第28話 強襲
という事で日曜日分でした。
佳境に差し掛かってきたかもしれません。
これは、楼汰がリーパーを使い恐竜の異偶を倒す少し前...。
【ダリア視点】
戦闘が始まりやがった。
あの機械兵の野郎は異偶を相手に様々な戦法を取ってくれた。
そのお陰で、俺の脳にも大分奴の情報がインプット出来たぜ。
ありがとよ異偶、いつになく役に立ったぜ。
脚や太腿の部分には開閉式扉のようなものがあり、そこから機関砲を取り出し撃つことが出来る事。
両腕のライトのような物からレーザー光の剣の様なものを作り、斬る事が出来る事。
主砲のエネルギーは今回の異偶の咆哮と同じレベルという事。
そして、恐らく乗ってやがる野郎は相当切れ者だという事。
何だあの戦い方......。
吹き飛ばされれば道に弾を撃ち付け、跳弾してきた弾を自ら喰らって落下ダメージを抑える所は声が出ちまった。
とんでもねえ野郎だと思ったぜ。
滅茶苦茶な戦闘IQ、そしてその力の使いどころを意識した戦い方。
どれをとっても、俺らの仲間と遜色ないレベルだった。
まさか、これほどまで...とは思ったが、奴もどうやら攻めあぐねているようだった。
しかし急に奴が距離を取ったと思うと、だんだん奴の機体に黒い靄のようなモノが立ち始めた。
それは奴の機体を完全に覆い、薄い膜のような形から徐々に濃くなり始めた。
その状態を見た異偶は何やら慌て始め、焦って自分が分からなくなったような我武者羅な戦い方を始めちまった。
結果は惨敗だった。
だが、俺としちゃ上出来と褒める他は無い。
アレは恐らく、あの機械兵の奥の手だ。
しかも何回も連発出来ない奴だろう。
そうじゃなきゃ、とっくに使っている筈だ。
あの黒いオーラを纏った状態はとんでもねぇ強さとスピードを見せつけてはいたが、アレならば所詮はあのお方の用意してくれた設定キットで何とか出来るだろう。
へへへ、んじゃ使ってみるかァ。
装置は至ってシンプルで赤いボタンが付いていて、電子板のような画面があるだけ。
あのお方がこんなシンプルなモンを作るなんてな。
それに先ほど見た戦いのデータを入力しボタンを押すと、あっという間に学習しそして学習終了の文字が浮き出た。
これで準備は万端。
幸い、奴は油断しきっていて今のままなら余裕だろう。
それじゃ機械兵、ここからが課外授業だぜ。
装置を持ち、あのお方の考案なされた「パスワード」を宣言する。
【危険な狂神よ。生を砕け!REALIZE DEADLY!】
その言葉と共に、俺の脳はあの機械へと繋げられる。
至高の時間だ。
あのお方のお造りになられた機械と一心同体。
これはもはや、あのお方そのものと繋がったと言っても過言ではないだろう。
俺がそれを成し遂げた...。
えもいわれぬような、そんな優越感が湧きあがる。
そして視界はうんと高くなり、奴と同じ視点に立つ。
それと同時に俺はエネルギーをチャージし、奴にぶっ放す。
奴はすんでの所で気づき、回避したが肩をやったらしく一瞬ぐらついた。
痛みがあんのか知らねえが、中々いいダメージなんじゃねえか?笑
さぁて、どんどん行くぜ。
右手から斧を生成する。
巨大な斧、この世界で言うトマホークとかいうらしいデカさの斧を作り肩に掛ける。
そして思いっきり前へと駆け出す。
左手で斧の持ち手を持つと、右手は添えるように軽く持つ。
そして奴の目の前でぶった斬る。
どうやら本当にさっきのが響いているらしく、まともに動けないらしい。
剣を生成したものの、恐竜野郎の尻尾を切り裂いたのはなんだったのかと思わせる程簡単に俺の斧に砕かれ、そのまま装甲ごと引き裂かれていった。
勿論そんな事で終わる俺じゃねえし、何よりそんな事なら興覚めだ。
奴もダメージを受けつつ立ち上がる。
装甲にはヒビが入り、他も所々傷だらけだがそれでも立つ当たりが最ッ高に戦士って感じがするぜ。
楽しいよなァ.........。
俺は嬉しいぜ、あのお方に頂いた力でテメェをぶちのめせるのがよぉ!
何よりテメェに戦意が残っているのが良い。
ただの屍になってまで立つのと、意識を持ったまま戦うのとでは訳が違ぇし、楽しさも半減しちまうからなァ。
立っているだけで精一杯であろうその姿に、容赦なく蹴りを放つ。
ガードする暇もなく、吹き飛んでいく。
そのままデカめのビルに突っ込み、停止した。
うっひょぉ、思わずポーズしそうなくらい気持ちがいいなっ。
俺にとっては勿論あのお方が一番大切だが、戦闘と殺戮も好物だ。
コイツが俺たちの敵でさえ無かったなら、勧誘しても良かったと思えるぐらいには気に入ったぜ。
近頃の平和ボケした臆病者とは違い、明確な殺気が見える。
それが何より楽しい。
ビルから抜けた奴は、よろよろしながらも剣を再び生成し貫こうと殴り掛かってくる。
だが、そんな標準の定まっていない突きで俺を刺そうってのはちょっと厳しいなァ。
剣先の到達するところは俺の遥か遠くで、それを敢えて食らってやる。
だが、びくともしない。
ソイツは驚いているようだが、当然だ。
あのお方の作品がそう簡単に傷つくわけねえだろうが。
ま、プラステメェのその剣ももはや剣としての形を留めてはおらず、粒子が零れていたわけだが。
そのまま足を引っ掛け倒し、その首を掴み全力で地面に叩きつける。
大地が揺れ、奴は大の字になってもろに食らった。
しかし、そこで俺は少しだけ驚いた。
まだ、奴の意識があったからだ。
剣も主砲も使えないだろうと高を括っていたが、どうやら違ったらしい。
俺のデッドリーの両耳のようなパーツがどちらも、砲弾によってダメージを喰らっていた。
どうやらそれで終いらしいが、俺は二つの感情が押し寄せ思わず笑いだしてしまった。
殺意を持った、生死を分ける戦いってのはこう本当に楽しいなァ!!
ハハハハハハ!!!!!!!!!!
ハハハハ!!!!!
ハハ......ハハハ.......
この野郎、あのお方からのプレゼントに傷を付けやがったなァ!?
ぶっ殺すッ。
動けなくなった奴に照準を定め、左腕の砲台を構える。
あばよ、機械兵。
トリガーを引く。
緑の閃光は街そのものを覆い隠す程のエネルギーでそこら一帯を吹き飛ばした。
リーパーは、カケラすら残っておらず完全に消滅した。
そして、その爆心地のど真ん中には、二人の男が居た。
片方は、血まみれでぐったりとしており、身体には無数の銃弾の跡と大きな傷があり、出血多量で顔が真っ青なスーツの男。
そしてもう一人は、怪しげな白い装束のようなものを纏い、黄色い仮面を着けた男だった。
その男は笑うと、何かを言っている。
だが、血まみれの男はもはや何も答えられない。
すると面倒臭そうにしながらも白装束の男は、黄色い汁を血まみれ側にぶっかけた。
すると、青白い顔に血色が戻る。
再び何やら質問するが、まだ話せる状態じゃないらしい。
すると、苛ついたような雰囲気だった男が急に透明な銃を取り出し男に向ける。
そして叫んだ。
「喋らねえなら死ね!!!!」
透明な銃の、緑のトリガーを引く。
銃声が聞こえた。
これから、どうなっちゃうんでしょう。




