第17話 定例会議・前編
今回は完全に敵パートです。
【ダリア視点】
暗い闇の中を歩く。
人影が2つ、一切の灯のない廊下を歩いていく。
今日は定例会議で、場所はいつもの場所だ。
いつもの場所ってのは此処の事だ。
あ?此処が何処かって?はは、そりゃ知らん。
何故って、あの方は光の中を嫌う。
ま、部屋の場所を知られねえようにするって意味もあるらしいがな。
要するに、俺は今絶賛何も見えていないのさ。
だから、この部屋がいつもの場所なのかは着くまで分からねえってわけだ。
ご丁寧に毎回順路も変わっている気がするしな。
昨日あのクソアマの女狐から連絡を貰った後、いろいろと情報の整理をし、そして今の今までブレインスリープしていた。
滅茶苦茶眠ぃし脳がぼっとするが、あの方の前でこんな不甲斐ない姿を晒す訳にはいかねえな。
アイツらもいるんなら猶更だ。
しっかし、久しぶりの定例会議だ。
俺が現在担っている仕事はあの世界で、報告することも多いが昨日の連絡と言いひょっとしたら俺以外にも何か世界に異常があった奴がいるのかもしれねえな。
と、前を歩いていた機械人形が言う。
「ダリア様、こちらにございます」
機械人形は貼り付けた様な不気味が笑顔でこちらを向き、口を開きやがった。
「相変わらずショーキの作る人形は趣味悪い顔してるぜ。キメぇからこっち向くんじゃねえよ」
俺の悪口にしかめ面?のような顔をしたソイツはこちらを見ると言った。
「こちらこそ貴方様の顔を見ているだけで息が詰まりそうでございます。何卒ご配慮お願いいたします。」
「あ゛ぁ?!っじゃあ何だァコラ、俺は顔面フルフェイスで仕事しろってのかんだこら」
「あら?そう申したのですが、伝わりませんでしたか?」
「やっぱいつも通りムカつくなお前ら。ぶっ壊されてえのか?」
コイツらはあの性格の悪いショーキに造られたお陰で案の定性格が悪い。
売り言葉に買い言葉となったといえば仕方のないことだと言う奴も居そうだが、毎回余計なことまで言ってきやがる。
いつも通りといえばいつも通りだが、今回は一つ違うことがあった。
「貴方様に破壊されるほど弱体化していたら、今頃はどちらもお陀仏だったでしょうね。」
「んとにムカつくなマジで。定例会議終わったら覚えとけ。お前の方も壊してやる。」
「おお、怖いです。ふふっ」
コイツには以前の定例会議までは相方のマシンが居たのだが、最近侵食を始めた世界の英雄に殺されたそう。
仲間ではあるが、正直ムカつく奴だったのでざまあ以外が思いつかないな。
「ああ、私ならお気になさらず。ルビーは遅かれ早かれ死ぬ運命でしたし、何より私たち機械兵士は壊れてなんぼです。ま、貴方はむしろムカつく奴が減って嬉しいなんて考えてそうですけど」
「はは、当たり前だろボケが。大体お前らみたいな鉄クズがあの方のお気に入りってのが気に入らなかったんだ。清々するぜ。あとはてめえ、エメラルがくたばれば尚頑張れそうだぜ」
「ふふ、私がそう簡単に死ぬとでも?鉄クズに負けて悔しいからって、僻みはよくないですよダリア様」
くっそ、これがあの方のお気に入りじゃなければとっくの昔に破壊していた。
コイツにいつまでも構ってる暇は無い。
両目の前に装着した黄色の仮面を一撫でし、横のボタンを押す。
「ダリア、ログイン。デスペラード」
すると一瞬で朝の間へと到着する。
そこには、様々な仮面を着けた者たちが思い思いに話していた。
あの方の下部であり、優秀な駒を意味する俺らの事を【無に帰す者】と呼ぶ。
そんな俺たちの会議の場がここ、朝の間だ。
既に10人中7人が着席している。
俺も自席に着く。
「っは、誰かと思えばダリアか。ギリギリじゃねえかどうしたんだよ」
またうぜえのが話しかけてきた。
「あ、お前今うぜえのが来たとか思ったろ?ダメだぞーそんなんじゃ、俺らは仲間なんだからさ」
「うるせえ消えろ黙れ死ね。俺は今最っ高に気分が悪ぃんだ。話しかけてくんじゃねえ」
赤い仮面を着けた細身の男だ。名をデーヴィという。
ナヨナヨとした話し方、頼りのなさそうな雰囲気。
俺の嫌いなタイプだ。
俺に集まってくるのは決まって俺をイライラさせてきやがる。
デーヴィはまさに俺を舐めた目でみるとこう言った。
「あーあ、本当にご機嫌斜めだね。なんかあった?話、聞こうか?」
「てめえなんぞに同情されるくらいなら死んだほうがマシだ。いいから失せろ。目障r...」
「...なーんちゃって。俺も暇じゃないんだよね、この後の定例会議で話したいネタが一杯あるんだ。だから早く纏めないと。じゃあ~ね~」
手をひらひら振りながら去っていった。
何なんだアイツは。全く持って腹が立つ。
ネタがそんだけあるなら尚更話しかけてくんじゃあねえぞ、遠回しに人を煽りやがって。
俺が話せる奴はよりによって遅刻中だ。
あと2分で始まるというに、何をしているのやら。
ちっ、それまでは顔を伏せて出来るだけ話しかけられないようする他ねえな。
ウザ過ぎる。
と、顔を伏せつつ今いるメンバーを見る。
赤仮面はさっきも話した通りデーヴィといい、ナヨナヨとした雰囲気のクソ野郎だ。
ああやって時々人を煽りに来やがる。
赤仮面が現在話している白仮面がトァネミ。一見するとアイツは特に嫌な雰囲気はないが、少しでも自分より良いことがあったりするとねちっこく相手の話の中で重箱の隅を楊枝でほじくるような真似をする、小さい奴だ。
他にも緑仮面のミダ。青仮面のスィゲロ。茶仮面のツヴォサク、そしてリーダーであり技術者の紫仮面・ショーキなど、特殊な名前をした奴らがいる。
ま、あの名前を付けたのはあの方だ。勿論俺のもな。
あの方に付けて貰った名前なら、何だって最高のモンさ。
しっかし遅ぇな。始まっちまうぞ。
と、その時ゲートに2人の影が現れた。
そこには、昨日俺を通信で散々煽りまわしやがった女狐であり桃仮面ことロェシーと、俺が唯一腹が立たない橙仮面のツィヒックがいた。
何やら慌てた雰囲気の2人に、近くにいたスィゲロが問う。
「ど、どうしたのかなあ?な、なんでそんな汗かいてるのかなあ?僕、なんにもわかんないや。ロェシー何で???」
聞き方はムカつくが、俺も同じことを思っていた。
と、
「灰仮面のナァシルがやられたよ。ひとまず会議が始まるでしょう?そこで改めて説明させてもらうね」
との声がロェシーからかかった。
...脱退者が出ちまうなんてな。
コイツらの事は嫌いだが、有能な奴は多い。
あの方の野望を果たす為にも、なるべく犠牲は少ない方がいい。
......まさかとは思うが、機械兵のようじゃなかろうな。
あんなのが2体も居た日にゃ、俺は今度こそキレちまうさ。
時計の針がぴったりと揃う。
鐘の音が鳴り、全員が起立する。
その視線はステージの上へと集約されていた。
視線の先には、黒い仮面をした男性がその場にいるような形で生成されていたが、アレはその場にいるように見える機械によるものだ。
その男は、不敵に笑いこう言い放った。
「よくぞ集まってくれたな【無に帰す者】達よ。さあ、会議を始めようじゃないか。」
2024/05/21 名前が一部異なる人物がおりましたので修正いたしました。




