第105話 ジャッジVSリーパー
決戦です。
それもその筈、俺はそのまま脚を回してナイフを持った不審者を蹴り飛ばした。
案の定というかなんというか、その不審者は白い仮面だった。
ナイフは飛んでいき、川のほとりへ転がった。
カーㇴは警戒しつつ魅羽と稔を守るように前へと立つ。
稔もまた魅羽を守るように立ちながら魅羽を後ろへと下がらせる。
皆、顔つきは険しくまるで前回の事を鮮明に思い出したかのように睨みつけていた。
俺だって例外じゃない。
ていうか、なんだってナイフなんだよ。
そんな暗殺みたいな真似しなくても、瞬間移動で近づいて一気にマシンで踏みつぶすじゃだめだったのか?
そう思っていると、ソイツは立ち上がりこちらへと顔を向けた。
白い仮面の正体は紛れもなくトァネミだった。
「随分な挨拶だな、白い仮面野郎。」
「それはお互い様だろう。貴様には散々邪魔をされた。」
「それは挨拶じゃなくて明確な攻撃だよ。ってか、随分と舐めてかかってくるじゃねえか。」
「何?」
「だってそうだろ?何もこんな事しなくてもお前には瞬間移動とかいう姑息すぎる技があるじゃないか。それで俺らを踏みつぶしでもすればよかっただろ。」
ま、それが出来るかは別としてな。
さっきから何かが尾けてきているのは知っていたし、ソイツが何かしようモンなら先手を打って攻撃してやるくらいには思ってたしな。
トァネミはこちらを不敵な笑みを浮かべて見つめている。
まるでこちらの発言も効かないと言わんばかりだ。
「ふふ、そんな姑息な手は自分も思いつかなかったさ。貴様は凄いな。流石、あの紅い姿で散々自分を煽って平静さを崩した姑息さだけの事はある。」
はは、おいおい待てよ。
そもそもその時はお前が煽ってたじゃないか。
姑息な手は思いつかないって、お前散々そういう事しておいて何だよ。
じゃああのハサミをワープさせて隣に飛ばしてくるのとかは姑息じゃないってのか。
てか姑息姑息言いすぎだろ、効きすぎじゃないか?
案外煽り耐性無いよなコイツ。
とっとと自滅させた方が楽ってくらいにはな。
てことで、とっととやらせてもらおうかね。
お前もその気だろ?
「なぁ、タネはバレたんだ。もう取り繕う暇は無いはずだろ?とっととかかってこいよ、決着をつけてやる。」
「ほう、一度自分に敗れた所詮は付け焼き刃の貴様が自分に勝てるとでも?」
「その付け焼き刃に敗走して逃げたお前が何を言ってんだよ。」
「あれは敗走では無い、貴様を確実に次倒す為の布石だ!」
「おうおう、そんな声荒げても黒歴史は覆せないぞ。恥ずかしいなぁおっさん、ここに居る子供でさえ過去を反省できるのに、アンタは反省も学習も出来ずにここで俺の煽りに負けるんだもんな。」
これくらいでいっかな。
案の定、どんどん青筋が奴の首あたりに浮かんでいるように見て取れる。
滅茶苦茶睨んできていてこわ~。
と、アイツも流石に我慢ならなかったか、こう叫んだ。
「黙れ!!!くっ、舐めおって!!!この自分に対しそうまで言った事、後悔するがよい!!!!!」
俺も反論しておく。
「あーはいはい、じゃ黙るぜ。これ以上お前と喋っても何の布石も出来なそうだ。所詮付け焼き刃にすら勝てない鈍ら野郎だしな。そんなんでよくも俺を倒せるとか言えるよな。来いよ。」
すると顔を赤くし、彼は宣言する。
【正しき側神よ、自分を抱け!REALIZE JUDGE!】
その宣言と共に、奴は消えその少し近くに白黒のコントラストをした巨人が出現する。
紛れもなくジャッジだ。
俺とあの国で戦いを繰り広げたアイツだった。
今度こそリベンジマッチだ。
あの時はトドメまで行かなかったが、今の俺にはあの頃と違い余裕がある。
仲間がいる。
そして、力がある。
紅き力なんて必要ない。
元の黒き力でお前を倒してやるよ。
行くぜ。
【漆黒の死神よ、夜を穿て!REALIZE REAPER!!!!!】
俺の視界が暗く染まり、カーㇴ達の声援が薄くなる。
気づけば俺の視界は高くそびえ、そして俺の目の前には奴が鎮座していた。
足元には稔たちが居て、こちらを心配そうに見つめている。
大丈夫だ、俺は負けない。
もう二度と、こんな奴に負けたりしない。
奴は既に腕にハサミを用意している。
俺も負けじと脛部分と太腿部分のガトリングを起動し、更にブレードを出した。
そのまま突撃する。
奴もまた、突撃してくる。
そのままレーザーブレードとハサミが激突し、ギリギリと押し合う。
が、やはり巨大ハサミの方が力は入れやすいらしく、俺はもみ合いに勝てずレーザーブレードごと腕を上に弾かれる。
そのまま蹴りを喰らわせようとしてくるジャッジ。
そんな手は喰らうかよ。
下がりつつガトリングを発射。
効いてはいないだろうが、牽制にはなったらしい。
ひとまず離れた。
次はっと。
と、奴のハサミの刃部分が消えた。
これは、ワープが来る!
「っと、そこか!」
俺の頭のすぐ横に紋章が飛び出した。
バリアを展開しすぐに守るも一瞬でバリアは破壊された。
ま、その時には俺は避けているから意味ないけどな。
そのまま主砲にチャージを開始する。
今回はフルパワーで撃ちたいからな。
しっかりと全エネルギーを溜める事にするぜ。
その間に出来る事...。
アイツのワープも確かエネルギーが無きゃ出来ないんだよな。
なら、やる事は一つだ。
確かヒヨコ異偶の時やったエネルギーの吸収、あれをやるべきだ。
少しでも奴のエネルギーを吸って逃げられる危険性を防ぐのが先決だな。
前はバリアに付けたんだったか?
だが今回は直接攻撃を当てる事で奪ってやる。
レーザーブレードに付与。
奴もまた攻めあぐねているのかかかってはこない。
どうした、来いよ。
と急に奴が消えた。
これはマズい。
ハサミじゃなくてマシン自体は來るって事は大技かその巨体を生かしたプレスだ。
どちらが来てもいいようにサーチをし、出来る限り身を屈める。
と、突然地面が黒く染まった。
上を見なくてもわかるプレス攻撃だったが、それは予測出来てんだよ!
レーザーブレードを上へと動かし奴に当てる。
ギリギリを躱そうと横に身を捩ったジャッジだが、流石に巨体を自由には動かせず肩に掠る。
だがその掠ったところを軸にしてそのまま半回転、ハサミを俺の顔目掛けて突き出してきた。
バリアを起動し顔の前へ、すぐに割れるも意味はない。
なお、バリアにも多少だが吸収機能を付与しているのでエネルギーは奪えている。
だが奴も学習はしているのか、バリアで躱した俺のすぐ横に再びハサミをワープさせ突いてきた。
俺が再びバリアを出したその時、後ろからハサミがワープしてきた。
流石に避けきれず、横っ腹に一撃喰らった。
この一撃で若干機体が凹むのか、えげつない威力だな相変わらず。
しかし、流石にあの紅い姿じゃないと予測は不可能か。
ある程度なら推測できるが、流石に全部となると回避は難しい。
今みたく一回避けた後のもう一回は中々キツイんだ。
「どうした?口ほどにもない。...あの紅い姿は使わんのか?ふん、まさか何かの制約でもあって使えないんじゃあなかろうな?......ふ、ふははははは!!!!それ見た事か!!お前など、自分の相手では無いのだ!!」
なんか一人で嬉しそうだな。
制約がどうとか言ってるが、正直そんなものはない。
俺だって使えるモンなら使いたいんだよ。
でも、まだ使う訳にはいかない。
アイツには逃走審判とかいうチート技がある。
あれで逃げられてまた戦闘が終了になったら日本的にも俺の心持的にも毒だ。
アイツは弱っていたり、不利を理解した瞬間逃げ出す。
という事は、ここで俺が紅い姿を持ち出してフルボッコにしたらすぐまた逃げ出すだろう。
この手の奴は調子に乗らせておくに限るんだよ。
敢えてここは黒の姿で戦う。
アイツは勝手に今も勘違いしてくれたし、そのまま分からずにやられてくれるだろう。
前にサイレントを使用した時は言葉を訳されて作戦がバレたが、今回は特に作戦を言ったわけでもない。
元々、あの紅い姿の事をバカにしているとか思っていた奴だ。
今回むしろあれになれないと分かったら死ぬほど馬鹿にしてくるのは読めていた。
それを使わせてもらう。
あの紅い姿になれば警戒して逃げられてしまう。
だったら逆手にとってならずに舐めさせる。
ま、後は吸収だな。
ひたすらエネルギーを奪い取って、逃げられないくらいの残量にしてやる。
何か回復手段があるかもしれないし、とりあえず奴が焦るまではこの姿で我慢だ。
その後何とかなったらそこで紅い姿になって一気に片を付ける。
これが俺の作戦だ。
上手く行くといいが.........。
奴は調子づいたのかそのままハサミを何度も突き出してくる。
こちらもバリアを使用しひたすら防戦するが、感覚機敏が使えない今先ほど言った通り全ては見通せず何回か喰らってしまった。
それだけでも大ダメージだ、正直作戦をやる前にこちらが負けるかもしれん。
やむを得ない、ここは主砲で............。
そう思ったのだが、主砲はもう60%近いエネルギーをチャージ出来ていた。
ここで使うのには勿体ない。
奪えたエネルギーは俺のエネルギー20%分程。
俺のまだ使っておらずチャージもしていないエネルギーをコレクトすればハーフ技位撃てるな。
これで一発逆転だ。
別にここで勝つ必要は無い。
これはあくまでも布石だ。
奴にダメージが入ればラッキー、牽制で御の字ってレベルだろうな。
それでいい、とっととやるぞ。
力をコレクトする。
それを剣先に流し、貯めた力をブーストさせる。
「喰らえっ!!!!」
〈-半双斬-〉
久しぶりの半双斬、空振りは避けたかった。
なので奴のハサミが来る直前、敢えてバリアは出さず、そのハサミが出るワープ穴の中に剣を無理やり突っ込んだ。
栓をするってやつだな。
能力に直接攻撃って出来るのかと思ったが、意外と出来るモンだな。
油断しきっていた奴は俺がワープの穴に剣を入れた事に驚いたが、後の祭り。
奴の腕にあった穴から半双斬分のエネルギーを溜めた剣が飛び出し、頬辺りを切り裂いた。
驚いたのかダメージが入ったのか、穴は閉じ奴は思わず飛びのいた。
そこを見逃さない。
すぐに近寄り残っていた技の残りかすのようなエネルギーを使用し叩き込む。
剣は普通斬る為に使用する。
だが、時としては剣の腹を使って叩く事もある。
横から勢いよく繰り出された剣の腹を思いっきり喰らったジャッジはほんの少しだけ「く」の字に曲がり、そのまま浮く。
そこの脚を思いっきり蹴り、転ばす。
前へと手を突こうとする奴の目前に刃先が伸びる。
咄嗟に奴も頭だけ逸らし剣を回避。
だけどよ、剣ってのは振った後戻す事も出来るんだぜ。
奴が顔を逸らした方向に剣を逆移動。
奴の頭の装飾ごと剣で切り裂いた。
そのまま地面に倒れた奴は腕を使って地面から這い上がるとこちらを睨みつつ後ろへと下がった。
その際頭を確認しており、どうやら装飾が少し欠けた事を理解したらしい。
「きっ...貴様ァ!!!!よくもあのお方に貰った高貴なる機械・ジャッジを!!!許さん!!!」
そういえばダリアもそんな事言ってたな。
だけど、戦闘中に怒りに身を置くのはあまり褒められた事じゃないぜ。
今の俺みたいな落ち着いてる奴に翻弄されるだけだからな。
ジャッジは自身ごとワープし、すぐ後ろへと来た。
振り返る間もなく背中を蹴り飛ばされつんのめる俺の目の前に現れ殴られた。
そのまま後ろへと倒れそうになると再び後ろへと現れ回転蹴りを喰らった。
さっきより高く遠くに飛ばされ成すすべなく飛ぶ俺の上空に奴がワープして現れ、そのまま腹を蹴られて地面へと落下させられた。
勢いよく地面へと撃墜し、1、2回跳ねながら転がる。
衝撃が凄いが、立ち上がらなければ次が来る。
慌てて立ち上がった先に奴のハサミが襲い来る。
俺のすぐ目の前だった為バリアでは無理だった。
咄嗟に剣を前へと出しハサミへと食い込ませる。
そして押し出そうと力を振り絞っていく。
だが、奴のハサミは力を入れやすくむしろより俺が弾き出されて後ろへと押し戻される。
倒れそうになるも、後ろのジェット噴射も使い勢いを増やす。
ジェット噴射を使った事でそれがつっかえ棒の代わりになり、奴がどんなに力を入れてもジェット噴射の威力には勝てず遂に俺に圧された。
その一瞬を見逃さない。
すぐにブレードで切り裂く。
奴が大勢を立て直すより早く、ひたすらに斬りつける。
その度に剣にエネルギーが充填されていく感覚がした。
主砲もあと少しでチャージが完了する。
奴は俺の猛攻に思ったより抵抗できず、剣でひたすらに斬られ続けていた。
これは直接吸収できるのではと思い立ち、吸収の能力を拳に付与して剣を消し、殴りつけた。
やはり直接機体に能力を与えた方が効率は良いらしく、一気にエネルギーを吸い取った。
「き、貴様今何をした!?...今、一瞬ジャッジの身体から光が消えたが!」
「さぁ、何だろうな。......それより、戦闘中に俺とお喋りとはいい度胸だな。まだ楽勝って事か?」
左腕でハサミを持ち直し、そのまま殴りつけてくるジャッジ。
バリアで防ぐも流石に回避すら間に合わずまともに喰らってしまった。
バリアでも半減すらされなかったダメージはデカく、勢いよく後ろへと吹っ飛ばされて倒れる。
だが主砲のエネルギーはチャージされた。
ひとまずこれでも喰らえ!!!
ハサミで再び潰しに来ようとする奴目掛け主砲を放った。
「おりゃああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!」
ピンク色の光線が地面を引き裂きそのまま爆発を起こした。
これでやられてくれれば助かるが、当然そんな訳も無く。
突如俺の後ろに奴が現れた。
「ふん、忘れたのか馬鹿めが。自分のワープにそんな攻撃など効かん。残念だったな、渾身の技すら喰らわせられなくてな。死ねぇい!!」
奴はいきなり現れて、そのままハサミにエネルギーを込めて繰り出した。
技名を宣言しながら。
〈-真死偽苦-〉
ハサミの周りに白と黒の二つの人魂のような光が周り出す。
それが渦を巻きながらハサミへと近づきハサミの表の刃を白、裏の刃を黒としてそのまま俺へと振りかざされる。
誰しもが死んだと思われた瞬間。
カーㇴと稔たちの声が聞こえた。
「楼汰様ぁあああああっ!!」「お兄ちゃん!!!!」
.........毎回毎回、こういった形でしか勝てなくて悪いな。
だが俺だって進歩はしてるんだぜ。
今回は全く技を喰らっていないからな。
誰だって負けだと思っただろう。
ジャッジだって勝ちを確信していた筈だ。
「なっ...!?何故!?...お前にそれを動かせる隙は無かった筈ッ!」
思った通り、慌てているな。
何が起こったかって、見りゃわかる。
ジャッジの腹、ど真ん中に剣が刺さっていた。
レーザーブレードだ。
正真正銘、俺の剣だな。
でも何故、こんな事が可能なのかって?
それはな。
「お前が教えてくれたんだぜ、トァネミ。お前には感謝してるよ。」
「なっ、何ぃ!?俺がいつどこでそんな事を!!??」
動揺が隠せていない。
もはや最初の余裕は何処にもなかった。
「お前さ、あの時俺に言葉を変換できる装置を持っているから技名を叫ぶのは意味ないと言ったよな。それに、意味が隠すようのモノなら尚更気づかれない声量で言うともね。」
「......お前が紅き姿になった時か?!...だが、それがどうしたというのだ?!」
「気づいていないのかよ?...やれやれだな。だから、俺はサイレントの機能自体をサイレントにしたんだよ。」
...。
思わず、沈黙が流れた。
「......どういう意味だ?」
「そのまんまさ。お前の言葉通り、言わなくても俺が心の中で宣言すれば使えるようにしたんだ。こうすればお前に聞かれる事も無いからな。」
「なっ、貴様そんな事が出来たのか!?............というか、それなら何故今まで言葉を宣言していたんだ!!??」
ま、そうなるよな。
それには二つ意味がある。
一つは、最近知ったからだ。
よく考えれば別に武器が一々宣言しなくても使えてたんだから気づける筈だったんだが、何故だか頭からすっぽ抜けていた。
マジで知らんかったんだ。
リーパーのセッティングが色々とあると知って、この前色々と弄ってみたんだがその時にふとプログラム部分で今までのコードを見直そうと思って確認したんだ。
そうしたら思いの外酷いコードだらけでな。
戦場で咄嗟に思いついたのばかりだからしょうがないんだが、スペルミスとかから始まり汚い構成になっていたり警告が出そうな部分があったり...。
後は気づいていないだけでエラーになりかけの所もあったな。
地球のソースエディタとかと違ってリーパーのはあくまでも俺が使いやすいように異世界のAIが作ってくれたものだから警告とか出ないしな。
だから気づけなかった。
その中で昔のモノを確認した時、一番最初に作った剣と砲台を呼び出すものに言葉を使わなくてもいいようにしていた所があったんだ。
だからそれを追加した。
何で他のモノに付けなかったかって?
サイレントと違って隠すようなモノでも無いし、宣言した方がロマンあってカッコいいからな。
二つ目は今のに近いが、簡単に言えば騙せると思ったからだ。
ジャッジを操るトァネミの深層意識には、自身も気づかない間に俺こと『リーパー』の能力は叫ばなければ使えないという固定観念が作られていた筈だ。
武器こそ宣言は必要ないが、能力は今まで何かしら宣言して使っていたからな。
気づける訳無いだろう。
それに気づかせないためにも敢えて他はいつも通り宣言する形にしとくのが効果があると思ったんだよ。
結果は最高。
効果は抜群だ!
俺の消音サイレントによるフルパワ―、更にコレクトによって奴が気づかぬ間に一時的に腕と剣と動体視力だけが強化され、それが奴より先に腹を貫通するコトに至ったって訳だ。
分かったか?トァネミ。
「なっ......そんな、馬鹿な。ふ、ふざけるな!!!卑怯者め!!そんなものを使用して、恥ずかしいとは思わないのか!?」
「それをお前が言うかよ。逃げる能力持ちの卑怯者が。」
「黙れ!!!自分のは純粋なる力、貴様は紛い物だ!!」
おっと、ここまで来ると最早老害に等しいな。
だがこれでもう動きは制限されるだろう。
腹部分にどんな機関が有るかは分からんが、少なくとも無事じゃない筈。
何かしらの機関がやられ、今や急速に力が萎みだしているだろう。
ハサミに蓄えられていた筈のエネルギーも消失し、完全に通常状態へと戻っていた。
と、次の瞬間。
「こ、こうなれば再び隙を見つけるだけだ!!今回は貴様に勝利を譲ってやる!!!だがな、これは自分の調子が悪かっただけだ!!!勘違いするなよ!!!」
おー、まるで決まっていたかのような決まり文句の逃げ台詞だ。
負け犬の遠吠えってこんなデフォな事あるのかよ。
と、そうだ。
奪ったエネルギーを確認すると、今のフルパワーのお陰で大分奪ったらしくエネルギーは驚異の60%を超えていた。
先ほどのも合わせれば今生み出されているエネルギーがあったところで割には合わないだろう。
ほら、使ってみろよ。
「ふはははははは!!!!!!結局、どんなに貴様が強くとも倒せなければ意味がない!自分は何度だって逃げられる!もはや貴様は絶対にこの自分を倒せない!...首を洗って待っていろ!」
強気の逃げ台詞中すみませんが逃げられませんよ。
そう言いたくなるくらい勝った気でいやがるな。
もう何度もは無いんだぜ。
人生は一度きり、それをよく理解してから遊べ。
奴はエネルギーを溜めるらしいので黙って待つことにする。
......。
...............。
....................................。
かなり待ったが、一向に溜まる気配がしない。
「何故だ!!??何故、逃走審判が使えないのだ!?」
「...残念だったな。まぁ、それすら見抜けないならもうしょうがないな。」
「...!...貴様、一体何をした!?」
「なーに、簡単な事だよ。お前のエネルギーを少しずつ吸収の能力で吸ってたんだ。少しずつ減ってたはずだけどな。気づいていなかったのか?」
「なっ、き、貴様ぁっ!!!なんて事を!!」
「ははは、つーかお前俺の能力は調べたんじゃないのかよ。まさかこれは知らなかったなんて通用しないぜ。」
「ぐっ......。あの紅い姿だけではなく、こちらも警戒するべきだったのか......。」
「そうだ。俺はあれだけじゃないからな。それに、あの時だってお前という乱入者にビビらなければもっと善戦は出来てた筈だからな。ま、事前に作戦が立てられればこんなモンだよ。」
俺の力、それはあのカーㇴの尊敬する師匠が作った力だ。
それを俺が使い、そして慣らしてきた。
そんな力にたかがお前らが勝てる訳ないだろ。
......よくも、よくもカーㇴを攫いやがったな。
お前らのせいで、和磨は目を覚まさないしあの街は崩壊した。
覚悟しろよ、そうあっさりとは許さない。
「......くっ、くくく、ふははははははは!!!!!!」
!
何だ、何を笑っている。
「ふん、だからどうした!?それで勝ったつもりか!?技が使えないなら使えないで、貴様になんぞ負けんわ!!!死ね、異世界人がっ!!!」
そうジャッジから発されたと同時に、奴はそのままハサミを投げつけてきた。
かなりのスピードだ。
これは躱すのはちときついか。
だが、自分の得物をそんなすぐ捨てて良かったのか?
これで決めるつもりってんなら早計だったな。
俺には、お前から吸い取ったエネルギーが残ってるんだからよ。
〈-全双斬-〉
剣を勢いよくスイングし、そのままハサミを切り裂いた。
「な?!」
驚く奴を見据え、そのままのエネルギーを使って腕を振るう。
剣先から飛ばされた全双斬のエネルギーは先ほどのハサミとは比べ物にならない速さでジャッジへと肉薄し、上下に分断した。
勢いよく胴体と下半身が分断され、それぞれ遥か彼方に飛んでいく。
そして先ほどまで奴が居た所は爆発し、吹き飛んだ。
咄嗟にカーㇴと稔の前へと飛び、爆発の炎と瓦礫から庇う。
彼らは身を寄せ合い抱き合っていたが、俺の陰に気づき笑顔になった。
「...楼汰様。」
「「お兄ちゃーーーん!!!!」」
3人の笑顔がこちらを見つめていた。
それを確認しつつ再び戦場となった街を見る。
夕日が差す街はようやく終わったとばかりに光り輝き、栄光を指しているようだった。
その真ん中に俺はただ、一人立っていた。
勝利の感覚をかみしめながら。
ついに、ついに勝ちました!!
いや~長かった。
奴らが出てからもう3カ月くらい経つんですかね?
という事で次回、「???」でお会いしましょう。




