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適合者はこの俺!!!!  作者: こしあん大福
第0章 漆黒の守護者
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第2話 経緯

2話になります。

少女、もといカーㇴは席に座り、そして俺を向いて話し出す。


「改めまして、はじめまして。岩動様。

私は運命の巫女・カーㇴと申します。宜しくお願い致します。」


うん、さっきとほぼ一緒だな。

俺はお茶を入れながらとりあえず話を聞く。


「うん。まあひとまず宜しく?でいいのかな。

それで、俺が搭乗者ってのはどういう事?

どんな経緯でそうなったのさ?」


確認せねばならないだろう。

どうして俺が、搭乗者なのか。


「...ひょっとして、昨日の私の話をお聞きになっていないのでしょうか?

でしたら、申し訳ありません。私の説明不足でした。」


「昨日の話?」


はて、何の話なんだろうか。


「はい。こちらの世界にワープした後、私はリーパーの肩に乗り

こちらを見るカメラに対し一つ話をしたのです。」


「あっ、そうだったんだ。

いやごめん、マジで意味わからなさ過ぎてさ、寝ちゃったんだよね。」


素直に申し訳ないと思う。

マジで現実に起きていることだとは思わなかった。

確実に疲労から来る幻覚だと思った。てか思いたかった。


「そうでございましたか。では、改めて説明しますね」


「頼むよ。」


「はい。まず、何故この世界にワープしたのかという点から説明します。

私たちは貴方たちS‐504の世界の監視者をしておりました。

監視者と言うのはいわば理を見る者のことです。

私はその世界で東部門のリーダーとして日々、この世界を監視しながら何か不合理が無いか目を配らせておりました。」


「うん、正直何もわからないけど続けて。」


正直、意味が分からん。

まずS-504って何だよ。エラーコードか。

で、監視者て。どういうことなの???

とりあえず彼女の前にお茶を置く。


「とある日、私たちの世界においての監視プログラムであったIFRTが何者かの手によって破壊されてしまいました。

IFRTは、リーパーのようなものだと思っていただければ。

IFRTを破壊された私たちは、他の世界への干渉力を失ってしまい、見ることが叶わなくなってしまいます。

そんな中、更に悲劇が起きたのです。」


彼女はそこで一息つくと、お茶を啜る。

外国人のようなエキゾチックな顔立ちだが、自然と画になる。


「ふぅ。ありがとうございます。

…悲劇とは、IFRTの暴走でした。一部が破壊されたままずっと起動していたIFRTが暴走を起こし、

破壊活動を行いだしたのです。その中には、私たちが管理していた他の世界のデータも存在し

その異世界のデータから具現化された怪物や化け物が私たちを襲いだしたのです。」


急になんかパニックホラーみたいな話になってきたな。

…このままグロ路線とかやめろよ?


「我々は、迫りくる怪物の猛襲とIFRTそのものの暴走から必死で逃れつつ解決策を探り、幾度となく戦いました。

しかし、我々では勝ち目はなかった。そんな中、一人の研究員が開発した兵器…

それがリーパーだったのです。」


なるほどな、要はやばい事態に抵抗するために作られた盾だったってことか。

そう言う俺に頷くカーㇴ。


「私たちはリーパーに一筋の希望を乗せていました。なので、完成した時には喜びもひとしお。

しかし、そう簡単には行きませんでした。

そのリーパーですが、誰も使えなかったのです。文字通り。」


彼女は残念そうに言う。


「は?何でそんな風に作っちまったんだよ?」


「どうやら、データが漏れた際、近くにいたこの世界のデータを巻き込んでしまったみたいで。

そのデータが、どうやら貴方だったようなんです。」


「...ちょっと待て。じゃ何だ。俺は、完全に巻き込まれ事故って事か???」


「............はい。」




……



……………



「はあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!??????????」


おいおいおいおいマジかよ!!余りにも酷すぎんだろ理由!!!

てっきり何か俺だけしか使えない特別な理由があるのかと思ったよ!!!!!!

事故かよ!!!!しかもとびっきり最悪なアクシデントでの状態じゃねえか!!!


「...申し訳ありません。今更謝っても、どうしようもないことはわかっているのですが、

 そう思っても、謝る事しかできないのです。」


彼女はひどく申し訳なさそうな顔でこちらを見て謝る。

正直、俺は悪くないのに悪者にされているような気持ちだ。


「...はぁ~。それってさ、作り直す事とか、俺じゃない誰かにバトンタッチとか出来ないの?」


「残念ですが、私一人で直したり変更することは難しいです。」


彼女の仲間とやら達と必死で作ったモンをそりゃ一人で何とかするのはキツイか。

まあ、そりゃそうだよな。


「...そうかぁ」


「私たちもまた絶望しました。まだ使用できなくともその使用者が近くにいるならともかく

ワープする為のエネルギーの入ったIFRTまで無いとなるともはや勝ち目はありませんでした。

もはやこれまで、と思ったのですが...」


「ですが...?」


「私たちとは別の南や北、西部門でも同様の事故が起き、みんなで手を取り合うことになったのです。

幸い、西部門にはまだ1回分のエネルギーは残っていました。

それを誰が使うかを話し合い、一番送るのにエネルギーがかからない私が選ばれました。」


「ん?なんでかからないんだ?」


エネルギーがかからない?

確かにかからなさそうなほど小柄で痩せてはいる。

しかし、それで変わるようなシロモノでもないだろう。

第一、こういう話って大体とんでもないエネルギーが必要だしな。


「その話は置いておいてください。そして私は旅立つ準備をしたのです。

しかし、暴走したIFRTや異世界から召喚された怪物たちは私たちを邪魔しようとけしかけてきました。

今思うとアレも何者かの策略だったのでしょうね。

しかし、私はもはや何もできませんでした。そんな私を仲間たちは逃がしてくれました。

そして私はリーパーと共に、この世界へ降り立ちました。」


しれっと重い話を繰り出した後、一呼吸おいてお茶をまた啜る彼女。

急に重くなったな。しかし。

そりゃ、仲間がいたのに彼女しか来れなかったってことは何かしら事情があるんだろうなとは思ってたけど。

どちらにせよ、彼女らがどうしてこの世界に来たのかは分かったな。


「そうか。そんな事情があったんだな」


「はい。私は誓いました。必ず、仲間たちのところへ帰り、そしてIFRTを直し怪物たちを倒すと。

その為に、貴方には協力して頂きたいのです。

出来ることは何でも致します。是非とも、お願いしたいです。」


「そうは言われてもなあ…」


可哀想にとは思う。

急に変なバグで世界が滅びかけ、何とか希望を作り出したのにその希望が機能せず、

挙句仲間の姿を誰一人として確認できないまま彼女はこちらの世界に来たらしいのだ。

気の毒だし、協力してやれるものならしてやりたい。

だが、俺にだって生活はある、嫌だけど会社だってある。

そんな夢物語みたいな話にすぐ乗れるほど簡単な頭はしてはいない。

そもそも、こんだけ聞いておいてなんだが、まだ現実のものだと頭がイマイチ認識していないのだ。

未だドッキリとか、そういう類のものなんじゃないかと心が疑っている。

ま、俺にドッキリをかけるような友人もメディアもいないのだが。


けれど、彼女はこういった。


「それに、この世界の皆様の為でもあるのです。

奴らはきっと、私を追ってこの世界にも…」


「え?」


話を聞こうとしたその時、不意にまた耳鳴りがした。

昨日のような、でも昨日より更に悪い予感のする五月蠅さだった。


とその時、まるで大きな地震のような震動が足元に響いた。


「何だよもう!!!??地震か?!今度は

なんだよぉ!!!!」


叫ぶ俺を一目見た彼女はこう告げた。


「来てしまいましたね。異偶(バケモノ)が」

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