第3話 異偶
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彼女はそう言うと急いで扉から出て行った。
慌てて後を追う。
何だか分からないが、今はついていった方が良さそうだ。
「あれが異偶......か?」
扉を開け外に出て一言、呟く。
視線の先には、とんでもないデカさの昆虫?らしきものがいた。
と言っても、見た目はなんというか...こう...
「いやめちゃくちゃ嫌な見た目してる!!!!」
どう見てもGだ。いやなんか砲台みたいなのついてるし、
ましてやツノみたいなの生えてるけども。
あの、つやつやとした茶黒い肌、不快なカサカサ音をデカくした感じの歩き方。
控えめに言って最悪だった。
「あれが、私たちの世界で言う異偶です。」
どうもあれと戦わなければいけないらしい。
正直、虫自体はそこまで苦手ではない。
だが、Gだけは無理だ。Gだけは。
ましてや、あんなにデカいやつなど。
デカさは10階建てはあるマンションを優に超している。
しかも、周りのマンションのうち2、3棟は既に倒壊していた。
また、民家や店もかなり壊されており、煙があちこちで上がっていた。
思わず身体が震える。
「いや、え?俺、あんなのと戦わなきゃダメなの?」
思わず引いてしまう。
「...そうして頂かなければ、世界が滅びてしまいます。
私としても心苦しさはありますが、是非お願いしたいです。」
そう言われてもキツイモノはキツイのだ。
改めてまじまじと見て、そしてため息を吐いた。
そもそもが、本当にあんなのに勝てるのかどうかという話だ。
「なあ、そもそもあのバケモノ虫に勝てんの?
その、リーパーとかいうのって実歳に戦闘訓練とかしてないんだろ?
かなり難しいんじゃないか?」
聞いたところで状況が良くなるどころかむしろ下手な回答をされれば
より絶望するしかない質問をしてしまった。
しかし、聞くより他はなかった。
何より今は、少しでもあの怪物と戦うまでのインターバルを稼ぎたかった。
あの虫の怪物は、マンションを齧りながらよじ登り破壊していた。
しかし、彼女から放たれた一言は絶望じみたものではなかった。
「いえ、必ず勝てます。」
「...?何でそう言い切れるんだ?」
「あの方と、共に造った至高のマシンですから。」
そういう彼女の顔は、希望に満ちていた。
それ以上何かを聞く気にもなれず、あの方と言うのも突っ込む気にもなれず。
俺はまたため息をついた。
もう、いっそ滅亡した方がいいよ。うん。
とまで思った。
...いやダメだろ。
......まだ、約束を果たしてないのだから。
とはいえ、怖いものはやはり怖い。
いくら大丈夫と言い聞かせられても、そう簡単に人間の恐怖心は拭えるものではないのだ。
そう俺が怯えているのも束の間。
あの怪物は突如下を向いたと思うと、逃げ遅れた人間に...
人間を......
ツノで串刺しにし、そしてそれを射出し自身の口まで運び、、、
食べたのだった。