第6話 手違い
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「ふぅ...」
一息つく。一発で撃破出来た上俺も怒りで忘れていたが、普通に考えると冷や汗が止まらない。
一時の感情で命を投げ出していたわけだ。これじゃ、約束を持ち出しておいてアイツに怒られそうだ。
しかし、俺にだって譲れないものはある。
それを守れたのだから、戦ってよかったのだろう。そう思うことにした。
「Escape」
そう口にすると、気がついたらリーパーから降りていて、何処にも見当たらなかった。
嬉しそうにカーㇴが近寄ってくる。
「楼汰様。流石です!!初撃破、おめでとうございます!」
「ああ、ありがとう。で、早速だがちょっと聞きたいことが2つほどあるんだけど」
「はい。何でしょうか?」
彼女はもはや犬だった。尻尾を振っているかの如く、俺に笑顔で近寄ってくる。
正直、こんな美少女に見つめられると恥ずかしい。そんな見つめるような顔はしていない。
「あ、あのさ、その...リーパーって普段何処にあるの?」
「え?」
キョトンとした顔でこちらを向くカーㇴ。不思議そうな顔だ。
「ああ、いや、言いたくないならいいんだ。あんなデカいのをあっさりしまえるなんて、未来の技術はスゲエなって思ってさ。」
「...流石に我々の世界でもあんな質量のものをあっさりとしまえるものなんて存在しませんよ。」
「え?ああそうなの。?じゃあどうやってあんなデカいのが急に消えんの?」
すると彼女はさも当然と言いたげな顔でこう言った。
「ふふ、私をおちょくっているのですか?それは勿論異空間を一時的に作り出してそこを保管庫として使用しているに決まってるじゃないですか♪」
「ああ~そっか。そうだよな!!!普通そうだよな!!!!!!」
「ええ。当たり前の話ですよね?」
「んな訳ないだろ!!!!!!!!!!!!」
思わずデカい声を出してしまった。ボケツッコミをさすんじゃないよ。
彼女は無茶苦茶ビックリした表情で、こう言った。
「え?でも、この世界の人はタイムマシンを机の引き出しにしまったり、扉が世界に繋がったりするんですよね?」
「それは架空の話なんだよ!!何で変な所でフィクションと混ざってんだよ!」
何でこう...と突っ込みたくなるような会話だった。
一番フィクションの世界から出てきたようなロボットを出してきといて、この世界の国民的ロボットを信じてるんだよ。
逆か。自分たちが出来たからそう感じてるのか?
どちらにせよ、かなり今ので雰囲気が緩くなった気がする。
「そうだったのですね。てっきりそんな凄い空間収容能力を持つロボットがいる世界なら当たり前かと思ってました。」
「言っておくけど、そのロボットをしまう以前に、あんなデカい奴を入れられる容量の入れ物を世界そのものに作るって、ハチャメチャだからな?!
少なくとも、俺らの世界にはそんなもん存在しないよ...」
思わずため息まで出そうだ。技術の差よ...。
「では、あまりこのことは口外しない方がよろしいですか?」
上目遣いで聞いてくるこの子はもはや、目に毒だ。
「ああ、少なくとも俺以外の前では言わない方が良いだろうな。」
「承知しました。」
意外にもあっさり受け入れた彼女は再び横を向き、そして言う。
「もう一つの質問とは何でしょうか?」
ああ、覚えてくれてたのか。
「ああ、それはね。もう俺がしっかり使えるのは分かった訳じゃん?だから、もうその異世界とやらに行くの?ってこと。」
しかし、彼女は首を振った。
「残念ですが、一つ手違いがありまして...」
「手違い?」
何の事だろう。
「このリーパーの世界間超越エネルギーは往復1回分だと思っていたのですが、、、」
「...え?まさか」
嫌な予感がする。
「はい...。残念なことに、片道分のエネルギーでした...。帰れません...」
「............」
「何だってえええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!」
また驚く羽目になってしまった。