第77話 再会
本日2話目です。
不定期投稿が続きますがどうかお許しを~~~!
カーㇴは巻き込まれないよう結構遠くへ逃げていた。
というか逃げざるを得なかったというか。
ベーツは、あろうことかカーㇴを盾にしており兵士に脅させて無理やり歩いていた。
そして今はカーㇴは兵士たちの後ろ側、はるか遠くににいてベーツが勝ったとでも言いたげな表情でこちらを見ていた。
「なぁ、アンタもいい加減にしろよ。早くカーㇴを解放してくれ。俺はもうそれでヨシにするから。」
「はっ、何を言っているのかよく分からんな。だが少なくとも奴のお掃除ご苦労様。それは助かった。」
「そうか、ならその報酬でカーㇴを返してくれ。」
ご苦労って思ってんならいい加減言う事を聞いてくれって。
スマホで翻訳を起動しながら俺はうんざりしていた。
「それとこれとは話が違う。奴の裏切りは私にとって何ら関係はない。それよりも今はこの少女だ。お前もこの子と一緒に居たいんだろう?ならばこちらに来い。認めてやってもいい。」
何なんだこいつ、マジで何様なんだ?
疲れからかまともな考えが思い浮かばない。
いい加減解放してくれよ。
カーㇴを返してくれるだけで満足なんだって。
なんでそれすらしてくれないんだ。
あんま言いたくないが俺はお前らを守ったんだぞ!
傷つきトラウマ級のダメージを喰らいながらも必死に。
この国にだって国民が居て、そしてカーㇴが囚われている。
そこを攻撃させるのはマズいと思って、必死に守ったんだ。
何だこの仕打ち。
俺は別にこの混乱に乗じてあの赤い姿になった時にそのままカーㇴだけ持って逃げる事だって出来たんだ。
それをそうせずちゃんと要求しに来た俺に対しこのやり口。
腹立ってくるな。
コイツら、やっぱ〆るしかないんじゃないか?
リーパーの力は世界の為にとは思っているが、これは別だ。
俺たちの平穏の為にコイツはここでヤるべきだ。
というか謝られても殴りたいしな。
それくらいムカついている。
今から謝罪されても許せる訳が無い。
マジで一回くらい殴っても許されるよな?
こんな国、俺としてはどうだってよかった。
なのにこんな邪魔をしてくれやがって。
大体お前らがトァネミとやらの協力を受けなければこんな事にはなっていないんだ。
お前らが悪い。
よって早く回収して帰ろう。
「大体な、貴様のせいでわが軍の様々な兵器が壊されたんだ。貴様一つ回収しなければ国も守れんし何の得も無い!抵抗しようが何しようが必ず貴様を手に入れてやるぞ。」
もはや気持ち悪いな。
勘違い男かよ手に入れるとか。
大体壊されたのお前のせいじゃねえか。
かってに俺のせいにすんな。
国を守れなかったのはお前が欲を出したからだ。
それにな、仮に俺が守っていたとしたら余計今お前らは俺にひれ伏すでもしなきゃいけない状況だぞ。
言ってしまえば俺はお前らにとって文字通りの英雄だからな。
お前らの今後なんか知るか。
大体ここで俺を怒らせるのがどれだけマズいかわかってるか?
お前しでかした上にそれを解決した人間に対して邪魔してるって気づけよ。
それよりも早く帰してくれ。
アイツの最後に見せた技が仮にどこでもワープできる能力なのなら奴は間違いなく日本に行くはずだ。
俺が居ない隙を狙ってな。
今は早く帰らなければ。
「もう疲れたんだ。お前の講釈とかどうでもいいから帰らせろ。俺はお前に楯突いた羽虫を掃除してやったぞ。トァネミとか言うな。」
「ふざけるな!!お前、私を誰だと思っている。この国の主!!この国の中心、いわば神なんだぞ!!!弁えろこのドクサレが!!!」
翻訳、本当にドクサレとか言ってるのか??
と奴が言い終わらないうちに兵士が動いた。
奴らは全部で4人、最初滅茶苦茶いたが随分減ったもんだ。
しかしいくら俺がリーパーを使えるとは言え、搭乗を辞めたらただの一般人だ。
果たしてカーㇴの能力を含めても軍人複数名に勝てるだろうか。
答えは否だ。勝てる訳が無い。
どうしろってんだこんなの。
もう一回リーパー出すか?!
いっそのこと分からせてやっても......!
そう思い思わず声に出しかけたその時だった。
兵士一人が......。
ベーツをぶん殴った。
「な.........。」
殴られたベーツはあまりに突拍子もないパンチに唖然としていた。
俺もびっくりだ、俺じゃなくてこっちか。
「いい加減にしろ貴様!!それでも国のリーダーか!!!ずっとさっきから聞いていればこのお方に対し失礼な口を!!貴様こそ場を弁えんか!!!!」
おおぅ、なんか結構ムキムキなおっさんがブチ切れている。
ていうか、お方????
「な、ななな、何をしてくれてんだこのゴミカス野郎ォォッ!!!!!貴様、しっ、死刑だ!!!この私を殴りおって!!!!!おい、そこのお前たち!!!!!ソイツを速攻で処刑しろ!!!!」
おい、マジかよ。
何だか分からんが庇ってくれたおっさんに対し処刑だとか言ってるぞコイツ。
言っとくけどお前の痴態をカバーしてくれてんだぞこのおっさんは。
何かあれば庇う他ないか。
このおっさんを生かせばなんとかなるかもしれん。
と、兵士が銃を向けた。
ベーツに。
「な、何をしているのだ貴様らァァァアアッ!!!!!!それを向ける相手は私じゃない!!!ソイツだッ、ふざけているのか!!!もういい、お前たち全員帰ったら処刑にしてやる!!!!」
おうおう、遂に味方全員か。
本当に懲りねえなコイツ。
いい歳した大統領がこれとか恥ずかしいな。
しかし、兵士たちの冷めきった顔よ。
コイツらも恐らく俺に味方する気だな。
なんだよ、だったら最初から言ってくれよな。
「...何を黙っているんだァァァ!!!!何とか言ったらどうだ!!!!!」
「では、失礼ながら一つだけ。............どの口で喋ってるんだこのドクサレ野郎がッ!!!!!!!」
あのさ、ドクサレ野郎流行ってんの???
ほんで良く言ったな。
嬉しいよ俺は。
唖然とする奴を見つめつつ兵士たちはそれぞれ続ける。
「お前今何したか分かってんのか!!!命、いや国の恩人に対してなんたる無礼!!!彼はアンタすら救ってくれたんだぞ!!!!」
「そうだそうだ!!!そんな彼をお前はこれから奴隷のようにしようとしていたな!!!俺たちはあんな事する為に兵士やってんじゃねえぞ!!!!!」
「大体なんだあの男!!あんな怪しい奴のいう事を聞いていたのか!!我々も知らなかった!!!ふざけるな貴様!!!!あの男の身元の調査などはしたんだろうな!?不明なら尚更怪しむべきだ!!!」
「今のアイツらの言葉が全てだ。大体、お前あのマシンの行く場が無いから助けてやりたいとか言っていたな。......全ッ然違ぇじゃねえかよ!!!!!少女を攫って、人質にして脅して、挙句国を守ってもらっておいてその恩人に牙を剥く!!!人間のやる事ではない!!!」
皆口々に叫んでいる。
そんな風に思ってくれていたんだな。
ていうか、なら何で従ったりしたんだ?
て当たり前か。
いくら疑わしくても国の決定に対し一個人の兵士が逆らえたりしないか。
どんなに間違っていたとしても国の決定には逆らえず、そのせいで同胞を沢山失ったわけだ。
そりゃこんだけ怒りも出る。
むしろ殺さないだけ穏便だろう。
それだけの事をベーツはしている。
というかベーツ、俺への勧誘をアレで善意みたく話していたのか!!
だから最初は兵士たちも疑わしくも向かってきてたんだな。
誘拐されている事実を知らず、本当にカーㇴを保護しただけとでも思わされていたんだろう。
カーㇴのいう事だって聞けないだろうしな。
だったら悪いのは全てベーツだ。
コイツには責任を取ってもらうしかないな。
とはいえ、今は出来る限り早く帰りたい。
面倒なことは日本と兵士に任せよう。
「彼はこの国を守ってくれた。それだけじゃなく武装し待ち構えていた我々を守ってくれた。命の恩人なんてモンじゃない。そんな方を貴様はァ......。」
「しかも国の目などを気にしなければ最悪あの赤い状態のまま我々を屠る事だって出来た筈だ。なのにしなかった。彼は出来たお方だ。俺はこの国のトップがコイツである事が恥ずかしい。」
「あの少女もどうせ攫ってきたんだろ?許せねえな。お前覚悟しとけよ。白日にこの事を晒してやるからな。」
「...き、貴様らァ~~~!!!!」
怒ってはいるが二人に銃を突き付けられ動けない。
奴とて護身用の銃くらいはあるだろうが熟練の兵士には勝てんわな。
「マシンの方、いや、我々の英雄様。ご無礼をお許しください。本当に何とお礼と謝罪を申し上げれば良いか...。」
さっきのムキムキおっさんだ。
「我々の事もどうぞ断罪なすってください。我々のしたことは最低です。到底許されることではない。」
「いや、気にするな。まあ成り行きもあったし、今回の事は俺はもういいよ。その代わり多分日本からきっついお仕置きがあるかもしれないけど逃げないようにとだけ言っとくわ。」
「ありがたきお言葉。この者は必ず処罰し我々の神が見ている白日の中に必ず晒して見せます。」
「あー、まあそういうのは勝手にやってくれ。俺はもういいから。それよりカーㇴをだな......。」
「あっ、失礼しました。どうぞ。」
話の分かる兵士たちだ。
彼らには罰則とか無いよう玲子あたりに頼んでおこう。
ま、ベーツは大変な目に遭うだろうが、自業自得だ。
精々足掻いてくれ。
兵士たちが見るその先に、カーㇴは居た。
兵士に呼びかけられたカーㇴはこちらを見ると、立ち止まった。
そして、走ってきたのだった。
「楼汰様ァァァァァアアアアアっ!!!!!!!!!!!!!!!!」
彼女は一目散にこちらへと走りそのまま俺へと飛びついてきた。
何というか久しぶりの小さくて暖かい感覚と少しの重さが俺にのしかかる。
「おぁ!?おっ、おうおう。んったく、大丈夫か?」
「は゛い゛......は゛い゛......。ぐすっ、ぐすっ、ぼんどぶび......ぼんどぶによがっだでずぅぅぅ。ごぶじでぇぇぇ......。」
泣きじゃくってまともに会話も出来ないカーㇴを宥める。
「おいおい、泣き過ぎだろ。大丈夫かよ。...まぁでも、何もなくてホント良かった。俺もお前もな。生きててよかった。」
「ぼんどでずよ゛おおおおおお!!!!あ゛のどぎ、ろうだざまじんじゃっだのがどおぼっでぇ~~~~!!!!!!」
まぁ、確かにあの時痛みに苦しんだ時は死んだかと思ったさ。
でもま、こうして生きているから安心してほしいな。
......こうして、誰かに心配されるのってなんだかいいモンだな。
心がきゅってする。
「うぅぅぅぅ......うわぁぁぁぁあああああああああああん!!!!!!!!!!」
なんかもうもはや子供だな。
でもなんか久しぶりに見ると、こんなカーㇴってデカかったかなって思うわ。
......あれ俺なんかカーㇴの父親みたいになってるな。
家出した娘と再会した父親状態だ。
とりあえず泣きじゃくるカーㇴを宥め、ハンカチで顔を拭く。
それでも半泣きでぐすっとか言いながらなんとか泣き止もうとしているカーㇴが、とても嬉しく感じる。
いとおしいって、こういうことなのかな。
......しかしやりにくいな。
後ろで兵士まで号泣してるのが原因だな、完全に。
スマホは出していないので何言ってんだかは分からんが。
「俺ァ娘がいるからよぉ、あんなん見せられたら泣いちまうぜ。次に家に帰れるとき、娘と出かけてみるとするぜぇぇぇぇ。」
「俺もなんというか、今生きていられることに喜びたいな。おっ母、元気かな。」
「落ち着きました。見苦しい姿をお見せして申し訳ありません。」
「いや、落ち着いたんならよかったさ。」
泣き腫らした目は腫れ、赤くなっていた。
そんなカーㇴがようやく落ち着いたみたいだった。
良かった良かった。
さぁてと.........。
あ、そうだ。
聞きたいことがあったんだよなぁ。
それ聞いてから帰るか。
と、そこでカーㇴはこう聞いてきた。
「あの、楼汰様。お身体は大丈夫そうですか?」
ん?身体?
あぁ、そういえば確かに。
「私からはあまり戦闘は見えませんでしたが、少なくとも何回かかなりのダメージを受けていた筈です。ですが今見た限りでは目立った外傷が特にありません。一体、どうなっていらっしゃるのですか?」
傷のあった場所には何も無く、精々元々傷があったであろう場所に血の跡があるだけだ。
「俺も正直メカニズムは分からんけど、あの紅い姿になった時になんかアナウンスされたんだよな。装甲とかが回復するって。俺とリーパーは一心同体でリーパーがやられたところは俺もやられる。という事だからリーパーが回復したら俺も回復するって事なんじゃないかって思うんだよな。」
「......それは、初耳です。私はそんな仕様は知りませんでした。......そんな仕様はあの方もやっていなかったような...?」
あの方って言うと、あの方。
リーパーを一緒に作った研究者の事だな。
「そうか、カーㇴでも分からないか。」
「はい、申し訳ありません。」
「いや謝るなって。俺も正直あれはなんというか、奇跡の類なんじゃないかって思ってるから。じゃなきゃ今頃俺は片目失明してるしな。」
「な、なるほど。奇跡、ですか?」
「だってそうだろ、普通潰された目は元には戻らないぜ?それが見えるんだから奇跡に違いないだろ?しかも新たな力まで手に入れた。きっと俺を誰かが救ってくれたんだ。」
「誰かが...?」
「あぁ、じゃなきゃ説明つかないしな。きっとそうだ。うん。」
まぁ違ったとしても俺としてはどうでもいい。
こんな奇跡は続かない。
だからこそ俺も気を一層引き締めて奴らと戦わなきゃいけないって訳だしな。
ここで覚醒を当てにするようじゃ問題だしな。
今は考えなくていいだろう。
...ただ、仕様に無かったものを誰が追加したのかっては問題だろうがな。
もし誰かが勝手に改造していたらまずいしな。
ま、今はいいや。
それよりも.........。
「......で、聞きたいことがあるんだよな。」
「あ、はい。何でしょうか?」
カーㇴが知っているかはさておき、知らなくてもカーㇴの意見は参考になる。
聞いておいて損は無いだろう。
「そもそもさ、あの姿って仕様なのか?設計通りだとしたら色々と聞きたいんだが......。」
「......えっと、あの姿は楼汰様の書いたプログラムでは無いのですか?私は残念ながらあの姿ともども存じ上げません。」
「え、俺あんなの書いて......てか、カーㇴも知らないって事はアレもまた回復と同じか。神からのプレゼントってとこか。」
カーㇴでも俺でも無いとあれば確実にアレも回復と同じなんだろう。
何で俺にそんなのをくれたのかは分からんが、きっと俺の現状を嘆いてくれたんだろう。
そういう事にしとこう。分からないし。
何はともあれ助かった訳だ。
あのままじゃ俺は確実に死に、あの国もろともカーㇴも消えていたんだろう。
危なかった。
ダリアとの戦闘では自分のコードだけで何とかなったが、今回はダメだった。
フルパワ―を使って勝てない相手、か。
いずれあの紅い姿でも勝てない相手が来るのだろうか。
いや、暗い想像を考えるのは辞めよう。
あの紅い姿を超える敵も中々居ないだろう。
プログラムでも設計でも無いのならもはや分かりようがない。
...てことはひょっとすると............。
「あのさ、てことはカーㇴ、副作用の事も分かんない...よな?」
「え、あの姿だと新しい副作用があるのですか!?」
「いやまぁ副作用なのか何なのかって感じなんだけど...。」
副作用も違う、よなぁそりゃ。
あんだけ分からなくて副作用だけ作られていたらそれはそれで怖いわ。
いやまあ黒い姿の副作用も引き続き続いてるらしいしあんまこれは気にならないけどな。
説明してはみたが、カーㇴもやはり知らないらしい。
それも立派な副作用だとは言われたが。
まぁ確かに性格というか人格が変わるんなら結構な効果か。
これもどう抑えるかを考えなきゃな。
カーㇴと話しても得られたものは少なかった。
仕方ないとは思うが、なんとも言えない空気になってしまったな。
さてと、そんじゃあ帰るかね。




