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適合者はこの俺!!!!  作者: こしあん大福
第0章 漆黒の守護者
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第23話 会社

会社編スタートですね。

流石に章は変わりませんが、また流れが変わって行きます。

お楽しみください。

「おおおお!!!!岩動ィ!!!!よう来たな!!!!!」


やたらと五月蠅い声が後ろからかかる。


この人は來瀬(くるせ) 良さん。


面倒見がいいしパワハラやセクハラも無い理想的な上司だが、やたら音量がうるさいのが玉に瑕。


「お前大丈夫だったのか??!!めっちゃ心配したぞお!!!!!!」


「あ、あぁ...す、すみません。色々とご迷惑をおかけし...」


「ん?いや、ご迷惑だなんてとんでもないぞ!!アレはお前は一ミリも悪くはない!!!!!」


「ありがとうございます...。」


言いつつ社内に入る。


その後それぞれの俺の仕事にかかわる部署全ての人にしっかりお礼を言い、みんなで食べれるお菓子を置いた。


みんな良い人ばかりで、自分の仕事だってあろうにしっかりと俺の分もやってくれていた。


どうしてか聞くとみんな揃って、


「いやいつも岩動さんがやってくれてた事じゃないですか?」


というのだ。


俺は感動して泣きそうだよ諸君。まぁ泣くのは大げさだが。


俺は確かに生きる気力もなく、毎日フラフラしてひたすら惰眠を謳歌するような人生をさっきまで送っていたわけだが、誰かに迷惑をかけるのは申し訳なくてひたすら仕事はやってたからな。


少し違うかもしれないがお陰でリーパーのプログラミングだって出来た。


やはり、仕事を真面目にこなすのは大変だと思うがやりがいはきちんとあるのだ。


さあ、今日からまた頑張ろう。


この時はそう思っていたが...。


まさか、あんな事が起きるなんて.........












俺が居なくなって早数週間から1カ月程度経つ訳だが、ビックリしたこともある。


後輩のオタクくん(本人がそう呼んでくれと言ったの。マジで!!いじめじゃないからね!!!)が凄く成長していたこと。


俺の仕事の客まで心配してくれていたこと。


そして何と言っても合田さんである。


あの後、他の人とは別にお昼休みに話をしたのだが、


「いや~そうか~、お前にそんないい娘が居たなんてな~」


と、やけに嬉しそうだった。


彼女とはそういう関係ではないと否定したものの、彼女自体が住み込みの家政婦などと言ってしまったのだ。


そりゃ、どっちを信じるかは目に見えている。


「お前、あんだけ彼女が慕ってくれて勇気を出して報告したってのに自分はいつまでも言い訳かよ~。男としてそれはどうなんよ?」


「いや、あのだから、俺の彼女とかそんなんじゃないって。合田さんならわかるだろ?彼女じゃないことくらい。」


この人は筋肉ムキムキでジムに週3で通い、その身体を活かして色んな女性と会っている噂が後を絶たない。


正直、仕事もして更に仕事終わりにがちがちのジムへ行くとか頭おかしいとしか思えない。


恩人だろうが何だろうが、頭はおかしいと思う。


しかし、彼はモテる。


そんなモテる彼があの子の反応を見て恋しているとかそういう関係じゃないのは見てわかるだろう。


きっと、あらかた普段あまりいい反応をしない俺が珍しく慌てているので弄っているのだ。


全く、勘弁してほしい話である。


「そろそろいい加減にしないとセクハラで報告しますよ、本当にぃ」


「あはは、それは勘弁だな。でも、いい子なのは事実だろう?」


それは......


そう思う。


「ええ、彼女は俺には勿体ないくらいの子です。ほら、ますます違うと気づくでしょ?」


「そんなムキになるなよ笑...。半分冗談なんだから。」


という事は半分本気じゃないか。


おいこら。


「っはは、目怖ぇ~w。でも、俺的には嬉しいのは本当だよ。」


「何で、正直失礼かもしれないけど俺に合田さんが嬉しそうにする理由ないじゃないのよ。」


俺が言いたかったのはそれだ。


何がそんなに嬉しいのか。


自分にしょっちゅうとっかえひっかえできる相手が居るからパートナーを見つけろとでもいうのだろうか。


この人、そんなおせっかいじゃなかった気がするけどなぁ。


「お前さ、最初この会社で働いてるの見てた時目が死んでたのよ。ずっと。」


あぁ、覚えがある。


さっきも話した通り、最初の俺はマジで死んでいたと思う。


それくらい、仕事への取り組み以外は廃人だった。


「仕事は出来る奴だったけどさ、何というか物悲しい雰囲気あったんよ。」


そうだったのか。俺、そんな風に見られていたのか。


「勿論余計なお世話ってのもあるけどさ。でも少なくとも、誰かと楽しそうにしている時も何処かで鬱を感じているような顔をしていたから。」


...。


「けど、あの子の電話は違ったのよ。あの子は、紛れもなくお前を心配していたよ。心の底から。」


「!」


カーㇴは、やはり俺の事をしっかりと心配してくれていたんだな。


ありがとう。


「俺でさえ、多分心の奥からの心配は出せなかったかもしれない。あんま、お前のこと知らないしな。」


「...確かにな。」


「ああ。だから、彼女の声色...。そして、今日再会したお前の顔にもう鬱も物悲しさも薄まってたからさ。俺が知らない間に強くなってたんだなって。」


「...そんなことを...。」


「おうよ、だから俺はそんなに気が合う相手なら今のうちに掴んどけよと思ってさ。」


合田さんは、この人はこの人なりに俺の事をずっと心配してくれていたのだ。


それに気づくと同時に、凄く申し訳なくなった。


そして、深く感謝した。


「...ありがとうございます、合田さん。俺、人に迷惑かけたくないとか思いながら結局!自分の事だけで...」


「そんなモンだろ。気にすんなって。ま、お前が人間らしくなったなら俺もずっと一緒にやってきたものとして...」


ありがたいことだ。


「そして.........」



お前に感謝するものとして。



「お前を助けたかったのかもしれないな。すまんな、事情に手ぇ突っ込んでよ。」


「いや、助かったよ。でも、マジであの子と俺はそういう関係じゃない。どちらかと言うなら、相棒...かな?」


「ほーん、まっ、今は色んな関係があるもんな。俺はそれでもいいと思うぜ。」


「ああ、俺もあの子は良き相棒だと思ってる。必ず、彼女の目標に辿り着けるよう頑張りたいよ。」


「...そうか。なんだか分からないけど頑張れよ。」


何だか、胸のわだかまりが融けた気分だ。


そうか、合田さんはそんな事を想ってくれていたのか。


今の時代、ひょっとしたらプライベートがどうとかって叩かれてしまうかもしれない事を承知の上で、俺を助けるために。


結局俺は、死のう死のうと勝手に脳内で言っておいて、周りの人にクソほど助けられて生きてこれたんだなと自覚する。


会社でも、カーㇴの事も、今度こそ俺が助ける番だ。


俺はもう生きる事から逃げたりしない。


逃げる事は悪いことじゃない。


だからこそ、精一杯地獄に抗っていきたいのだ。


と、そんな中二臭い事を瞑想しているとチャイムが鳴った。


「やべっ、もうこんな時間か...。俺、打ち合わせがあるんで行くわ!!!!」


と走り出した俺を、合田さんは苦笑いしながら言う。


「退院早々大変だな。お疲れ。頑張れよ~」


PCとペンを手に、俺は駆けて行った。


















岩動が走っていった。


アイツは、ずっと良くわからん奴だと思っていた。


ある程度の冗談にも乗れるし、仕事もできるし、何より人に迷惑をかけないよう頑張っている。


後にも先にも中々見かけない人材だ。


だが、アイツはときどき、空虚な一面を見せるときがあった。


俺はそれが、たまらなく怖かった。


それなりに一緒に仕事もした、そんな彼が突如あっさりと死んでしまうのではないかと。


アイツの仕事の出来には俺も、他の人も助けられていた。


事実、俺がミスで結構やらかしたときに色々とカバーし、助けてくれたのもアイツだ。


実際、彼の後輩らもみんな同じようなことを言っていた。


俺は、何かあったら助けるつもりでいた。





アイツが突如来なくなり、一日無断欠勤したときは珍しいこともある物だと思いつつまあ明日になったら死ぬほど謝ってくるだろうと呑気に思っていた。


だが、アイツは一日待っても来なかった。


慌てて連絡すると、アイツの家政婦を名乗る少女(カーㇴ)が出た。


最初こそアイツにこんな趣味がと思ったが、今は様々な愛の時代だ。俺にもそういう相手はいる。否定なんかしない。


その少女から、彼に何があったかを聞いた。


最近多発するバケモノ(異偶)の事件。


アレに巻き込まれたそうだ。


しかし、言い訳としては弱すぎる家政婦にはツッコミどころもあったが、彼女の尋常ではない焦りの声に笑う事は到底できなかった。


彼女の声は震えていて、まるで弱った子犬の様だった。


そして思った。


アイツにも、心を寄せられる誰かを見つけられたのだなと。


安心したし、すぐ会社に報告を入れ何とか出来た。


あの子が居るなら、きっと大丈夫だろう。


会った事も無い少女を連想しながらも、何故だか安心感が湧いた。











その後、いろいろとあって彼は退院し、今日来た。


彼が抜けたことで大変なことも勿論あったが、みんなで何とか切り抜けてきた。


そして彼はその生真面目さえ故本当に申し訳なさそうにみんなに謝罪し、気にする必要も無いというに菓子折りまで持参した。


お菓子は甘くて美味かった。


みんなの苦労を労うような味だった。







アイツと話し、そして理解した。


あえて焚きつけるような事や、煽るような事も言ってはみたが冗談で返された。


しかし、目は至って真面目だった。


その目に、俺は本当に思っていたことを語った。


アイツは全て理解した上で俺にもまた感謝した。


そんなアイツの顔にはその少女への思いやりと、恋人とか親友とか関係のない信頼の心が浮かんでいた。


いつの間にそんな成長しやがったなんて思いつつ、アイツの成長を喜べる自分が誇らしい。


だが、一つだけアイツに伝えなかった事がある。



















お前がどうかは分からんが、その子は多分...、()()()......。











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