会っていたとはいえ基本的には初対面。


だが、そんな自分にさえ彼は優しかった。


どんな人間だって出来れば自分の暮らしを監視されたくは無いだろう。


自分だって嫌だ。


だが、それが仕事だった。


彼はそれを受け入れ、普通に生活していた。


玲子さんに心から感謝した。


あの人が会議中に自分を推薦してくれていなければ今日までの軌跡は無かった。


嬉しい事だ。


彼は本気で人々を守ろうとしていた。


彼はあの力を持つこと以外は本当に一般人で、時折危ない瞬間はあった。


勤務先を失い、働き口を探していると聞いた時は唖然としたもんだ。


国を守っているという、それだけでも7桁は貰っていい境遇にある人の収入がゼロ。


慌てて自分が補助すると言うと彼は優しい顔で断った。


彼は人から施しを受けるのすら断れる、勇敢で優しい人だった。


そんな彼にいろんな国が勧誘しに来ていた。


あの手この手でどうにか彼を自分の国の武力にしようと考える不埒な国はいっぱいいた。


彼はお金や環境によっては本気で羨ましがっていた。


このままでは英雄になる筈の彼が汚れてしまうと本気で思い、慌てて日本の自分が連絡をとれる議員に話し彼を脅威対抗国営防衛機関員にしてもらった。


今思えばこの時、更に対策を施していればこんな事にはなっていないかもしれない。


岩動さんに申し訳が立たない。


あの時実は、玲子さんともども政府の人間と話をしたのだが、頭の堅い世代の議員の、


「国の為に働けるなら全てが誇りになるだろうから無給でもいいだろうに」


だとか、


「本当に頼りになるのか?それにソイツがもう既に他の国の手先の可能性だってあるんだろ?」


とか


「まあ国を守る役を押し付けられるのはいいじゃろう。そんでもし国が少しでも疲弊すれば彼を盾にすれば民衆も分かってくれるじゃろう。」


などというとても人間とは思えない発言をする議員が多くて進まなかったんだ。


必死で説得を試みてなんとか出来たってレベルだったし、正直彼らはまだ納得していない気がする。


...あんな思考をしている人たちまで守らないといけない岩動さんが不憫だった。


国の為に働くことが誇りならお前らもみんな無給で働けばいいのに。















彼は疲れていた。


だから自分もちょくちょく気にはかけていた。


しかし、そんな中で彼が守り切れなかった兄妹が居る事が判明した。


正直に言うと、自分はしょうがないと思っている。


あれだけ強い怪物を、ほとんど毎回ボロボロになりながら必死で戦っているんだ。


守り切れない命は、必要悪だ。


どうしようもない事もある。


勿論、被害者の遺族がどんな気持ちでこれからを過ごすのかと考えると胸が痛い。


菜那が死んだなんて考えただけでも胃がキリキリする。


でも、恨むべきは全てあの異偶(バケモノ)だ。


間違っても、その矛先を守護者(岩動さん)に向けてはいけない。


その兄妹はあまりの絶望と怒りからおかしくなってしまっていた。


彼らは寄ってたかって岩動さんを責めた。


終いには彼の命を、ナイフで自ら奪おうとさせた。


流石に見過ごせず、間に入ったが、彼らの怒りだけは理解出来た。


理由なんて滅茶苦茶だし、岩動さんは八つ当たりされただけだ。


だが彼らには彼らなりの信念があった。


そして自分はどちらも叱った。


兄妹たちは、きっとこれから大人になっていく。


そんな中で家族を亡くしたという想いが歪んで成長してしまったら可哀想だと思った。


だからつい偉そうに話してしまったのだろう。


岩動さんにも少し怒りが沸いた。


彼は自らの腕を差し出そうとしていた。


その腕を失ったら、更に救えるはずだった命を失ってしまう。


責任感が強いというのは悪い事じゃない。


でも、それで本来出来ていたことを失うのは本末転倒だ。


彼もまた、動揺し歪んでしまいそうだったんだろうな。


...まさか自分がその後説教されるとは思わなかったが。


正論は時に人を追い詰めると、やけに真剣な顔で彼は言った。


あまりの表情に、頷くほかなかった。














その後も彼はフェイクの投稿を拡散され人格を否定されたり、メディアによって追い掛け回されていた。


自分もまた、彼を助けたいと思った。


彼は自分たちを助けてくれる。


玲子さんが言うように、では誰が彼を救うのか?


カーㇴさんだろうか。


それとも、彼の心の支えだろうか?


自分も、それになりたかった。


だからフェイクの発生源も必死に特定を頑張ったし、他も色々やった。


彼が何処かへ行こうとしていたら、特定しようとするメディアに嘘をついて逃がすくらいの事はした。


だが、彼はもっと大事なモノを失いかけていた。


それが、カーㇴさんだった。


彼女が攫われた時、自分たちも焦った。


でも、一番焦っていたのは当たり前で岩動さんだった。


一心不乱に連絡をかけ、奔走していた。


ただそれではどうにもならず、自分たちを頼ってきた。


いても経っても居られず行こうとする彼を何度抑えたか。


流石に彼がしつこすぎて少しイライラした瞬間もあった。


そのせいで言い過ぎてクールダウンしなければいけない事もお互いあった。


でも、手がかりが見つかって、そして玲子さんと自分の努力の甲斐あって彼は無事旅立った。


今頃は海の上だろうか?


それとももう着いている?


どちらにせよ、自分たちに出来ることはここから応援することに他ならなかった。















さてと、思い出を思い出したところで仕事に戻ろうと太陽に背を向け職場に帰っていたその時。


突如。















4つの、世界が砕ける音が聞こえたのだった。

和磨の意外な心の内が明かされましたね。

次回、日本で起きる前代未聞のパニックとは!?

乞う、ご期待ください。

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