第8話 輝光導石
本日はあともう一回投稿いたします。気長にお待ちください。
とりあえず家に帰ってきた。
彼女は帰って来るや否や早速石を触りだした。
正直、そんな危ない石を素手で触るのは危険だと思うのだが彼女は平気そうな顔で
「大丈夫です。これの扱いは分かっていますから。」
と言うのであった。
夕方になった。
テレビではさっきの戦闘の話で持ち切りだ。
今はさっきの壊されていたマンションにいたらしい住民にインタビューしている。
SNSでも実際のあの戦闘、そしてリーパーを見た人らが動画を投稿したことでトレンド入りしている。
さっきから俺のホームにも大量の動画や投稿が流れてくる。
”やばいわ。マジでロボットだった。あれどうなってるんだ?マジで”
”それどうせ誰かのフェイクやろ?”
”フェイクとか言ってるやつはにわか。この動き、CGでは再現できるわけない”
”てか倒したらすぐ消えたよな。あれマジで何?一瞬だったぞwww”
”怪物怖くない?あんなのに襲われたらひとたまりもないでしょ?私なら死んでる”
”なんかあれ、●●●●に似てたよな!!いや~、乗ってる人がいるなら羨ましい!!!”
等好き勝手な意見があり、陰謀論や宇宙人説なども唱えられているが一番多かったのは搭乗者がいるという話だった。
搭乗者は誰なのか、そしてこのロボット、怪物は何なのかについての議論があちこちで行われている。
ニュースでも本格的にこの怪物、そしてロボットについて世界各国を交えた会議をすると報じられていた。
しかし、SNS見てるとホント早く時間たつよなあ。さっきまで俺、昼だった気がするんだけど。
そして、彼女は俺の寝室から出てこない。
俺には危険だから入って欲しくないとは言われたが、いくら何でも心配だ。
何ならもう3、4時間は経っている。
俺だって技術的にはまだまだだが、プログラマーの片割れなんだから手伝わせてくれたっていいのに。。
...しかし、俺が搭乗者か。
こうやって羨ましがられたり、探されそうになったりすると少し優越感を感じるが、少し恐怖を感じる。
もし、俺が搭乗者だと知られたらどうなってしまうのか。
怪物を守る団体とかも出てくるかもしれない。
搭乗者になろうと俺を消しに来る奴がいるかもしれない。
なんなら、もう既に行動を起こしてるやつがいるかも。
何より、そんな力を持った一個人など危険でしょうがない。
もし見つかれば、少なくともただでは居られないだろう。
そう考えると、背筋が凍る。
......やっぱり、俺には.........。
そんなことを考えていると、不意にドアが開き、、、
「楼汰様!!!!!!分析が完了致しましたぁっ!!!!!!!!!!」
すんごい声量と共に彼女は俺にそう伝えてきた。
滅茶苦茶嬉しそうだ。声も弾んでいる。
彼女の服は汚れ、何か油のようなものがこびりついている。
...俺の寝室が心配だ。だが、心配すべきは他にもある。
「...大丈夫だったのか?!とりあえずこれで顔拭けよ。」
タオルを渡し、落ち着かせる。
汗をぬぐった彼女は笑いながら言った。
「ええ!!しかし、これでエネルギー問題も解決しそうです!!!!」
「本当か?何でそう分かったんだ?」
彼女は石を机に置くと語りだした。
「これは、私たちの世界で言う輝光導石です。」
聞きなれない言葉は最近耳にタコが出来そうなほど聞いたのでもう驚かない。
「輝光導石...?何だそれ??」
「輝光導石とは、太古の昔我々の世界に存在した伝説の獣が死んだ際、そのエネルギーが地層に溜まり石化したものです。ヒビから漏れた青白い光が核になっています。」
なるほど。この石の妙に気味が悪い光はエネルギーだったのか。
「それで、その核を使い私たちはIFRTのエネルギーや、様々な監視システム及びエネルギーの必要な機器を作ってきたんです。」
「なるほどな。でも何でその石が関係のないこいつ等に入っていたんだ?」
「それは...分かりません。しかし、エネルギーこそ従来の石の何百分の一にも満ちませんが確実にこれは輝光導石と言えます。」
そうか。それはよかった。少なくとも、帰る為の方法はあるってこったな。
そう答える俺に笑って返す彼女はそれはそれは嬉しそうだった。
「このエネルギーは我々には危ないものですが、私は資格を持っておりますので解体して確認致しました。楼汰様は危ないのでやってはダメですよ。」
「いや、でも気になるし。こっちにそんな資格無いからいいでしょ?監督責任で君もいてくれればいいし。」
「ダメです。」
ちぇっ、ケチ。
しかし、こうまで状況が揃ってくると言えなくなってきたな。
とりあえず、目先の事でも話しておくか。
「それで、向こうの世界に帰還するためのエネルギーはどれだけ必要なんだ?」
「大体、3~40体分くらいですかねぇ。先は長いです。」
「長っ!マジかよそんなかかるのか。」
「はい。ですので、楼汰様にも頑張っていただきたいです。勿論、出来る限りはサポート致しますので...」
「それなんだけどさ......」
俺がそう言うと、彼女は少し首を傾げ聞く。
「はい...?どうなさったんでしょうか?」
「悪ぃんだけど、俺もうリーパーには乗らないわ」