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適合者はこの俺!!!!  作者: こしあん大福
第1章 真紅の雨
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【side episode】 約束 ~芽々香への追憶~ 1 出会いの夏休み編

お待たせしました。

遂に、「アイツ」の正体、そして楼汰がどんな人生を送ってきたかが語られます。

夏休み真っ盛り.........。


それは、小学生にとっては神のような時間だ。


何せ学校に行かなくて良い。


最高だ。


...宿題さえ無ければ、だが。













俺の住む町、白星町はド田舎だ。


基本的に家と田んぼと森しかない。


あ、畑もあるわ。


コンビニ行くのだって一苦労な町で、もはや村なのでは?というレベルだった。


だからこそ自然は多く、よく外を駆け回っては虫を捕まえていた。


アイツと一緒に。


夏休みに入っていの一番に遊びを誘ったのもアイツだったな。


というか、俺にとって友人と言える友人がアイツだけだったからな。


俺には友人が決して多いわけでは無かった。


当然だ。


俺は転校生だったからだ。


夏休みが始まる少し前、とある事情から俺はその町へと転校した。


教室で教師に名前を黒板に書かれた時には、結構歓迎されていたんだがな。


...馴染めなかった訳じゃない。


ただ、時期が悪かった。


小学5年にもなると、基本的にこんな閉鎖的な町なんかは子供同士の結びつきが強くなっている。


だからよそ者の入る場所なんて無かったんだ。


虐められた訳でも、無視された訳でもないが、必要以上に関わらなかった。


俺は完全に浮いていた。


最初の頃こそ元居た街の話を聞かれたりはしたが、それこそ一週間も経てば皆俺の事など忘れて遊び放題だ。


こうして一人ぼっちになった俺だが、残念なコトに俺はぼっちに慣れていた。


というのも、俺の転校の原因は親の死去だったからだ。


親が小3で亡くなり、その後は親戚中をたらいまわしにされた。


だが、ショックで心を開かなくなった俺を受け入れるほど優しい親戚はおらず俺は疎まれた。


そんな中、ド田舎の町に俺の遠い親戚が居るとの話を受けた。


そこに預ければ厄介払いできるとでもばかりに俺はすぐその家に預けられた。


今思えばこの親戚にも感謝するべきなのかもしれない。


何せ、俺にとって最高の親友と家族を繋げてくれたのだから。












最初来たときは正直、がっかりした。


何せ何も無い。


電車どころかバスも無い。


何処に行くにもチャリ、歩き。


正直馬鹿なのかと。


本気で思っていた。


だが、あっちと違いここの俺を引き取った親戚と言われていた爺さんは俺を嫌がりはしなかった。


遠い所をと気遣ってくれた。


俺を寂しくしないようにと、一切話さない俺に対しずっと真摯に向き合ってくれた。


俺がトラウマを引き起こしたときは、困惑しながらも背中をさすってくれたし温かいお茶を入れてくれたりした。


この町で採れる食材を使って、美味いメシを作ってくれた。


何も分からない俺に、人生の指標を創ってくれた。


爺さんは俺にとってこの後の唯一の家族だった。


爺さんのお陰で話す事が出来るようになった俺は、学校へ行った。


正直苦痛だった。


親が亡くなった時の、気まずくて誰も話に来なくなる感覚はもうこりごりだった。


しかし、ここでは不必要に干渉してくるものも居らず、むしろ俺を一人のただの少年として見る子どもが多くて助かった。


俺はここで少しずつ人間らしさを取り戻していった。


.........そんな爺さんは去年亡くなった。


老衰だったそうだ。


寿命ならば仕方ない。


...仕方ないで受け入れられるほど俺は薄情では無くて、受け入れられずに泣きじゃくったのを昨日の事のように思い出す。


爺さんは俺の中の大事な人にしっかりと刻まれている。


アイツと爺さんだけは、この町で出会ったずっと覚えておきたい人間だと。

















アイツこと昂沼芽々香(あがぬまめめか)は、俺の幼馴染である。


俺にとって、忘れたくても忘れられない親友で、"約束"の相手でもある。


アイツはぼっちだった俺に話しかけてきた凄い奴だ。


クラスで浮いていた者同士、気が合いそうだななんて、今思えば結構失礼だったな。


クラスでちょっと演技っぽい話し方をする、妙に大人びた少女が芽々香だ。


そのせいかかなり引かれていて、クラスに友人は居なかったんじゃなかろうか。


だが中身は滅茶苦茶楽しい奴で、俺はアイツとしょっちゅう遊んでいた。


虫を取ったり、アイツん家のPCで検索してはいけない言葉を検索したり。


おすすめのアニメなんかも話し合ったな。


懐かしい。


アイツは夏休みになると、ほぼ毎日のように俺と遊んでいた。


その癖俺と違って成績が良く、遊んでいた癖に最後まで感想文が残らず本当に夏休み最初で全て終わらせていた。


こんな奴、本当に居るんだなとマジに思った。


朝のラジオ体操に行くにも、ゲームに行くにも一緒に行った。


祭りも行ったし、アイツとだったらなんでもできる気がしたんだ。


俺たちは最高のパートナー、なんて言ってたっけ?


......懐かしいよ、本当。


爺さんが出してくれたスイカを齧りながら、2人で縁側でアホみたいな話をする。


学校であった事、遊びに行った先であった事、俺らの思い出、なんでも肴になった。


俺らはどうしたって楽しかったんだ、あの日々が。


だから俺は感想文だけ残っちまったんだよな、きっと。


でもあの夏のひと時の感想文だったら誰にも負けない気がする。


原稿用紙10枚は行けるぜ、ガチに。


...ちょっと盛ったか?


とにかく、楽しい日々だった。


今でも思い出す。


あの日々を。


というか、この日々以外を思い出したくないんだ。


きっと思い出したら、二度と戻れなくなる。


俺にとってのトラウマだ。


約束も出来る限り思い出したくない。


約束を思い出すだけで、あの記憶が少し蘇るからだ。


勿論、嫌な事ばかりでは無かった。


それはホントだ。


ゲームをした瞬間なんかは最高だった。


町に唯一あったオモチャ屋にゲームが売っていて、それをナケナシの小遣いから出して買う。


それをアイツと賭けて戦い、大抵俺が負けるんだ。


負けたら一週間アイツが使って、その後俺が使う。


勝ったらそのまま俺が使い、アイツは見てるだけ。


絶対俺に得のない意味ない争いなのだが、小学生の時は気づかず勝負に夢中になっていた。


対戦型のゲームで争い、アイツのチートみたいなコマンドでボコられてキレるまではセットなお決まりの日々だった。


アイツの凄いのは、ちゃんと1週間で終わらせてクリアしている所だった。


学校までしっかりと行っていてどうなってんだ?と思ったが、俺もやるときはそれくらいやってたよな。


学生なんてそんなモンだ。


「楼汰さぁー、まだそんなキャラ使ってんの?...ふっふっふ、時代はもうアルゴだよ?」


「いや、絶対俺のエミゴの方が強えから。今回こそ打ち負かすから覚悟しとけよ。今から目薬用意しとけ。」


「泣く用意って事?...ふふ、やっぱ君って面白いね。でも逆張りで負けたら恥ずかしいよ、泣く準備は出来た?」


「はぁ~~~ん!??舐めんなよ、絶対勝つ!!」


「ははは、でもそういうとこ好きだよ。絶対ブレないし、絶対諦めないっていうのは。目的の為に諦めず挑戦する心、それがやっぱり大事だよね。」


「へぇ~、分かってんじゃねえか。そこまで分かってるんだったら俺だって文句ないぜ。」


「まぁ、君の場合は諦めないせいで余計ダメージを負ってるだけだけどね。そろそろブレた方が勝率上がるんじゃない?......あーそうか、君は諦められないんだったね。流石だ。」


「このヤロー!!!!!」


ずっと煽って煽られて、俺たちはずっと青春していた。


あの日が来るまで、俺たちは楽しかった。










芽々香の家は母親だけで、母親はシングルマザーとして働きに行ってるため帰るのが遅い。


芽々香の家には良く行っていたが、流石に寂しそうにしていたのでよく遊んだ。


アイツは親が家にあまり居ない反面何でもPCで見れたのは少し羨ましかった。


だが、寂しさを感じると言った点ではアイツもまだまだ子供なんだと知って嬉しかった部分もある。


何より、大事な親友が俺を頼ってくれているという感覚、コレが俺にとっての誇りだった。


だからこそ、俺は芽々香と一緒に遊んだ。


基本的にはいつも一緒にいるようにした。


こうすれば、アイツが1人の時が減る。


夜も、おばさんが帰ってこない時は寝る前まで一緒に居た。


楽しかった。


2人でお菓子を食べながら夜更かししたのも。


一生、終わらない夏休みを望んだよ。


勿論学校が来ないというのも魅力的だ。


だが俺は、一生芽々香と遊んでいられる時間を望んだ。


夏休みが終わってしまったら、この楽しい瞬間が終わってしまって、またアイツが寂しい思いをすると思った。


何より、俺も寂しかったから。


俺は全てを忘れて、アイツと遊んだ。


いつかは終わりが来る夏休みの間に、悔いが残らないように。


だからなんだろうな。


















芽々香に魔の手が迫っていることに、俺は気づかなかった。


それが、こんな未来に繋がるという事も。

楼汰の小学生時代は、しっかりと子供をしていたようです。

お爺さんや芽々香と共に町で暮らし、心の傷を癒していっていたんですね。

...魔の手とは、何なんでしょうか。

次回は本編へ戻ります。

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