第68話 乗り込み
更新できない日もあります。
仕事が忙しくて睡眠時間が欲しいときがあるのでですね...。
...言い訳してごめんなさい!!!!!
暫く飛んでいたが、一向に着く気がしない。
何というか、怒りが覚めてきてしまった。
こうなると和磨や玲子に申し訳なくなってくる。
アイツら今頃俺が出ていった後始末に追われてるんだろうなぁ。
悪い事してしまった。
帰ったら謝らないとな。
ん?
水平線の向こうに、線が見えてきた。
大陸?
...てことは、着いたんだな?
よし、ひとまずここは穏便に事を済ませた方がいいな。
穏便に、穏便に。
...いや、穏便じゃ済まなそうだ。
見れば、空からは戦闘機、海からは空母のようなもの、陸にはかろうじてだが戦車みたいなのが見える。
完全にわかってんじゃねえか。
別に何というか、攫ったは攫ったが危害を加えていなかっただとか俺が怖くてやっただとかそういう理由ならば仕方ない部分もあるから説教だけで許そうとさっきまでは思っていた。
だが、どう見てもこれは警告とかじゃなく潰しに来ている。
しかもこっちが仮に戦闘しに来てなくても撃ちそうだ。
やけに静かだし。
こっちの出方を窺っているのか、戦闘機は周りを飛び、空母は停止した。
俺は前に使うかどうかは分からないがとりあえずコンパイルしておいた「拡声器」のデータをロードする。
使わなさそうだから今までコードだけ書いて放っといてたんだよな。
だが、ここにきて使うときが来るとは。
とりあえず、拡声器を起動し喋ってみる。
「こ゛ん゛に゛ち゛は゛!!!!!!!!み゛な゛さ゛ん゛!!!!!!!!!!!!!!!!」
あ、ダメだ音割れしまっくてる。
しっかりと調整してっと。
ちなみにこの拡声器、例によって例の如くA-101あるあるの言葉変換機を使っているので外国の言葉でもわかる仕様だ。
くぅ~、便利でいいね~。
......ふぅ、何というか怒りが少しずつ落ち着いてきた。
よし。
「改めて、こんにちは!!みなさん!!!!俺は日本からやってきた岩動楼汰だ!!!
時間も無いので単刀直入に言う!!!!カーㇴを返せ!!!!
お前らがやったことは誘拐だ!!!!!!保護とか、お願いとか笑わせるな!!!!!!
言っておくが俺は今、多少落ち着いてきてるぞ!!!!
今のうちにカーㇴを返してくれれば、俺はこの国を許そうと思ってる!!!!
どうだ!!!!!!返事を聞きたい!!!!!!」
俺が言いたいのはこれだけだ。
正直エネルギーが思いの外かかってしまったので早いとこカーㇴを連れて帰りたい。
あと、願いがどうとか言ったがお前らが誘拐をまず働いたのが悪い。
普通に国際問題だぞ?
仮に俺がココでキレて暴れたとしてもお前らも罪には問われるからな。
そしてもし、ここで俺が求めてる返事以外を話したら潰す。
絶対にだ。
俺は奴らを許す事は出来ない。
譲歩して、カーㇴが無事に帰ってきたら俺は許してやるだけだ。
日本からの話については知らん。
コイツらがやらかしたのが悪い、ここまで譲ってやったんだから早く返せ。
と、地上の戦車の前に誰かが躍り出た。
彼は拡声器を使っているようだ。
俺はすぐ集音器と言葉変換を起動する。
「来たかね、岩動とやら。
まさかこんな早く来るとは思っていなかったが、予想通りだったよ。
ふふふ、遂にこの時が来たんだッ!!!
ようやく、ようやく邪魔な各国を消せるよ。
ふふ、しかし君は何か勘違いしているな。
貴様の大事な相棒クンは、今や僕の手中にある。
つまり、貴様が上などではなく、私が上なのだよ。
もし貴様がココで変身を解かずに戦闘でも始めたらこの少女を殺す。」
そこで初めてカーㇴの姿が見えた。
カーㇴは、不安そうにしていた。
カーㇴからしてみればずっと誰も味方の居ない環境で過ごしていたわけで、心身へのストレスは半端じゃなかっただろう。
カーㇴは手を縛られた状態だった。
...だが、不安そうな雰囲気からは想像もできないくらいの色をした瞳をしていた。
何か、考えているのか?
それとも何か伝えたいことがあるのか?
「分かったか?
分はこちらにある。
貴様は黙って我々に従う他ないのだ。
ふふふ、やはりあの方のいう事に従って良かった!!!
このお陰で、無事にこのマシンが手に入った!!!
しかも日本から力を削げたのだ。
これ以上ない喜びだ!!!!
はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!!!!!!!!!
はっはっ、やれやれまったく面白いな。
さぁて、どうする?
貴様は二つに一つだ!!
一生我々の奴隷になるか、最愛の相棒を殺して自由になって帰るか。
我々としても命をむやみに奪う真似はしたくない。
相棒クンが可哀想だろう?
それに、わが軍の兵士の命だって大切だしなぁ。
分かってくれたまえ。
貴様が理解して我々についてくれれば、それこそ一生の金は用意しよう。
そうだ、金だけじゃなく女もつけよう。
あの相棒だけじゃなく、とびっきりの美少女をな。
どれくらいだ?
やはり、学生くらいの......」
もう、聞きたくなかった。
やっぱ悪い奴って反省しないんだな。
勝ち誇った顔で俺に対し妥協を迫るクソ野郎。
金とか女とか、俺を何だと思っているんだ。
というか、カーㇴは愛玩動物じゃない。
更に、カーㇴくらいの年頃のって。
人間をモノとしか捉えていないのか?
ふざけんな。
ただでさえ誘拐で腸煮えくり返ってんのに、更にキレさせてどうすんだよ。
俺のモツ煮でも作るつもりか?
お前ら、ただじゃ済まさん。
わが軍の兵士の命だとか、命をむやみに奪うとか。
お前が嗾けて来ておいて、何を棚に上げてんだ。
俺だって、カーㇴが連れ去られなければこんな無駄なことやってねえわ!
駄目だ、折角落ち着いた心が再び叫んでいる。
コイツらは一回〆ないとだめだと。
絶対に許してはいけないと。
火が付いた心が今にも火事を起こしそうなくらい噴き上がっている。
結局のところ、俺の力が欲しくてこんな大層なことをしたわけか。
名目上はあくまでも強大な力を持った日本への牽制ってとこか。
だとしてもやりすぎどころの話じゃないが、きっと何処かには同調する国も居るんだろう。
もしここで俺が味方になれば、コイツらに良いように利用されるだけだろう。
色んな国を壊滅させるために動き、沢山の抵抗できない人間を殺し、そして国を統一し続ける。
俺がもし逃げようだとか選ぼうとすればカーㇴを人質に取り、一生縛り付ける。
かといって、ここで俺がこいつ等を〆るとする。
すると当然カーㇴは殺されるだろう。
俺は怒って暴れてここを壊滅させるかもしれないが日本に後で手痛い竹箆返しが来る。
しかもカーㇴを失い、そのうちデスペラードによって俺たちの世界も侵略される。
手詰まりだ。
......だったら、最善をとるしかない。
幸い、どうやらそんなに戦車や戦闘機が多いわけじゃない。
異偶の攻撃よりかはまだ戦闘機の砲弾の方がマシだろう。
ならば耐えれる。
まずはカーㇴの居る所を正確に撃ち抜き、あそこ一帯の兵士たちや武装を吹き飛ばす。
その後、砂埃となり見えにくい中を一瞬で近づきカーㇴを回収、次いで撃ってくる戦闘機やその他戦闘機を乗せているであろう空母からの攻撃を避けるか攻撃するかして何とかする。
その後は他の奴らを殲滅して終了だ。
もう、これ以外に無い。
絶対に問題だけは起こさないと思ってきた。
だが、話が通じない悪意を持った奴との戦いではこうしなくちゃいけないんだ。
ああいった連中はつけあがる。
絶対に許してはいけない。
殺さなければ。
アイツのように、奪われるだけだ。
もう二度と、俺のせいだと苦しんだ日々に戻りたくはない。
覚悟しろよ。
脛と太腿部分の砲台を展開する。
「正気か!?」
との声が聞こえるが、正気じゃなきゃ今頃とっくにここは火の海だ。
しっかりしてもらいたい。
悪い、カーㇴ。
お前はきっとこんなやり方は望んじゃいないだろう。
きっと、こうやって助けても蟠りは残るだろう。
俺に対して多少軽蔑するかもしれない。
でも、俺はこう言う奴なんだ。
少なくとも、俺の周りだけは、もう誰も死なせたくないんだ。
だから、意地でもお前を救う。
思いながら、カーㇴを見る。
カーㇴの腕を持つ兵士が堅くひもを引っ張り、銃を持った兵士がカーㇴを狙う。
まずは、そこからか。
撃とうとする兵士を撃つ為に、砲台を向けた。
その時。
〈聖なる巫女の聖輪よ。全てを救済し、全てを天に還せ!銀色の粛清〉
銀色の輪が、押さえつけていた兵士と銃を持った兵士に当たり、爆発する。
キラキラと粒子が舞う。
そして、その爆発の連鎖であの偉そうな大統領?が持っていた拡声器へと当たり、それがカーㇴへと飛ぶ。
それを急いで拾い上げるカーㇴ。
......そういえば、あんな技あったな。
どうやって発動するのかカーㇴ自身も知らないから、何なのか分からないやつ。
ダリアの時以来か。
何はともあれ、あれのお陰で一時的にカーㇴの周りは誰も居ない。
今がチャンスだ。
カーㇴに向けて急降下しようとした瞬間。
カーㇴが叫んだ。
「楼汰様ぁーーーーーーーーーっ!!!!!!!これは罠です!!!!!!!!今すぐ、今すぐ日本へと戻ってください!!!!!!!早くぅうーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」
...罠?
何の話だ。
コイツらがやったことは確かに、罠といえば罠なのか?
カーㇴを誘拐し、そして俺をおびき出し、言葉巧みに嵌めて、俺を戦闘奴隷にする。
...確かに、言われてみると罠といえば罠だな。
だが、今それを言う理由は何だ?
戦闘機や空母も動き出そうとはしてるが、もう俺を止められない。
カーㇴを掴んだら、ここからおさらばしたっていいだろう。
幸いあの統領も弾き飛ばされて唸ってるしな。
俺の付近には何もないし、カーㇴの居る陸にも罠という罠は見受けられない。
地雷とかか?
......確かにカーㇴみたいな生身じゃ木端微塵だろうが、俺なら平気だ。
カーㇴが居る付近は少なくとも安全だろうし、そんなに恐れる必要も無いだろう。
だとすると、何だ?
あのカーㇴが、ここまで声を張り上げて、敬語を最後には無くしてまで発言した理由。
.........。
そういえば、さっきあの大統領的なやつ、あの方とか言ってなかったか?
待てよ、ひょっとして。
考える。
考えている暇は無かった。
ふと水面を見ると、俺のリーパーの陰が二重に見える。
こういう現象、確かあったよな~と呑気に思う暇すら無く、その影は。
動き出した。
ヒュンーーーーー。
音が聞こえた瞬間、咄嗟に俺は身をよじり右へ避けた。
ほぼ本能だった。
音の正体と思われる白い光がとんでもない速さで海へと落下。
その途中戦闘機がいくつか浮いていたが、回避する暇すら無く消し飛ばした。
そのまま海には大きな渦が出来、勢いよく水が噴き出した。
これはマズい。
このままじゃ陸付近は全滅だ。
ジェットを噴射し、カーㇴを掬う。
そのまま陸から離れるにも時間が無い。
仕方なく、俺はカーㇴを持った手を抱え込んだ。
波は勢いよく俺にのしかかった。
俺が庇った場所には大統領と数人の兵士が居たが、彼らは呆然と滝の様な水を見上げていた。
俺は荒れ狂う水を受け止めながら、水が流れ消えるのを待った。
周りにあった筈の戦車や岩、兵士たちはみんな流されて消えた。
そして、俺が先ほどいた空中から声がした。
「ほう、これを避けるのか。...黒き死神よ。」
そこにいたのは、白と黒のコントラスト、モノトーンの色合いをしたマシンだった。




