第72話 死闘
まるまる2日ほど休憩して復活しました。
という事で新エピソードをお楽しみください。
壮絶な戦いが幕を開けた。
言ってしまえば俺だって死が怖い。
実際、アイツを追って死のうとしたときも、結局死への恐怖が勝って出来なかったしな。
そんな俺はきっと弱者だ。
弱虫で、何をしようにも常に恐怖が付きまとう。
俺は情けないやつだと自分をずっと思ってきた。
だからなんだろうか。
総勢40は居ると思われる異偶を目の前にして、何故だか笑いが止まらなかった。
明らかに絶望的な状況だからなのもあるんだろう。
ひょっとしたらもう俺は壊れているのかもしれない。
カーㇴを攫われた、いやアイツが亡くなった時から、モンスターなのかもしれない。
でもそんなチンケな理由とは別に、少しずつ湧き上がる何かがあった。
高揚したその何かは、もう既にボロボロでまともに戦闘出来ないリーパーである俺を突き動かしてくれた。
40体居るとはいったが、いつもよりサイズは小さめ。
フルパワ―も、バリアですらも使えないがだから何だと言った感じだ。
元はと言えば俺はリーパーの戦闘を全て機転とコードで乗り越えてきた。
乗り越えられない戦いもあった。
でもそこから学んだ事だってある。
例え絶望的な状況でも、出来る限り抗って見せる。
俺は主砲を起動、すぐエネルギーを貯め始める。
もう壊れかけ、下手すれば次撃ったらリーパー自体が起動不可になりかねない状況。
主砲のエネルギーチャージは見ればわかるほどに遅くなっていて、更に絶望を感じさせた。
仕方がない。
ひとまず近寄ってくる近接の奴らを何とかしよう。
若干大き目の、都道府県や国にありそうな形をした異偶がとびかかってくる。
それも5体も。
一体を殴りつけ、そのまま後ろにバック。
当然残り4体がとびかかってくるが、バックした勢いを前に活かして再度前方へ進む。
更に1体を殴り倒し、そのままの勢いで身体を捻り脚を繰り出す。
2体巻き込んで吹っ飛ばした。
そうこうしてるうちに中距離がいける奴らが矛やら槍やら、銃やらを持ち出してきた。
そもそも、今までの異偶は全て動物をモチーフとしたような見た目の奴が多く、今回のように武器を使うやつは居なかった気がする。
かといって人間モチーフという訳でも無い形をしていて、非常に気味が悪い。
武器持ちの異偶は形が言い表せなかった。
強いて言うならば、バケモンというよりかはクリーチャーと言った方がいいような見た目とでも言えばいいのだろうか。
とにかく滅茶苦茶気持ち悪い見た目だという事は想像できるだろう。
当然の如く槍や矛を使う奴らは近寄ってくるが、銃使いは近寄っては来ない。
蹴り飛ばしたままの体勢から戻れない俺を容赦なく刺しに来る槍を、目の皮1枚前くらいで避ける。
危ね、今のを喰らっていたら確実に目を潰されていた。
槍を避けつつその槍を使う異偶の顎を思いっきりアッパーカットしておく。
そのまま回し蹴りでぶっ飛ばすと、その後ろに居た銃使いが銃を撃ってくる。
味方毎行ったようだが、そうは簡単に行かせてたまるか。
そのまま槍使いの異偶の死体を盾に空中でストップし、その一瞬を使いガトリング砲を脛から発射。
と俺にちまちま行くのが無駄だと感じたか、10体近い奴らが一気に飛び掛かってきた。
手間は省けるが、ちと面倒だな。
1、2体であれば殴りでも吹っ飛ばせる。
ガトリング砲を使えばある程度の距離の奴にも牽制が可能だがやはり量が問題だ。
故に、ナケナシのエネルギーで剣を生成し回転斬り。
そのまま6体を泣き別れの状態にした。
4体がそのまま俺の四肢それぞれにまとわりつく。
その内の1体の様子がおかしい。
何かをやろうとしていたのだが、周りの引っ付いてる奴らが邪魔で取れない。
と、その1体、呼ぶならメロンの模様をおどろおどろしい感じにした体表をし、身体の形はどこぞの県のような見た目をした奴の顎?が開いた。
無数の牙が見え、それら一つ一つが生きているように蠢く気持ち悪さがあった。
そのまま噛みつかれ、装甲の壊された右腕が悲鳴を上げる。
幸い痛みはまだ来ていないが、右腕は既にボロボロ。
ここに食い込んだ牙はデカく、多分人間に戻ったら俺の肘は無くなってるんじゃないかってくらい貫かれていた。
と、左腕の方の異偶が動いて手の先に噛みつく。
お前もかい。
ここに居た異偶は全て噛みつく奴なのかよ。
だが、幸いそれのお陰で何とか逃げられそうだった。
左腕から本当に無くなりつつあるエネルギーを消費し、剣を生成。
そのまま生成された剣の抽出を最大にし、剣が左腕の手の甲に噛みついていた異偶を貫いて撃破した。
まだかなりの量がいる。
だったら、逃げるのはもはや悪手だな。
残り2分も持たないであろう剣を振り回す。
正直、段々焦りが増してくる。
このままエネルギーが尽きれば、前のダリアとの戦闘の時のように無痛効果が消えてしまうだろう。
確実に今、倒しきらないと俺の身体や精神も持たない。
やり切るしかない。
ここを生きて帰る、それだけが今の俺の目標だ。
何体か剣を振り回した先で切り裂いた音がした。
だが、まだ10体とそこらしかやれてない状態で、こんなモンじゃだめだ。
もっと、もっと殺さないと。
ここで殺さなければ俺がやられる。
砲台は幸いあまりエネルギーを消費しないらしい。
なんとか撃ち抜いて2体倒す。
だが、そろそろ限界が近い。
剣の先の方が消えかけている。
このままじゃ俺が先に死ぬ。
何か、何かないのか?!
こうなったら、一か八かやってみるしかない。
主砲にはエネルギーがいつもの8割くらい集まっている。
いつもならそのままぶっ放すが、今回はもう後が無い。
コレクトを使って一気に倒す。
ジャッジは倒せないかもしれない。
だが、異偶だけでもせめて.........。
近づく異偶たちを先の無い剣で突き飛ばす。
そのまま一旦あえて倒れて、すぐに脚から立ち上がる。
勢いの付いたリーパーの脚を押さえられず、そのまま異偶たちが吹っ飛ぶ。
今がチャンスだ。
『警告!警告!リーパーのエネルギー量が10%を切りました。今すぐ、搭乗を解除し逃げてください。』
ナケナシのエネルギーはもはや10%を切った。
ジェット噴射は行けるか?!
...行ける!!
と、残り10%だったリーパーのエネルギー残量が目に見えて減った。
大体5%は減ったな。
ていうか、いつもより減りが早くないか!?
...あれか、ちょっと動画見ただけで20%から8%くらいにスマホの充電が減るようなものか。
クソ、これで倒せなかったらマジのお終いだ。
だが、俺の予想が正しければアイツらはきっと当たる。
俺の予想では、アイツらの知能はそこまで高くないと思うんだ。
確かに武器を使ったり、協力したりと従来よりかは人間らしい戦いをしている。
だが、所詮それだけだ。
噛みつき攻撃や槍での一突きなどのように、攻撃のやり方や回避の仕方などが荒すぎる。
そして理性が無くそのまま突撃してくる。
確かに従来のやつよりかは強いのかもしれないが、一体一体も弱いため必然的に穴は存在する。
その穴と言うのが、この知性だ。
さっき、俺が四肢を4体に組み付かれた時、なんとか剣で一体を貫いたお陰で他の来ていた奴らも飛ばせたが他の奴らはこちらに何も考えず突っ込んできていた。
こちらが剣を振り回しても相変わらずだ。
という事は、俺が上空へと逃げればこちらに全員で向かってくるんじゃないか。
全員が引くことを知らないなら、きっと全員向かってくるはず。
多少の漏れはあるかもしれないが、そこら辺はもうしょうがない。
あとは、カーㇴ達に任せる他ない。
俺もこの後は予想できない。
正直、カーㇴを探しに来てこんな事になるなんて思っても居なかった。
それでも、カーㇴだけは救いたい。
弱虫な俺だけど、二度とあんな思いはしたくないから。
だから、踏ん張り続ける。
身体が持つ限り。
ジェット機能を使ってとんだ俺のボディは、軋んだ音を出しながら上空へと向かった。
ジャッジはもう勝利を確信したのか動かない。
覚悟しろよ、これが俺の戦い方だ。
さて、下はどうなって......と思う瞬間も無く、異偶たちは向かってきていた。
俺が飛んだそのすぐ後飛んだのか、すんでの差しか無い。
だが、その差がお前らの墓場を作ってくれるんだ!
「食らええええええええええええええええええええええええっ!!!!!!!!!!!!!!!!」
主砲を起動すると共にコレクトを起動。
そのまま主砲にエネルギーを込める。
更に、続けて言う。
「SILENT!!」
一部のコレクトしたエネルギーを主砲に混ぜると共に、コレクトした他のエネルギーをガトリング砲に詰め込む。
トリガーを引くと、ピンクのエネルギーに黒の靄がかかった光線が下に居た異偶たちへと飛んでいく。
更に、黒とピンクの砲弾が発射と同時に姿を無くし飛んでいく。
砲弾はジャッジを狙った。
そして光線は下に長く太く飛ぶ。
長い衝撃波と共に光線が下に来ていた異偶をどんどん吹き飛ばしていく。
...2...5...8...12.........15は行ったぞ。
間違いない。
これで下方向からの異偶には安心できる。
問題はジャッジの方だ。
当たってくれ、頼む!!
ジャッジは未だ気づいていないのか、俺だけが捕捉できるエネルギーの弾丸を追えていないようだ。
当たれば少なくともダメージが入り、そこから俺ではない兵器が壊す事だって可能なはずだ。
頼む、頼む、頼む...!
今まで神様の事をアイツが死んでから一度だって信じていなかったが、今だけは祈らせてくれ。
今だけで良い。
俺に、俺の攻撃を成功させてくれ。
砲弾は至近距離に入った。
あれはもう気づかない。
これで、終わ...
「...やれやれ、残念だ。」
気が付くと、俺の後ろにはジャッジがテレポートしていた。
ワープ能力はやはり何も気づけない。
距離を取ろうとするも、肩の部分を掴まれ動けない。
「...どうして.........どうして、どうやってあの攻撃をっ!!」
「どうして、だと?...ふん、可笑しなことを言う。あんな攻撃が自分に当たる訳が無いだろう。」
「なっ、何!?」
「分かりやすすぎるだろう。あの時、貴様、サイレントと口走ったな。自分たちはこの世界の言語を変換できる装置を持っているのだぞ?異偶になら効いただろうが、自分たちには効かん。何より、さっきも同じことを言っていたしな。」
...それは、そうだな。
盲点だった。
基本的に、今までの戦闘はダリアを除けば異偶との戦闘だった。
しかも、ダリアとの戦闘で使った能力は基本的にバレても支障が無いモノだった。
さっきの戦闘では至近距離だったからすぐ色が出てしまっていた。
だからバレていないと踏んだんだ。
だが、今回は......。
「それにな、サイレントというのは寡黙だとか、静寂だとか、静かとかそういう意味だろう?何故それをそれなりな声量で口にした?気づかれるに決まっておろう!!馬鹿め!!!!!」
ク、クソ。
合ってるだけに反論出来ない。
ぐうの音も出ないってのはこのことかよ。
確かに、隠密スキルみたいなのを敵から見える位置で叫んで使ったらバレるに決まってるよな。
「しかも貴様は分かっていなかったな。一瞬だけ貴様のその砲台から色の付いたエネルギーが出ていたぞ。それが消えたとなれば、我が能力に対抗するためだと誰もが思うだろうな。」
確かに、砲弾が出る時一瞬だけ出てはいたが......。
まさかそれだけで気づかれるなんて............。
いや、さっき使ったので既に能力を見破られていたのかもしれない。
どちらにせよ、バレてしまっている。
心の片隅にあったのかもしれないが、千載一遇のチャンスだと思った瞬間からそんな事は考えていなかった。
人間、勝てると踏んだ時が最大のピンチってのは本当なんだな。
「その上貴様は撃つ時若干顔を向けた。あれでは、今から狙うと宣言しているようなモノじゃないか。全く、ここまでとは思わなんだ。」
「...!?.........それも、かよ。」
まさかそんなところでも判断されてるなんて。
確かに、狙う位置を見定める為に一瞬だけ見たさ。
でも、一瞬だぞ!!!一瞬!!
そんなずっと見ていた訳じゃない。
あの一瞬で俺の狙いに気が付いたという訳だ。
完敗だ。
俺の機転はどうやら外れた。
この世界は、ここまで...って事なのか...?
「まぁ、悪あがきとしては十分だったぞ。中々滑稽だった。礼を言っておこう。素晴らしい前座だ。」
クソ!
馬鹿にしやがって!
滑稽だとかどうとかって、完ッ全にぃ......。
「では、例として、一瞬で終わらせてやろうぞ。......はぁあああああああ!!!!!!」
奴は俺を掴んだまま振り回す。
そして。
次の瞬間、俺は掴まれていた手が離れていくのを感じた。
否、離れていくではない。
勢いを付けたそのままの勢いで放したのだった。
勢いよく落ちていくボディ。
それを眺めつつも、どうしようもない事を悟る。
ふと下を見ると、異偶がまだいた。
全員はいけなかったか。
ひいふうみい...............。
8体、も残っちまったか。
異偶達はカーㇴの方へは行かず、俺が落ちてくるのを待っていた。
まずは脅威である俺を潰そうってことか。
やるじゃねえか。
もうエネルギー残量も1%を遺すところとなった。
スマホの1%は10%みたいなモンだが、リーパーの1%は1%だろう。
もはや、この落下ダメージを押さえた瞬間切れるのだろう。
終わった。
何だか、ぼやけてきた。
俺、こんな所で死ぬのか。
......結局、カーㇴの英雄にはなれなかったな。
アイツの世界どころか、俺の世界すら救えなかった。
俺は結局のところ誰も救えない雑魚で、アイツの時と同じ流れを繰り返すだけの屍だったんだ。
もう既に生きる気力なんて無い。
アイツも、カーㇴも救えないなら俺は、何のために生まれてきたのだろう。
こうやって、何も救えず、落下しながら、自分の過去を悔やむためか?
それとも、トァネミのような奴のストレス解消の為か?
そもそも、生きる事に意味なんてあるのか?
駄目だ、何ももういい事なんて思い浮かばない。
......いっそ楽に殺してくれ。
何で、俺は毎回こうなんだ。
何もできず、ただ無力に苛まれ、思い詰める事しかできないんだ。
力が無いからなんてモンじゃなかった。
俺は力があっても何もできない人間だったんだ。
絶対に俺は、カーㇴを救って帰ると誓った。
玲子と和磨は、どうなるだろうか。
合田さん達は俺の死を嘆いてくれるだろうか。
そしてカーㇴは...............。
アイツは、芽々香は、許してくれるだろうか。
約束を破った俺を。
長い思考の後、身体を衝撃が襲った。
だが、意外とそこまでのダメージが無かった。
何も思わず、ただ思考を重ねただけの無駄な時間だった。
俺自身今何が起きているのか理解できていない。
ふと、横たわったまま下を見ると。
異偶の腕が伸びていた。
どうやら俺は、異偶を下敷きにしたらしい。
ただ殴っただけで倒せた弱さのアイツらだっただけに下敷きになってぐちゃぐちゃに潰れていた。
もう跡形もない。
グロすぎて吐きそうだが、何とか助かった。
血が付着している。
今思えば、いつもは撃破する際大体手法で吹き飛ばすくらいだから血はそこまで出ていなかった。
だが、今回は直接潰したから血が付いているのだろう。
......だが、前に剣で切り裂いた時、果たして血は出ていただろうか。
...............。
カーㇴ達は向こうに生体反応がある。
これは間違いなく異偶の血だ。
どうなって......?
なんて思う暇は、無かった。
と、その時。
俺の下敷きになっていた一体が、浮き上がってきた。
俺の身体は起こされ、そのまま転がる。
クソ、まだ生きてやがったのか。
あんだけ潰れて生きてるとか最早ホラーだろ。
だが、やはり潰したことが原因かフラフラしていてほぼ動けていない。
俺はまだ動かせそうなガトリングの砲台から弾を数発撃つ。
すると、異偶は倒れた。
よしと思う暇もなく、残り5体となった異偶達が迫りくる。
武器持ち2体、地名型3体か。
どうやらリーパーの1%も10%らしい。
まだ、行け............。
『エネルギー残量が0%となります。リーパー、システムダウン。起動を停止します。』
無かった。
と、全身に熱と痛みが広がる。
...。
「ぐぅぅうううう...あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
あまりの痛みで声が自然と出る。
「あがああああああああああアアアアアアああああああああああああああアアアアアアアアああアアああああアあ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
叫び、叫び、喉が枯れるまで叫ぶ。
涙が止まらない。
痛すぎる。
絶叫しても割に合わない。
痛みを声で発散なんて、出来る訳が無い。
それでも、声が止まらない。
「ンガァアああああああああああああああああああああああああアアあアアアアあああアあっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
藻掻き、地面を転げまわっても痛みは治まらなかった。
それどころか余計痛くなる。
吹っ飛ばされ、くの字に曲がった時のビル貫通での痛みと思われる背中はひび割れたかのように痛い。
腹もアッパーを喰らっているからか、絶望的な痛みと吐き気を感じる。
しかも今は搭乗していてリーパーに接続している。
つまり、吐こうにも吐けない。
吐き気だけが無限に続き、思わず飲み込み続ける。
更に、左腕と肩には熱が灯り、とんでも無い熱さとなっていた。
熱い。熱すぎる。
痛みと熱さが同時に来て、まるで焼き焦げているみたいだ。
胸も燃えるような痛みと、何かが削がれたような痛みで意識が持っていかれそうだ。
そして、のたうち回った原因は、3つだ。
頭の皮膚が、恐らく割れている。
痛みどころじゃない。
もう無痛だ。
何も感じない。
ただ、頭が重いだけ。
そして右腕。
噛みつかれ、貫かれていたその部位には激痛が迸る。
まるでずっと電撃を流されているようだった。
あまりの痛みで、失神と覚醒を繰り返す。
右腕が潰されてまた戻ってみたいな感覚が再び吐き気を巻き起こす。
右腕の何箇所にもきっとこの傷はあるのだろう。
...だが、一番きつかったのは.........。
目だった。
リーパーの片目は傷ついていた。
当然、俺の目は潰れた。
激痛とか、痛みとか、そんなんでは表せない痛みが迸る。
激痛なんてモンじゃない。
もはや、これは痛みという言葉では表せない。
言うなればこれはもう天災だ。
どうする事も出来ない痛みだ。
何も言えない、何も出来ない。
「っぐ、っぐぇ、げほっ、んぐぅうううううう...あがああああああああああああああああああああ...んなァァァァァあああああああああああアアアアアああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
藻掻いて、目を押さえて、必死で転げまわる。
ジャッジが嘲笑う声が聞こえるが、もはや気にならない。
俺の身体は、戻ったらどうなるんだろうか。
やはり、この時点で死ぬのだろうか。
もし戻ったとして、またこの痛みを味わうのならここで死なせて欲しい。
あまりの痛みだ。
思わず、カーㇴとの出会いを後悔しそうになるくらいには。
落ち着かないが、このままではあの残った異偶に殺される。
一撃ならば、まだマシだろう。
だがあのサイズ。
武器持ちは槍と剣だった筈だ。
剣でずっとザクザク刺され、槍で貫かれる。
想像を絶する恐怖と痛みが襲うだろう。
そんなのが来たら、脳が焼き切れてしまうだろう。
仮に生き残っても、援軍が来てもきっともう俺は廃人だ。
嫌だ。
こんな、こんな状態で殺されるなんて。
ましてやあの陸みたいな見た目した異偶ならば、きっと噛みついて肉を喰らうように俺を殺す。
そうなる前に殺してもらうしか.........。
誰か、助けてくれ。
もう、二度と戦わないから。
こんな痛みを味わうくらいなら。
もう二度と、戦わ..................
「楼汰様あああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!!」
届くはずのない、叫び。
『敵を50体討伐したことにより、称号:真紅が解放されます。ボーナスとして、エネルギー、装甲は全回復。更に、能力が1つ、解放されます。真紅の死神への覚醒、おめでとうございます。』




