第45話 イカタコ
最近結構忙しいです。申し訳ありません。お待たせしました。
イカだかタコだか分からない異偶だが、ぷかぷか浮かんで滅茶苦茶気楽そうだ。
こっちはお前が出てきたせいでめっちゃ疑われてんのによ!
ちょっと腹立ってきたわ。
というか、何が悲しゅうて味方に疑われなきゃいけないんだ?
と、イコ(イカとタコだからだ、安直?気にするな!)が触手で地面をたたく。
相変わらず、地面がめり込み木々が揺れている。
みんな思わずその威力を見て後ずさりした。
まだここには来ないとはいえ、流石に至近距離ではある。
早くもみんな逃げ出そうとしていた。
窓の外には既に火が上がっている。
だが、だからこそ俺の番という訳だ。
「みんな、落ち着いてくれ。俺がアイツを倒す。だから逃げてくれていいからあとで俺の話を聞いてくれよな。」
ここで倒せばきっと信じてくれる人は増える。
まあ、あまりの威力で怯えられる可能性はあるが、犯人だなんだと言われるよりはるかにましだ。
カーㇴはと言うと、さっきの緊張で黙っていたのが異偶の登場でぶっ飛んだのかすぐさま周りに注意し、行動し始めた。
これなら避難誘導は彼女に任せても大丈夫だろう。
とりあえず、リーパーを起動してみるか。
今は戦おう。
俺の目的は別に議員に俺の力を見せつけ信頼を得るためでもないし、誰かをハメる為でもない。
俺は、カーㇴの世界と、この世界の守りたい人間の為に力を使う。
それだけだ。
【漆黒の死神よ。夜を穿て!!REALIZE REAPER!】
俺は久しぶりに意識を黒に溶け込ませていった。
超久しぶりの感覚だ。
リーパーになるのは、彼是1カ月とちょっと空いていた。
ブランクがあるので心配かと思ったが、意外とこれが覚えているモノだった。
むしろ、あの時の戦いをしたお陰かそこまで威圧感とかを感じない。
緊張もしていない。
なんというか、逆に新鮮な気持ちだ。
だが、今は一刻も早く倒すのが必要だ。
みんなも守らなくてはいけないし、俺もまだ完全に回復しきった訳じゃない。
まだダルさもあるし、とっとと終わらせよう。
ふとさっきの場所を見る。
カーㇴが階段で逃げる人を混乱させないよう先頭で何かを言い、必死で指示していた。
彼女の為にも俺は勝たなければならない。
イコの戦い方だが、なんとなく掴めた。
奴は主に8本の脚で周りのビルを破壊し、そして生き残ったものを下の嘴で啄んでいる。
相変わらず異偶ってのは性格も本能も終わってるな。
あれなら、フルパワ―を使わなくとも勝てそうだ。
とりあえず太腿や脛のガトリング砲を起動し撃ってみる。
これは小手調べみたいなモンだ。
どんなことが出来るのかと。
すると奴は触手を巧みに生かし、全ての砲弾を打ち落とした。
思わず、そんな馬鹿な!!と声が出かける。
それくらいの衝撃だ。
何せそんなことが出来るのなら砲撃は意味がないというレベルだ。
やはり、剣で斬る他なさそうだ。
......イカとかタコって嚙み切りにくいし結構噛んでも全然飲み込めないやつがあるんだよな。
剣で切ったところでダメージが入るのかが不明だ。
ま、剣以外だと精々主砲だけの俺にとってはそんな事聞いたところで愚問だろう。
入らなかろうと斬る、それだけだな。
とりあえずレーザーブレードを出力する。
構えをとる。
奴は当たっていないとはいえ砲弾を喰らいかけているので怒っているようだ。
滅茶苦茶に振り回された触手を俺に当てようと放ってくる。
が、流石に遅い。
何せ奴は浮かんでいるのだ。
そこから振り回して投げても俺には届かない。
それどころか......。
「てりゃ!」
剣で斬ってみた。
すると、面白いくらいに斬れない。
流石に簡単には斬らせてもらえない。
剣は弾かれたというよりかは何かで受け流されたと言った方が正しいくらい。
力の組み方はいいから、明らかに何かで受け流されている。
衝撃が一切伝わらないので衝撃を吸収できる身体なんだろうな。
ならば、より強く、より深く斬るだけだ。
前回までの戦いで思い知った。
フルパワ―や、強大な必殺技なんてのはあくまでも切り札で、基本的には今ある力のみで何とか出来た方がいいんだ。
だから俺は、必殺技やフルパワ―を使わずに倒してみる。
それこそが自分が強くなる一歩だ。
より神経を研ぎ澄ませ、奴が再び伸ばしてくる触手に対し剣を構える。
さっきは少し余裕があった為、最低限の適度な動きで適度な力でやった。
それに比べ、今は最大限集中している。
俺の後ろには、色々な人の想いが詰まっている。
触手が俺の目の前まで迫る。
俺は大きく息を吸いながら剣を大きく上へと掲げる。
片方だけな。
そして、触手に向かって振り落とす。
当然、イコは特に慌てた様子も無い。
どうせ斬れないだろうと高を括っている。
ならば、それを利用しよう。
俺の剣がやつの触手に触れる際、ちょっとした手品をしてみた。
俺の大得意なアレだ。
コレクト能力までは行かないが、剣の近くにあったエネルギーをまとめた。
そして、それを振り落としたわけだ。
触手は既に落ち、ソイツは苦悶の表情を浮かべた。
当然、触手もまだ動いてはいるが自立した動きは出来ないらしくただのたうち回っているだけになっている。
イコはこちらを向き、今度は完全に潰すという意思が窺えるほどの大量の脚を仕掛けてくる。
だが止まらない。
ここからが本番だ。




