第4話 初陣
ようやく戦闘が書けそう。
人間を...食べた?!
それは、俺にとって衝撃の光景であった。
そりゃ、カーㇴが滅びるという訳だ。
そしてそれは、一つの結論を導き出した。
ただ、世界を壊す訳じゃない。
アイツらは、生命を含めた全てを壊す気でいるんだ。
その証拠に、バケモンは逃げ遅れ、怯えて震えている人間ばかり食べていた。
腹を満たす為の、生きるための食事ですらなかった。
恐怖より先に、怒りが浮かんできた。
別に、食われた人間が可哀想とか、そんな弱い理由だけじゃない。
単純に、ムカついたのだ。
世の中には、生きていけない奴らがいる。
どんなに努力しても、ちょっとの時間で死んでしまうやつらがいる。
そして、そんな奴らを嘲笑うかのように足蹴にする奴らがいる。
アイツも、さっき死んだ人も同じだ。
急に、自分ではどうしようもできないような理不尽に滅茶苦茶にされた上、呆気なく死んだのだ。
許せなかった。
ぽっと出の、異世界から出てきたくせに我が物顔でこの世界を蹂躙しようとする怪物が。
そして、そんな怪物を見ても怯えてさっきの人すら助けようと思えなかった自分に。
だから、俺は...
思いを込めて、カーㇴに振り返った。
「俺は、もうあの日のような思いは御免だ。カーㇴ、どうすりゃいい?
俺はどうすればアイツと戦う力を手に出来る?」
カーㇴは伏せた顔つきから一転、はにかむとこう言った。
「やはり、我々の英雄様。ありがとうございます。」
英雄様...か。俺がどういう風に見えているのかは分からないが、少なくとも
さっきの俺とは見違える程になったようだ。
「それで、どうすればいい?」
「はい。では、対異偶戦闘用機動兵の召喚についてお伝えします。
リーパーを召喚するには、パスワードが必要です。
それを適合者の、貴方がいう事で搭乗します。」
「わかった。それを俺に教えてくれ」
「はい。では、私の後に続けてお願いします」
準備は整った。さあ、やってやるぞ!
【漆黒の死神よ。夜を穿て! REALIZE REAPER!】
うぉ、なんか急に恥ずかしいな。ま、何でもいいが!!
『漆黒の死神よ、夜を穿て! リアライズゥ...リィィィッパァァァアアアアッ!!!!」
叫ぶ。
ただただ、強く。叫ぶ。喉が枯れるほどに。
急に身体が熱くなる。まるで誰かが、俺の叫びに答えてくれたようだった。
そのまま、俺の意識は、、、
少しずつ溶け込まれていった。
気が付くと、俺は黒い空間に浮かんでいた。
何も見えぬ、漆黒の空間だった。
ちょっと前に話題になった、黒い塗料とかのレベルだ。
もはや、ブラックホールとか言った方がいいのかもしれない。
何も見えない。
そこで、ふと何かが視覚をジャックした。
それは、先ほどまで俺が見ていた光景だった。
阿鼻叫喚の地獄、虫のバケモンがマンションをなぎ倒し、
地を裂き、天に轟く程の悲鳴が劈いていた。
俺はすっと正気に戻った。
そして、死ぬほどムカついていた。
なんなら、もう殴ってやろうか、一発と。
まだ夢見心地な状態で、腕を後ろに構え、そして勢いよく突き出した。
と...
視界に突如黒い腕が現れ、そしてその腕はその虫の怪物を貫いた。
黄色くて粘っこい、汚い体液の雨が降る。
それと同時に、俺はようやく理解した。
ああ、これが俺だ。俺が、今はリーパーなのだと。
そして、改めてバケモンを見る。
奴は、左の腹を貫通されながらも生きていた。
そして、俺を見て激怒していた。
そうだよな、俺も同じ気持ちだよ。
…ここからが、反撃の時間だ。